*music

sutero choice sound selection

Gene Autry / The Essential

358.jpg 「歌うカウボーイ」こと、ジーン=オートリィの33年から46年までの代表曲を収めたベスト盤。92年のリリース。
 3日続けてのカントリー、それもレーベルまで同じカントリークラシック・シリーズからの紹介となってしまいました。このシリーズもその前に紹介したスリルジョッキーの2枚と同じ様に、固まってCDラックの隅に眠っていたもので、連続して久々に聴いてやっぱりイイんで、紹介してしまおう、って感じなのでお許しを。
 さて、このジーンさん、簡単に言ってしまえば、ギター片手に弾き語りなカントリーシンガー。で、何故に「歌うカウボーイ」と呼ばれていたのかと言いますと、ホンモノのカウボーイだったのではもちろんなくて、いわゆる西部劇な映画やドラマにカウボーイ役で出演して歌うシーンをたくさんやってたからという理由。ジャケとか残っている写真もほとんどが「歌うカウボーイ」と呼ばれるにふさわしい格好をしておられます。
 彼の特徴というのはやはりその歌声と歌唱法にあって、20年代に活躍したブルーヨーデルで有名なジミー=ロジャースのスタイルを取り入れた、「オクラハマ・ヨーデル・カウボーイ」なスタイル。メロディアスに歌いつつ、時に出現するヨーデルな声がとてもゆったりしていて心地良く聴けてしまう。
 サウンド的には前の2枚と同じ様にフィドルやスティールギターはもちろんのこと、とっても効果的にアコーディオンがしっとりと鳴っているのが印象的。で、声としてのヨーデルも入って来て、ハワイアンにも通ずる部分もあったりで、この辺りも面白い。
 楽曲的にここ日本でも幼い頃から馴染の深い曲もあって、「You are My Sunshine」や「Red River Valley」など、キャンプファイヤーが連想される懐かしいモノが収録されてます。
 今回、3日続けて30年代からのクラシックなカントリーをご紹介しましたが、どれもかなり古い録音にもかかわらず、しっかり聴けてしまう録音状態の良さや、今でもこの時代の作品がたくさん流通しているって部分で、やっぱりアメリカは凄いのぉーって改めて感心の連続でした。

Roy Acuff / The Essential

357.jpg シンガーでありフィドル奏者でもあるロイ=エイカフの36年から49年にかけての代表曲を収めたベスト的なアルバム。92年のリリース。
 昨日に引き続き、同じコロムビア音源のカントリークラシック・シリーズからのご紹介。昨日のボブ=ウィルスがウエスタンスィングの巨人であったのに対して、このロイ=エイカフはホント、クラシックなカントリースタイルのシンガー。最初にも書いたようにフィドル奏者でもあり、彼のフィドルはとってもカントリーしたメロディを奏でるというか、和やかでゆったり嬉しい音をしている。
 カントリー的にも古典とも言えるこの第二次大戦前後頃の音っていうのは70年代生まれの自分の耳にはフォークなサウンドとして、とても心地良く聴くことが出来てしまうんである。当然のように全てがアコースティック楽器で演奏されているのもそうだし、ギターなんかはコードのジャカジャカ弾きのようなシンプルでリズム楽器的な役割をとっていたり、ラグタイムなリズム弾きだったりして、アメリカンクラシックと言っていい感じの、カントリー!って括りだけには留まらない、いろんな要素が聴いて取れるのもとっても楽しかったりする。
 あとはやっぱりスティールギターとバンジョーの音がキレイでイイ。楽器的にはこんな感じで、最大のポイントはエイカフの歌声ということになるかな。わりと低めなテナーヴォイスというか、渋くて味もありつつとてもしっかりした声が一番耳にハッキリ飛び込んで来る。歌い方的には高音な声のバックコーラスが入って来て、キレイにハモってる「Fireball Mail」がお気に入り。
 この頃の楽曲で、しかもカントリーな音でありつつ、大抵の方が知ってるモノでこのアルバムに収録されてるのは「テネシー・ワルツ」かな。普通はワルツって言うだけにとってもゆったりとしたバラード調が有名というか、TVとかでも使われてるのはそういうタイプの曲だと思うのだけれど、ここでエイカフさんが歌ってるヴァージョンは、とってもゆったりしているのだけれど、ハキハキと楽しそうに歌ってるのが印象的。

Bob Wills / The Essential

356.jpg フィドル奏者、ボブ=ウィルスの35年から47年にかけての名曲をひとまとめにしたベストアルバム。92年のリリース。
 このブログでの音紹介も350を超えた今になって初めてカントリー系をとりあげるのも不思議な気もするし、まあこんなもんかって感じもしつつ、ご紹介するとしましょう。
 あ、でもこの作品というか、ボブの演奏する曲やスタイルというのは、一般的に思い浮かぶようなコテコテなカントリーウエスタンな雰囲気ではなくて、当時のアメリカではウエスタンスィングって呼ばれてて、カントリーやジャズなスィングと言うよりも、軽快なテンポのダンス音楽としての純粋なスィングって雰囲気である。
 Bob Wills and His Texas Playboysってバンドスタイルというか、スモールコンボのような楽団形式でのプレイで、メインのメロディをフィドルやスティールギター、クラリネット中心でとって、周りをホーンやピアノで盛り上げたまにはヴォーカルもある、って感じで、ウキウキでスィンギーなこの感じはホント微笑ましくて好き。
 カントリー系って紹介しつつ、音的にはスィングだって言ったけれど、ジャケの写真とかそういう資料を見ると、全員が全員テンガロンハットを被って写ってるし、馬にまたがってたりもするんで、やっぱりカントリー系なのは違いない(笑)。というか、その後のカントリー界にサウンド的にも多大な影響を与えた人というか、グループなんですな、このボブさん達は。
 しかし、こういう素晴らしい音もあんまり知られてないのは確かな気がする。そういう自分も昔レコ屋の兄ちゃんやってなかったら絶対聴いてないまま過ごしてるんだろう、とも思うし。
 この作品も最近の紹介と同様にかなり久々に聴いたのだけれど、やっぱりエエですわい。またカントリーやブルーグラス系をより探求というか発掘したくなった今宵でした。

The Lonesome Organist / Collector Of Cactus Echo Bags

355.jpg キーボードプレイヤー、ジェレミー=ジャコブセンによるソロユニット、ザ・ロンサム・オーガニストの97年リリースの1stアルバム。
 連日のスリルジョッキー作品の紹介となってますが、昨日のアイソトープ217°のアルバムと揃ってCDラックの同じ場所で長きに渡って眠っていたのを一緒に取り出したのもあり、これまた久々に聴いてみるかいなぁーって流れでございます。
 ジェイミーの経歴というか、どこの人!?っていうのは、一応Five Styleってインストなバンドのメンバーで、オモロイからソロ出す、って感じだったんだろうけれど、現在このバンド活動してるのか?そして、このザ・ロンサム・オーガニスト名義でもまだやってるのかどうかっていうのは知りません。
 とりあえず、ロンサム〜では3枚アルバム出てたなぁ。キーボード奏者というのがメインだけど、ソロでは収録されてるほぼ全ての楽器を巧みに演奏できるマルチなプレーヤーでもあったりします。歌も歌うというか絶叫されております。
 音的にはホント遊園地のような、楽しくて面白い音の洪水な感じ。1曲目の「The Lost Oar」のイントロのトイ・ピアノの音から楽し過ぎ!1枚のアルバムに26曲も入ってるのに(日本盤のみ)トータルタイムは48分半程度と、2分前後の曲が嵐のように続きます。
 ディキシーランドっぽかったり、ロックやロカビリー的なのもあったり、嬉しい感じのバラードのような曲もあり。やりたかったり、閃いた音を速攻で表現している雰囲気も感じ取れるし。
 どれも短い曲ばかりでこの1曲!っていうよりもアルバム通してザッと聴くのがやっぱり楽しいんだけれど、そんな中でも1番印象的なのは、スティール・パンでレゲエのようなリズムを取りつつ、マンドリンの音がとっても美しい「Swarm Of Bullets」って曲。
 1人で様々な楽器を巧みにこなし、人力感ってイメージがピッタリでもあるのだけれど、やっぱりエレクトロニカ的な打ち込みだったりのテクノ感を感じてしまうのが、スリルジョッキーからリリースされてるってことだわなぁ。

Isotope 217° / The Unstable Molecule

354.jpg アイソトープ217°の97年の1stアルバム。
 いわるゆシカゴ音響派と言われていた流れのユニットというかバンドですな。メンバーの3人はトータスのメンバーでもあるし。ということで、レーベルはもちろんスリルジョッキー。
 発売してすぐ買った記憶があり、その頃はシカゴ音響系好きだったのにもかかわらず、そういう中で一番聴かなかったというか、聴けなかった作品(笑)。で、これまたどうしてって感じで7年ぶり位に聴いてみると、大好きなラインではありませんか!
 結構しっかりしてたり、グルーヴィーなリズムの上にホーン系が不協和音っぽく鳴り響きつつって感じの。で、節目節目でバッチリ合う、みたいな、そんな好きなノリであります。
 ジャケの絵も誰が描いてるか忘れたけれど、スリルジョッキーお決まりな雰囲気で、分かりやすくていいような悪いような。。。
 一番好きなのは「Beneath The Undertow」かな。一番ジャズっぽくあり、ロックっぽくもある。ホーンのアンサンブルが地味めに厚い音でよろし。
 あー、久々に聴く盤であり、そこまでじっくり聴けてもいないんで、もう書くことなくなってしまった。。。だけど、90年代というか20世紀の終わりのシカゴ系の音っていうのは、ひと括りにされることが多いし、自分でもそういうもんだ!って思ってた部分もデカいのだけれど、こうして、久々にちょこっとずつ聴いていってみると、全然ひと括りな音なんかではなく、すんごい様々なテイストが溢れまくっていて、面白い。
 結局、この頃、シカゴ系と言われていたその括りというのは、アーティスト的に何々のバンドやユニットで活動してる人が別の活動としてやってる面白い音的な感じで、そういう人達を辿ると人脈的な括りが似ている、ということかな。まあ、そういう意味では凄い地域です。

V.A. / Blue Juice

353.gif ブルーノートの90年代半ばにシリーズ的にたくさんリリースされていた中の1つである、「Blue Juice」のご紹介。96年のリリース。
 今シリーズの中で一番有名なのはボッサテイスト全開な「Blue Brazil」だと思うけれど、この「Blue Juice」はジャズファンク的なグルーヴ全開なサウンドがライヴ音源も交えつつ集められた、とってもファンキーなコンピ。
 Vol.2Vol.3もリリースされていて、こういう感じのサウンドがブルーノート系にいかにたくさんあるのかって言うのを実感させてくれるシリーズであります。しかも、このシリーズに収録されてる曲で結構CD化されてないモノも多いんで、そういう意味でも貴重なシリーズとも言えるかも。
 CDとアナログ、両方で持ってて、随分と聴いていなかったのだけれど、今年の5月に神戸に行った際に立ち寄ったカフェにてこの中に収録されている、Benny Gordonによる超定番なファンキーナンバーである、「Tighten Up」が流れていたのを聴き、カッコエエのぉ〜と思いつつ、よく考えたらこのアルバム持ってたなぁーってことで、また聴き始めたという流れ。
 最近ではiPod nanoにも入れてたりして、シャッフルで聴いてると、こういうジャズファンクな感じというのは鬼のように新鮮に聴こえて来て、心も弾む気分になれたりして、面白かったりもする。
 アルバムとして、通して聴いてても懐かしさと新鮮さが交じり合う感じもあるし、さっきのようなシャッフルで聴くと驚きと高揚感が楽しめて、ブルーノートコンピ万歳な嬉しい微笑み感というか、そんな気分にさせてもらえるのがイイ。
 1曲あげるとするなら、やっぱりというか、高音フワフワグルーヴ系になってしまうのだけれど、Jerome Richardsonによる「No Problema」かな。フルートとエレビの大好きな高音が堪能出来て幸せになれます、ハイ。

Al Jarreau / Tenderness

352.jpg ヴォーカリスト、アル=ジャロウの94年にリリースされたスタジオライヴアルバム。
 一番最初に聴いた発売当初、凄く音がキレイなのになんで歓声が聴こえてくるのかいな!?って不思議に思った記憶がある。デッカいスタジオでレコーディングメンバーから関係者、友人、知人を招いてレコーディングした作品だったという訳です。
 プロデューサーがマーカス=ミラーということで、それだけれも安心出来る作品だって思われる方もいるとは思いますが、このアルバムの参加メンバーの豪華さといったらもう、70年代以降のフュージョン好きにはたまらないメンツが揃ってます。
 曲の方もジャズなスタンダード、ボッサの定番、ビートルズにエルトン=ジョンととっても幅広く収録されてて、それがライヴの臨場感で一体になった雰囲気もあって、とっても楽しい作品にもなってるのがイイ。
 まず好きなのはオープニングナンバーでありボッサな定番でもある「Mas Que Nada」。スピード感というか疾走感があって、コーラスと歌の掛けあいがいわゆるボッサな雰囲気とは全然違いつつも、しっかりボッサしているって具合はとても面白い。
 次はエルトン=ジョンの曲であり、超有名な「Your Song」。個人的にはエルトン=ジョン自体はほぼまともに聴いたことはなくて、それでもこの曲は知ってる、といった程度。しかし、ここでのこの曲はバラードらしいゆったり感があるのはもちろん、アルのヴォーカルアレンジ具合がとっても好き。
 もう一つ、ジャズの定番で、特にコルトレーンのやってるのが好きと前も書いたことのある、「My Favorite Things」。キャサリーン=バトルと一緒に歌ってるのですが、この2人の声のバランスが心地良くて、歌モノの「My Favorite Things」としては、今作のこの曲が一番良く聴いているし、大好きでもある。
 全体を通して聴くと、やっぱりアル=ジャロウの声がエエのぅ、って感じるのと、最初にも書いたスタジオライヴというレコーディング方法って面白くて楽しいなぁ、って感じですかな。

Tu M' / Just One Night

351.jpg イタリアの小さな村を拠点に活動しているEmiliano RomanelliとRossano PolidoroからなるユニットであるTu M'の先月リリースの作品。
 彼らについてはほとんど知らず、サイトを訪れてみると、何となく色んなユニットやレーベルなど、様々な活動をしているんだなぁって分かった程度。先月の初め頃にかなり珍しく、HMVに立ち寄った時に思わずジャケ買いをしてしまったという経緯のアルバム。
 この何てことはない様で思いっきりシャッタースピードを落とした普通の通りの夜景のキラキラ感にヤられてしまいました。
 聴いてみると、これまた何とも言えない絶妙な高音中心で風景を感じさせてくれるエレクトロニカサウンド。村が活動の拠点とは思えない都市なイメージを彷彿させてくれる。
 酷い言い方をすると、雑音にしか聴こえない場合もあったりするかも(笑)。しかし、この作り込まれた音はとっても繊細でヘッドフォンで丁寧に色んな音を聴き取り感じたくなってしまう魔性なサウンドでもある。
 打ち込みと楽器を駆使し、インプロヴィゼーション的な雰囲気を持たせつつもフワフワもしている。サックスだとか管楽器も色々と使われているけれど、要は不思議なリズムとリバーヴが心地良く効いたピアノの音でしょう。
 楽曲のタイトルも素敵というか好きな感じで、天候にちなんだタイトル名が多く付けられている。タイトル的に好きなのは「Rain In The Streets」とそれに続く「Rain Turning To Sleet」。この雨からみぞれへと続く変化が音的にも連続しているようで、徐々に寒くなってきているっていう臨場感がある。
 楽曲的に好きなのはラストを飾る「The First Rays Of The Sun」。もちろんタイトルも好きだし、一番壮大な雰囲気もあって、何気ない嬉しさが込み上げてくる。
 全体的にとっても静かなアルバム。真夜中に聴きたい感じもあり、冬の海にiPod nanoで連れ出して聴いていたい、そんな気分にもなってしまう作品。

V.A. / Hiroshi's Kick Back Vol.2

350.jpg 丁度10日前に紹介した藤原ヒロシ選曲のコンピのVol.2をご紹介。こちらは今年の3月リリース。
 このVol.2もVol.1と同じくずっとよく聴いている作品。コンピ的な説明みたいなのはVol.1の時に簡単にではあるけれどしてしまっているので、そちらをご参照頂きたい。
 ジャケ的にはVol.1とVol.2は黒と白の違い。選曲された楽曲はもちろん全然違うのだけれど、ヴィジュアル的にはiPod nanoや新しいiPodみたいな違いですな。そういう面からすると、このVol.2の白が好き。
 さて、今回も全曲解説したい気分ではあるが、長々とダラダラ書いていくより聴いてもらいたいので、数曲かいつまんでご紹介。
 あ、その前に、周りの友人の何人かにこの2つのコンピを聴かせたところ、圧倒的にこのVol.2の方が支持率が高いというか、気に入った方が多かった。理由としては春のドラマで主題歌にもなっていたマイケル=ジャクソンの「Ben」の藤原ヒロシによるremixが収録されている部分によるのが大きい。このremixは確かにとってもエエんです。
 では好きなのを。まずは3曲目のGary Bartzの「I've Known Rivers」。これがオリジナルなのだけれど、ここでも紹介したコートニー=パインがカヴァーしてるので大好きになった曲。コートニーのヴァージョンはとっても洗練された最近の音って感じでいいけれど、ここに収録されてるオリジナルはライヴ録音で、ゆったりのんびりした雰囲気がありつつ、キメなエッジはしっかり効いててカッコイイ。
 お次は6曲目、大好きなマリーナ=ショウの「Feel Like Making Love」。愛聴盤であるブルーノートリリースの「Who is This Bitch, Anyway?」からのナンバー。凄く知ってる曲にもかかわらず、このコンピの中から聴こえてくると、それだけでとっても新鮮なのが嬉しかった。
 続けて7曲目、これまた大好きなロニー=リストン=スミスの「Quiert Moments」。エキゾチックムード満載のインスト曲。ローズなエレピにヤられてしまいます。
 最後に10曲目、ブラック・マジックによるミニー=リパートンのカヴァーである「Perfect Angel」。これはこのコンピで初めて聴いた作品。「Perfect Angel」って曲は知ってたけれど、こんなUKっぽい打ち込みなラヴァーズ調がしっくり聴けてしまうとは不思議なのとともに、嬉しい驚きだった。
 ざっと幾つか紹介しましたが、もちろん、全曲心地良くて最高です。1と2通して聴くのもとっても幸せになれると思うし。

Louis Armstrong / What A Wonderful World

349.jpg トランペッターでありヴォーカリストなエンターティナー、サッチモことルイ=アームストロングの67年と68年に録音されたヴォーカル作品を集めたベスト的なアルバム。
 サッチモこの1枚と言えば、確実にこのアルバムでしょう、って位に定番で名盤な作品でもある。彼の黄金期というのは実は40年代で、今作が制作された60年代後半というのは、いわば晩年になる訳ではあるが、アルバムタイトルであり、CMなどでも使用された超有名曲の「Waht A Wonderful World」や「The Home Fire」なんかはこのアルバムのリリース時点で新曲だったりもする。
 オーケストラをバックに歌ったモノとスィングなスモールコンボをバックに歌ったモノがほぼ半分ずつ収録されていて、とっても豪華でキラキラした感じがありつつ、サッチモの艶のあるダミ声がとても心地良く耳に染み込んで来る。
 先程、このアルバムはサッチモ的には晩年だって記したけれど、事実、この録音時は彼は60代後半。でも、ノスタルジーに浸った感じの作品では全然なくて、イイ意味でゆとりがあって懐の広い声と音が優しい気持ちにしてくれる。
 30年代や40年代のヒット曲なナンバーはディキシーランドなスタイルの楽曲なのだけれど、モロにそういう雰囲気にはなってなくて、60年代後半に録音しているだけあって、とっても落ち着いて聴けてしまうのである。
 まあ、何だかんだ言ったところで、とにかくサッチモが素晴らしい!以外の何者でも無いというのが正確というか正直な部分だ。ジャズマンとして、トランペッターとして、ヴォーカリストとして、エンターティナーとして、とにかく凄いから、このアルバム位は聴いておいて損はないよ〜という作品。
 全曲3分前後という、昔の作品らしい尺の長さで、最近の楽曲に慣れてる方には物足りない部分もあるかも知れないけれど、この尺のほど良さもなかなか気持ちのいいものである。全部聴かなくとも、「Waht A Wonderful World」だけでも、というのでも全然構わないと思うし。クセになりますわい。

What a Wonderful World

Uma no Hone / S.T.

348.jpg キリンジの弟君である堀込泰行によるソロプロジェクト、馬の骨の先日ここでも紹介した1stシングル2ndシングルを含む1stアルバム。先月21日リリース。
 発売直後に購入してから、徐々に聴く回数が増えていっている作品。プロジェクト名の馬の骨というのがどうか!?って思ってたのが、このアルバムを聴くことで、シンプルで骨太なロックとカントリー&フォークなテイストが耳に響いて来ることによって納得出来るようになってまいりました。
 最初の曲であるRobert Lester Folsomのカヴァーの「My Stove's on Fire」やプレスリーの名曲「I Want You, I Need You, I Love You」なんかの英語詞もほんわか聴けるし、アルバムを通して堀込泰行ワールドな白い世界が広がっております。もしも、同じ曲をキリンジとしてやったとしたら、お兄ちゃんの得意とする、もっとブラックミュージックなテイストの演出が出て来ると思うし。
 今回、ここに書くにあたって、多分自分では初めてとなる、iPod nanoからヘッドフォンで聴きながら1曲ごとにメモを取るということを実験的にやってみました。で、箇条書きの様に簡単にそれぞれひと言ふた言ずつメモしていったんだけれど、そこに書いた表現は大抵、ロックンロール、カントリー、フォーク、プログレなんて感じでありました。
 プログレというのが既に聴いてる方からすると、?な感じもすると思うけれど、メロディの展開やオルガンの効果的なサウンドとかが、微妙にプログレ調な部分が聴き取れて、楽曲の面白さが膨らんでるなーと感じたのでありました。
 そんなメモ取って聴いたり、普段よく聴いてたりでの、アルバム全体として最も馬の骨的な曲だなぁーって思ったのは2ndシングルである「センチメンタル・ジャーニー」。この軽快で爽快なカントリーロックンロールな雰囲気が凄く象徴的に聴こえてしまいました。
 聴けば聴く程、楽しくなっていくし、これを良く聴くことによって、またキリンジとしての新作も早く聴きたくなってしまいました。

馬の骨

Jim O'Rourke / Insignificance

347.jpg ジム=オルーク、2001年リリースのソロ名義のフルアルバムとしては2作目に当たる作品。
 このアルバムもリリースされた頃から持ってるにもかかわらず、あんまり聴いていなかった作品。その当時、やっぱり彼のソロであれば、ここでも紹介している前作の「ユリイカ」の流れをくんだポップなエレクトロニカを期待していたのもあり、1曲目の「All Downhill From」のギュインギュインなギターを聴いて、おや違う!?な気分になってしまってたんで、そんなに聴いて来なかったのであった。
 で、最近このブログで紹介している少々古い作品と同じく、久々にじっくり聴いてみて改めてエエなぁーと思ったモノの1つという訳であります。
 60年代、いや70年代っぽいエッジの効いたギターのディストーション具合が鬼のようなロックを感じさせてくれ、そんな中にもちょっとしたフレーズではジムらしいというか、繊細で美しいメロディが見え隠れするそのバランスはやっぱりジム=オルークの音なんだ!って実感出来ます。
 アルバムの後半に差し掛かってくると、フォーキーになりギターもアコギでアルペジオのフワフワ&キラキラした音がとっても心地良く聴けてしまいます〜。
 ロックな感じとフォークな感じがあるアルバムですが、基本はポップ。さっきも書いた、繊細で美しいメロディが凄くイイというのと、ジムの作品ってソロ以外でもリズムの刻み具合がまさにマジックだ、と。間だったりタイミングだったりも微妙にずらしてたりしてあるのが、心地良さを倍増させてくれたり、単純なビートの部分でも良く聴くとそれはそれは細かい音作りがされているのには感心してしまいます。
 ジム=オルークって人の作品は聴く度に新たな発見をもたらしてくれて嬉しいですな。

Elephant Love / Otona wa Tanoshii

346.jpg エレファントラブ、98年リリースのマキシシングル。
 彼らの作品として唯一持っている1枚で、しかもサンプル。しかし、この曲、鬼のように好きなんですねぇー。特に詞が。嬉し楽しポジティブ全開な楽曲でございます。
 ちょっと、とっても好きなフレーズであり、色々と考えさせてもくれてしまうこの歌詞の一部分をここに抜粋してみましょう。

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「大人は大変 子供の頃良かった」そんなこと言う人大人じゃない
じいさんになっても子供は子供 ハイハイしてても大人は大人
真の大人は無制限に自由を使う 自分をどう使ってもいい
大事にしてもボロボロにしても 楽しくないはずがない
さあ、きみもこの手につかまってこっちへおいで
楽しい夜を力を抜いて 悦びを探そう
さあ、きみも今日から大人 ここから全てが始まる
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 こんな感じで終始大人万歳な詞にシビれてしまいます。よく、何時いつの頃に戻りたいとか、そういう事を言う方もいるけれど、今を楽しく生きようぜ!っとノリノリで言いたくなる楽しさを持った詞であります。
 サウンドについてはメインのアダルトMIXのインスト部分をやってるのが今ではスマップなんかのプロデュースで有名なChokkakuこと島田直さんです。ホーン&ストリングスのバランスやギターのカッティングの心地良さがソウルフルでよろしゅうございます。
 このChokkakuさんというと、昔、彼がまだ広島でアマチュアだった頃にやってたラジオ番組にデモテープを投稿して、そのコンテストに出たという思い出もあったり。。。
 そんなこんなで、この楽しい曲は現在廃盤になってはおりますが、さすが発売元のソニー、自分の所のサイトと系列のMoraではダウンロードで買えます。こうするなら、早くiTMSでも売ってくれぃ。

The Velvet Underground / The Velvet Underground & Nico

The Velvet Underground / The Velvet Underground & Nico 今さら説明不要だとも思うけれど、ヴェルベット・アンダーグランドの67年の1stアルバム。
 先週、藤原ヒロシ選曲のコンピを紹介した中にこのアルバムに収録されてる「Femme Fatale」の戸川純ヴァージョンが入ってたのもあって、久々に聴いてみようかなぁーって感じで、ゆっくり聴いてみたのでご紹介。
 久々の感想として、ルー=リードの声が若い!(笑)。ヴェルベッツ作品は一応全部持ってて、昔は良く聴いていたのだけれど、それ以上にルー=リードのソロになって以降の方が好きで、そっちは鬼のように聴いていたのもあって、若いなぁというのが印象的であった。
 よく聴いてた高校生の頃は、アルバム丸ごと聴いてるとポップでカッコイイ曲もあればちょっとドロドロした雰囲気のマイナス思考になっていきそうな感じの曲もあるんで、ずっと聴き続けるのはしんどいって感じてたんだけれど、今はどれもポップで面白いサウンドに聴けてしまう。演奏の粗削りな感じが逆に楽しくなってしまうというか、そんな感じだ。
 アンディー=ウォーホールのこのバナナのジャケがあまりにも有名だし、やっぱりこのジャケよ〜、なんて言われることもしばしばなアルバム。しかし、個人的にアンディー=ウォーホールの描いたジャケの作品として好きというか、すぐに浮かんで来るのは、ケニー=バレルの作品のラフなデッサンな雰囲気のジャケの方。例えば、「Kenny Burrell Vol.2」とか「Blue Lights Vol.1」とかこんなやつ。この辺はやっぱり自分がジャズ系大好きっていうのが大きいからしょうがないんだけれどもね。
 さてさて、少し話題が脱線してしまったりもしましたが、ヴェルベッツの1stって作品はやっぱりルー=リードの楽曲のポップさと、この独特な歌い方というか節回しがエエなぁーって、嬉しくなってしまう作品であります。

The Velvet Underground & Nico (Deluxe Edition)

Molly Bee / Young Romance

344.jpg シンガーであり女優としても活動していたモリー=ビーの、ボブ=ベイン楽団をバックに歌った58年の作品。キャピトル盤。
 彼女については詳細はほとんど知りません。カントリー畑から出てきた人でそっち系も得意だということ位しか。。。10年程前に東芝EMIからキャピトルのヴォーカルアルバムがアナログとして復刻されたシリーズの中の1枚。その頃はちょっとでもジャズ系な国内盤のアナログ復刻関係を買い漁っていた時期で、そういう流れで持っている、という感じかな。
 買ってすぐに一度だけ聴いたことがあった程度で、すっかり眠らせていたアナログ、ということになる。たまにレコード棚を漁っている時に手には取ってみるものの、このジャケを眺めては、聴く気分じゃないよなーと思うこと数年、ようやくじっくりと聴いてみようと思ったのが昨日のこと。
 で、ですな、思いっきりハマってしまいました。何か知らないけど素晴らしい。声はもちろん、バックの楽団がスィングのスモールコンボによる演奏で、ジャズというよりも、イージーリスニング、いや、ムードポップって感じ。だからよくこの頃の歌モノを表現する時は単にヴォーカルって言うんだなってのも納得。モリーの声と一緒に聴こえてくるコーラスのアレンジがこれまたホワホワな感じでとっても心地良いサウンドなのであります。
 時代的にちょうどアメリカンポップスが台頭を始める頃だし、その手前のポピュラーな歌モノってな感じって言えばいいんだろうか!?とにかく、この時代には生きていないから分からないけれど、アメリカの家庭のAMラジオから流れていたような雰囲気だ(笑)。
 せっかくハマってしまったんで、こういうラインのCDをネットで探してみたのだけれど、あんまりCD化されてない模様。この作品にしても入手関係になるとほぼ情報が無くて、中古レコード屋で1万円以上の値が付いてたのがあった位。
 収録曲については唯一知ってたのが、以前ここでも紹介した、ホーギー=カーマイケルの作品である「I get alone without you very well」。どれも3分以内の短い曲で、ちょっとしたリラックス&ムードを味わいたい時にピッタリ。

Pete La Roca / Basra

343.jpg 久々のブルーノート、ドラマーであるピート=ラ=ロカの65年のリーダー作。ブルーノートNo.4205。
 ジャケの雰囲気から、通称「ブルーゼブラ」と個人的に勝手に命名しているアルバム。多分、誰もこんな呼び方してないと思うが。。。
 60年代に様々なコンボでプレイしてて、色んなアルバムにて彼のプレイを知ってる方もいるとは思うけれど、このリーダー作品は、ブルーノートでも人気盤ということになっているみたいだ。みたいだって表現を使ったのは、ジャズ好きにはよく知られているのは分かってるんだけど、実際、ちょっとだけジャズ好きって人にこのアルバムの話題を振っても?な表情をされたことしかないので(笑)。
 さて、音の方を。本日ここに書くにあたって、久々にアナログを取り出して聴いたんであるが、こんなに聴きやすかったっけ!?ってちょっとビックリした。10年位前にたまに聴いてた頃には、凄く激しいタイコ叩く人ですのぉ〜って思ってて、すぐにお腹一杯になっていたのに。今は割ときっちりリズムを刻んでますなぁ、と思ってしまった。ただ、ちょっと手数多過ぎない!?って思う部分もある。
 カルテットな演奏で、テナーサックスが大好きなジョー=ヘンダーソンなんであるが、オープニングナンバーである「Malaguena」のヘンダーソンのテナープレイはバリトンではないんかい!?ってな位、鬼のように図太くて嬉しいブロウが聴けます。キューバの作曲家の楽曲なので、ラテンっぽさもあり、それがまたテナーを強烈にさせている雰囲気もある。
 アルバムの半分がピート自身による曲で、きっちりモダンジャズなモノ、ちょいとエキゾチックなバラード、そして、タイトル曲である「Basra」はミステリアスな雰囲気を持ったアヴァンギャルドっぽい楽曲と、コンポーザーとしても幅広い音を繰り広げております。
 このピートさん、一時期ジャズマンから引退して弁護士やってた時代もあったそうです。最後に、トータルではジャケが好きですな。

Hanaregumi / Hana-Uta

342.jpg このブログではもうお馴染となっているハナレグミの先月14日リリースのベストアルバム。DVD付きの方。
 オリジナルアルバム3枚の時点でベストが出るとは早いなぁ〜と思いつつ、映画「サヨナラCOLOR」の影響もあって、ここぞとばかり東芝EMIのSP展開戦略なんだろうなー、って考えたりもしながら、まあ、好きだからそりゃ買うでしょ!という流れです。
 シングルカットされたものを中心にこれまでの3作の中からのチョイスと、冨田ラボや半野喜弘とのコラボ作、そしてCM曲に大沢誉志幸のカヴァーのライブヴァージョン、唯一これまで未収録だった曲が1つという構成です。
 実はまだDVDの方は観てません。。。これプロモばっかりなのかな!?それともライヴもあるのかな?プロモだったら、ほぼ音楽チャンネルなどで観てはいるので、もうしばらくしたらゆっくり観ようかと。ライヴの収録があるのなら早く観たいというのもあるけれど。
 プロモとかライヴとか、音と映像が一緒なモノは大好きなはずなのに、中々観ないんですねぇ。音楽チャンネルならわりと観るけれど、一度所有してしまうと、いつでも観られるじゃん、ってなってしまいます。
 いや、ホントのところは、CDとして買ったというのがデカいんだとは分かってるんだけれどもね。音だけなら、他のことしながらでも聴けてしまうし。
 さてさて、ハナレグミについては、このブログではアルバム関係は全て紹介しているので、今さらどの曲が好き!って書くのもどうかなーとも思ったりもしております。
 ただ、このベストをざっと聴いて改めて思ったのは、ハナレグミな歌で個人的ベストワンは、冨田ラボとの「眠りの森」だ、と。多分、聴いた回数もダントツだと思うし、プロモも凄い回数観てる。もちろん、ハナレグミな楽曲は全部好きなのは当たり前な具合ですが、この「眠りの森」の心地良さ、泣ける度、好き具合は他を圧倒してしまってます、はい。

Hana-Uta

Nico Saquito / Good-bye Mr. Cat

341.jpg キューバのシンガーソングライター的な隠れた巨人、ニコ=サキートのラストレコーディングである82年の作品。
 グアラーチャっていう、キューバ音楽の1つのスタイルの代表的な人物。90年代後半に話題となったブエナビスタなんかのソンやルンバ的なスタイルともとってもよく似ているので、その辺りが好きな人もすんなり聴ける音。ギターをはじめとする弦楽器とパーカッションのシンプルな構成の楽曲に歌やコーラスって感じで、特にギターと歌のコンビネーションが軽快なテンポのパーカッションに載ってて、ダンサブルでもある。
 簡単にざっと音楽スタイルについて書いた所で、今だからこそ、この位の感じのことは知っててそれなりにキューバの音楽も聴いてたりはするけれど、このアルバムを買った時はジャケ買いです(笑)。当時は中南米の音と言えばジャマイカ系やボッサ程度しか知らず、このジャケットの使い古されたガットギターを渋く奏でる爺さん!ってのに物凄く魅かれたのでした。で、聴いて正解!となり、キューバ系も追うようになった感じですな。
 アルバム1曲目の「Al Vaiven de Mi Carreta」はすこぶる名曲だそうで、イントロが流れ出すと同時にニコ=サキートの紹介ナレーションが入ってます。好きなのは3曲目の「Maria Cristina」かな。ニコともう一人、ちょっと誰か分からないんですが、この2人のとっても楽しい雰囲気での交互に歌ってる掛け合いみたいなのが、聴いてると自然に笑顔にならせてくれて嬉しくなれます。
 ラテンな陽気さと共にとってもフォーキーな作品でもあり、歌とギターのシンプルな素晴らしさを堪能できる1枚。

V.A. / Hiroshi's Kick Back Vol.1

340.jpg 藤原ヒロシ選曲による、2004年リリースのコンピレーションアルバム。
 このシリーズ今のところもう一枚Vol.2も出てまして、どちらもずっとヘヴィーローテなアルバムとなってて、CDはもちろん、MacにiPod shuffle、iPod nanoと全部に入れていつでもどこでもに近い位よく流れている感じになっております。
 藤原ヒロシが昔、友人に贈るのに作ってた個人的なミックステープに入れてた楽曲がベースとなってて、ホント、ジャンルなんて関係なく、こういうの好きだしいいから聴いてみてね、っていう選曲。
 2の方は後日改めて紹介するとして、今回はVol.1ですな。さっきも書いたようにジャンルとかそういう分類では語れないというか語る必要は全くないんだけれど、全然バラバラなアーティストの楽曲が収録された全14曲はあまりにもスムーズに心地良く聴けてしまうんである。テンポ的にはスローからミディアムな感じでソファにゆったりと深く座って楽な感じで聴いていたい雰囲気。
 全楽曲を解説したい位だけど、あまりにも長くなるんで、とりあえず特にお気に入りのものを。
 まずは2曲目のトッド=ラングレンの「Be Nice To Me」。トッドについてはコンポーザーやプレーヤー、アレンジャーとしての才能がすげえ!って思ってたのが、この曲で凄く素敵なヴォーカリストだ、ってなりました。ピアノをメインにトッドがキレイに歌う、それはそれは心地良いバラード。
 次は10曲目の戸川純の歌う「Femme Fatale」。小中学生の頃、何故か戸川純大好きだったんだけれど、この曲はこのアルバムで初めて聴いた。ベルベットの超有名なナンバーのカヴァー。ニコとはまた一味違う戸川純らしい感じで弱々しさもあってよろし。
 そして、スペシャルズの「Do Nothing」。よく知ってるスペシャルズのちょい遅めなテンポのレゲエナンバーなのだけれど、このアルバムの中では異色な感じもあるのに、とっても馴染んで聴こえてきて、また久々にスペシャルズを聴きたくなってしまった。
 最後にラストナンバーのウィリー=ネルソンが歌う「Moonlight In Vermont」。カントリーの大御所というイメージで、今までに聴いてたのもカントリー系ばかりだったんで、こんなバラードを歌ってることに感激。タイトルよろしく、まさに夜中な曲。
 とにかく全部いいんです。超オススメ。長く聴けるし。

Sunnyday Service / A Night of Love & Laughter

339.jpg サニーデイ・サービス、97年リリースの3rdアルバム。
 かれこれ何年も聴いていなかった作品なのだけれど、今年の夏前頃にふと、CDのラックをボーッと眺めてて、ケースの形状が辞書みたいなしっかりした紙のハードケース仕様(初回盤)になっててひとつ微妙に飛び出しているのに気付いて、かなり久々に聴いてからというもの、最近またちょくちょく聴いているアルバム。
 97年当時のヘヴィーローテだった頃の記憶というのは思い出せないのだけれど、曲はどれも鬼のように覚えていてノリノリで聴けてしまうから不思議だ。特に最初の3曲、「忘れてしまおう」、「白い恋人」、「Jet」の流れは全然ノンストップにはなってないのに、さもノンストップのような連続した疾走感がエレキを鳴らしつつ叫びたくなるモードに突入!って盛り上がり具合だ。
 さっき、これまた思いっきり久々に歌詞カードを見てみたのだけれど、曲抜きで詞だけ読むと、改めてラヴソングだらけで、もちろん聴いているから頭ではよく理解してるのに、曲を聴いているとそういう詞よりもロックなギュインギュインなイメージが先行してしまってるなーとも思った。
 サニーデイ史上、最高傑作とか言われたりもするこのアルバム。確かにバンドサウンドとしての一体感というか、ロック度からいうと一番好きなことは確か。聴く度にギターを弾きたくなってしまうのに、現在手元に置いていないのが残念でしょうがなくなる。
 さっきも書いた最初の3曲の連続性だけでなく、アルバム通して全10曲が一気に耳に流れ込んで来るこの雰囲気はやはり傑作ですな。シングルカットされてた「白い恋人」と「サマー・ソルジャー」の2つの名曲だけを聴くのもいいと思うけれど、やっぱり全曲一気にガツン!と聴くのが似合うアルバムである。

Monday Michiru / Free Soul Collection

338.jpg SUBURBIA、橋本徹監修によるMonday満ちるの1994年から2001年までの作品からセレクトされた、フリーソウルテイストなコンピ。先月21日のリリース。
 最初店頭で目にした時、ジャケにデカデカと「free soul」の文字があって、Mondayのポートレートが写っているんで、Mondayセレクトのフリーソウルコンピかと思ってしまった。それなら凄く気になる!って思って手に取ると、文頭に書いた通りの一種のMondayベストな感じのアルバムで、彼女の作品はほぼ全て持ってるし、要らないかぁ〜って思ったのだけれど、全部持ってるからそこ欲しい!となったのでした。
 まあ、初期の作品は全てアナログでしか持ってないのもあったんで、ほど良い選曲で初期の作品がCDやMac、iPod系で聴けるのはいいじゃん、と思ったのもあったりもしますが。。。
 さてと、音の方なんですが、現在の彼女はアコースティックな楽器とのジャズっぽいテイストが多く、ここに収められた楽曲とは雰囲気が違う部分もあったりしますが、Monday初心者な方にはピッタリなアルバムではないかなぁと思います。タイトルのフリーソウルというのにとらわれることなく、心地良くゆったりと聴けてしまう約80分の世界が楽しめます。
 1曲目に「Lovin' You」のカヴァーがアコースティックライヴヴァージョンで持ってきてあるのはフリーソウルってのを狙い過ぎた感じもあるけど、抜群によろし!です。この中で好きというか、思い入れたっぷりなのは5曲目の「Sunshine After The Rain」ですかね。10年前の個人的なテーマ曲でした。一番有名なのはとってもハウスな「You Make Me」。結構聴いたことある方も多いはず。
 全体を通すと、改めてジャズ〜ラテンフレーバーに満ちた楽曲が多いことにも気付きます。だからこそ好きだってのもあるかな。でも、楽曲云々の違いに関係なく、Monday満ちるというアーティストが大好き!ってことです。とってもジャンル分けするのは難しいし、あんまりする気もないけれど、今回はJazzとしておきます。

Monday Michiru: Free Soul Collection

Some Water and Sun / All My Friends Have To Go

337.gif 大好きな兄弟ユニット、スパノヴァの弟君であるShin Tasakiと、シカゴのレーベルHeftyの主宰者であり、Slickerとしても活動しているJohn HughesのユニットであるSome Water and Sunの今年6月リリースの1stアルバム。
 このブログにてyukieの1stを紹介した時にリンクもはって頂いているmi-napさんのコメントをきっかけに知って、店頭に並び始めた7月の頭頃に購入。それ以来結構よく聴く作品となっていたのではあるけれど、このアルバム、文章にするにはどう説明していいのやら!?って感じでようやく書いてみようという具合でございます。
 超簡潔に言ってしまえば、好きな感じのエレクトロニカで歌具合とyukieのコーラスのカワイイ声がツボということ。ただ、エレクトロニカ系な作品です〜って言い切るにはあまりにも色んな音やビートが凝縮されていて、とってもヴァラエティに富んだアルバムで、そういう部分がまたイイんである。
 サンプリングメインの楽曲で、ビートも面白く、かつ、しっかりしているし、個人的には初期スパノヴァをも感じさせるロックな音でもあるなぁって思う。それでもやっぱりこの軽快さというか、ポップなエレクトリック満載度というのは、John Hughesマジックというか、Some Water and Sunならではのこのユニット独特なサウンドであります。
 なんだかんだで、一番気になるのはやはりyukieのコーラスというのも正直なところで、久々に彼女の声が新しい作品としてリリースされたモノの中に収録されているという嬉しさの事実がデカいんですね、はい。
 アルバム中最もテンポのある曲でありアルバムタイトルにもなっている「All My Friends Have To Go」の彼女の声がコーラスとしてのyukieらしさを思い出させてくれました。
 でも、ホント一つの作品としても楽しく長く聴けてしまうアルバム。今後も新たな作品を次々と生み出して欲しいものですな。

Tomita Lab / Zutto Yomikakeno Natsu

336.jpg 冨田ラボ、10日前にリリースされたニューシングル。
 今作は冨田ラボxCHEMISTRYx糸井重里というトライアングルコラボな作品として、発売前からわりと大々的に宣伝されていたので、この辺りはサラッと書いておきましょう。もちろん抜群に好きでよく聴いているというのは言うまでもありません。
 さて、楽曲、詞、歌、どれがどんな具合にイイ!とかいうより、今作はプロモが鬼のようによろし。とにかくどんなことをしてでも観る機会を作って頂きたいのです。
 ジャケに写る少年が主人公のショートストーリー仕立てになってて、当然のようにこの「ずっと読みかけの夏」がバックで流れてて、切なくて嬉しい感じで思いっきり泣きました。久々に音と映像の絡みがジャストなツボで、観終わってしばらく放心状態。ホント、グッと来る感動作となってます。
 たった6分半の世界なのに、そこら辺の超大作感動モノ系の映画なんかより全然素晴らしい。目と耳に訴えかけて来る、ってこれなんじゃいのぉーって感じで、自分でも映像撮りたくなってしまいまして。。。
 ようやく、音的な部分の方面を。CHEMISTRYはもちろんよく知ってるけれど、実際じっくり聴いたことはなく、ヒットした曲であれば、どこかで流れてたら、彼らだって分かる程度。でも、この曲にはバッチリな声です。やっぱり歌上手いですな。それでも彼らのアルバムとかを聴こう!とはならないんだと思うけれど。冨田ラボの楽曲にこの声が載ってるからこそ好きなんだろうし。
 詞ですが、糸井重里という人はこの2005年にこんな嬉し泣きな言葉を綴れるなんて、エエなぁーな気分です。
 元々、冨田ラボ大好き、ってここでも何度も言ってるし、今後もずっと好きなのは変わらないのだろうけれど、今作に関しては、まず最初にプロモで音と映像を体感してしまったが為に、今まで以上に印象深い作品となったのでした。
 ホント、プロモ、絶対観て下さいな。