*music

sutero choice sound selection

Blankey Jet City / A Red Tambourine

 ブランキー・ジェット・シティー、98年リリースのレッドなシングル。
 一般にはブランキーと呼ばれることが多かったとは思いますが、個人的には「ブラジェシ」とよんでおりました。既に解散してしまって、現在はそれぞれで色々な活動されてますが、ブラジェシ関連では全て含めて、唯一好きな曲がこの「赤いタンバリン」。
 久々に音楽チャンネルでこの曲のプロモが流れてて、曲の格好良さと同時に、真っ赤なドレスを着た、白人女性がとっても印象的なのを思い出して、観ておりました。
 DJしてる時にもたまに回してたけど、この曲と椎名林檎の「幸福論(悦楽編)」を2曲続けて流した時が、これまでで一番盛り上がった場面だったような気もする(笑)。
 彼らのサウンド的なところでは、中村達也の叩く太鼓の独特の重さは凄いと思う。ライヴも観たことあるけれど、ブラジェシのライヴだと、当たり前に3ピースなのに、音が重いので、それがブラジェシサウンドって普通。で、一時期、スカパラのサポートで叩いてた時にそのライヴを観て、スカパラのライヴは何度か観たことがあるけれど、あれだけ太鼓の存在感が圧倒的だったのは、中村達也の時だけ。いやー、ホントに凄い音圧です。
 とはいえ、解散する直前まで、ブラジェシと言えば、イカ天出身バンドってイメージを払拭出来ずにいたから、じっくりと聴いたことはずっとなかったというのも事実。
 まあ、最後の頃の活動はよく観ていたので、格好良さはよーく分かる。

Oasis / (What's The Story) Morning Glory ?

 オアシスの言うまでもなく、代表作とも言われる95年の2ndアルバム。
 たまたま、テレビを付けたら、「Glastonbury Festival」のオアシスのライヴの部分を放送してて、観れた2曲がこのアルバムに入ってる「Wonderwall」と「Don't Look Back In Anger」で、アルバムの曲順と同じ並びじゃんと思いつつ、アルバムを聴きたくなって、引っ張り出し、ホント何年かぶりに聴いてみた。
 やっぱりカッコイイですな。自分の中では彼らの音っていうのは、コテコテのukロックという感じなのだけれど、久々に聴くと、そういうカテゴライズはどうでもよくて、エエ曲やってるねーって思った。
 一応、注目し始めたのは最初のシングル「Supersonic」がukリリースされるってのを、インフォで見た時なので、まだ全然注目もされてない頃と早かったのだけれど、聴いて、イマイチな印象だった。
 でも、1stと2ndアルバムは好きというか、好きな曲が入ってるってことで、昔は結構聴いてたかな。1stでは「Married With Children」、2ndではやはりというか、テレビでも観た「Don't Look Back In Anger」が大好き。
 よく言われ賛否両論あるけれど、ビートルズだとか60〜70年代の音を被せてる感じは、パクってるって言われることもあるけれど、そこはセンスの問題で、彼らは絶妙だ。
 アナログでしか持って無くて、アルバムは全部2枚組で、聴くの面倒だから、CDで買い直したいなぁーと思ってしまった。

Monday Michiru / You Make Me

 マンディ満ちる、98年リリースのマキシ・シングル。
 12インチとCD両方持ってます。大沢伸一的ハウスと言えば、この曲!ってイメージがもの凄くある。本日、CDの方をやたら久々に聴いてみたところ、やっぱり気持ちがイイんである。
 アナログに入ってるヴァージョンの方が、いかにもフロア向けな、4つ打ちを思いっきり引っ張ったヤツで、これはこれでとってもカッコイイんであるが、CDのシングルヴァージョンは、普通に部屋で聴くには丁度良い感じだ。
 このCDの盤が両面真っ赤で、当時はとっても新鮮だったなぁ。今でこそ、CD-Rなんか、七色なんて、カラフルにあるから全然普通だけど、この頃は赤い読み取り面なんて、大丈夫なのか!?・・・いや、そこまで大げさではなかったけれど、このテカテカ光る赤さに盤をジロジロ眺めてみたりもしていた。
 この曲のちょいと前あたりから、マンディ自身で作詞作曲、プロデュースなんかもマルチにやるようになって来て、それで結局大沢一派から、オリジナルな道に進み始めたという、ある種の分岐点になる曲だったとも、個人的には思う。
 まあとにもかくにも、カッコイイ曲でございます。一緒に入ってる、映画「hood」のテーマ曲だった「Saturday Night」も改めてエエ曲ですわい。
 アマゾンのレビューに「最近ワイン通としても知られる〜」ってあるのだけれど、これは初耳でした(笑)。

Soul Flower Union / All Quiet On The Far Eastern Front !?

 ソウル・フラワー・ユニオン、今年の9.11リリースのシングル。
 それまでライヴ会場のみで販売されていたこの「極東戦線異状なし!?」が好評につき、ようやく一般向けリリースとなった作品。シングル扱いなのだけれど、ライヴ音源も収録されて、11曲入りとお得盤である。
 いや、彼らのこの感じ、すっかり忘れていた。それまでの作品は結構聴いてはいたのだけれど、やはりしばらくライヴには足を運んでいなかっただけに、この作品を聴いて、目を覚まされた感覚だ。
 このサウンドにこの詞、彼らのスタイルのロックンロールが自分の中に蘇った。ライヴ曲ではニューエスト時代のナンバーも4つもあって、ウキウキになれたし。
 ジャズとか、ボッサとか、最近の打ち込み系とか、色んなサウンドがとっても大好きだし、よく聴くのはもちろんなのだけれど、やっぱりソウル・フラワーの音というのは、ガツンッ!と巨大なパンチを浴びせられてるくらい、強烈にカラダに響いてくれる。
 彼らはホント、様々なスタイルの音を奏でてくれて、それはそれは毎回の作品が楽しみでしょうがないのだけれど、この作品は、もちろん、強烈だったんだけれど、最初にニューエストを聴いた時の若かりし頃の人生最大の衝撃みたいなのを思い出させてくれた。
 前進しながらも、根底の部分の楽しいロックンロールってのは一緒だな〜って、それはそれは嬉しくなれた。「秋の夜長」最高です!

Zoot Sims / New Beat Bossa Nova Vol.1&2

 テナーサックス奏者、ズート=シムズの62年Vol.1とVol.2をまとめた2in1な作品。
 ズートに関して、個人的にはさほど興味はないのだが、演奏も色んなミュージシャンとの競演も含めて上手いなぁという印象がある。
 このコルピックス盤は初CD化だそうで、どうりで知らないということだ。先月末のリリースで、レコ屋のニューリリースの棚に並んでて、「Bossa」ってのと「Zoot」って書いてあるジャケを見て「何これ!?」と思い、曲を見てみると「Regado Bossa Nova」やってるじゃん!って感じで購入してみた。その「Regado Bossa Nova」も2ヴァージョンもやってて、なかなか面白い演奏。
 寺島靖国コレクションってシリーズのCDとしてリリースされてるのだけれど、ライナーの中、そして帯にも「遂に世に出した。やっと光を当てた。」とある位にこれまでは日陰なアルバムだったのだろう。まあ、コルピックスってレーベル自体が地味だけど。
 全体の音的なものとして、ボッサやサンバっぽい雰囲気で一杯なのだけれど、やはりというか、ズートらしい、洒落たキレイなジャズである。
 大好きな高音系管楽器奏者のフィル=ウッズのフルートも堪能できるし、ギターではケニー=バレルとジム=ホールも参加している。メンバー的にもこんなに豪華なのに地味だったのはレーベル的なセールスプロモーションの影響なのか・・・。
 ともかく、洒落たラテン系ジャズサウンドを気軽に聴きたいならば、18曲も収録されてて、いろんなミュージシャンのプレイが堪能できるお得な1枚。24ビット処理で音もイイ。

Penny Goodwin / Portrait Of A Gemini

 シンガー、ペニー=グッドウィンの73年から74年にかけて録音されたアルバム。
 今年、CD化されるまではレアもレア、というか、ほとんど知られていない存在な作品だったのだと思う。
 いきなりだが、このアルバムというか収録されているマーヴィン=ゲイの名曲のカヴァー、「What's Going On」に思い入れがある。7年か8年前にUK系のジャジーなフロア向けみたいな12インチをインフォだけ見て特注した、そのレコードの中にたまたまペニーの「What's Going On」のライヴヴァージョンが入っていたのだ。
 聴いて一瞬で大のお気に入りナンバーとなり、DJする時はいつもかけてて、流す度に「これ誰!?」って聞かれたものだ。その頃、色々彼女についての情報を入手しようとしたのだけれど、全然分からなかった記憶がある。
 しかし、やっぱりイイ曲はこうして日本で最初にCD化されるものなんですなぁー。しばらくは聴いてはいたけれど、情報を調べようとも思ってもいなかったんで、たまたまどこかのサイトで彼女の作品がリリースされてるというのを知って、思い出したように、ようやく謎が解けるというか、つっかえてたものが無くなるんで良かった!とすぐに買いに走った。
 全体的な音については、一応はジャズなラインで、今回のCD化もそういうシリーズみたいな感じでリリースされているけれど、これはソウルですな。彼女の歌い方はゴスペルよろしくな声量を効かせたヴァイブレーションだし、アレンジとかもそういう雰囲気が一杯だ。ともかくカッコイイです。

Antonio Carlos Jobim / Wave

 続けて、言うまでもなくボッサの祖の一人であり、コンポーザーでありミュージシャンでもあるアントニオ=カルロス=ジョビンの67年の作品を。
 ジョビンに関しても色々言うよりも、ボッサ系聴くなら押さえとけ!的作品である。今ではボッサのスタンダードナンバー目白押しなアルバムだけれど、この作品をこの作品たらしめているのは、当然ジョビン本人なのであるが、それよりもCTIレーベルからリリースされているってことと、クリード=テイラーのプロデュースでルディー=ヴァン=ゲルダー・スタジオ録音だってのがデカイと思う。
 ジャケットワークも含めて、見事にCTI〜A&Mな世界観がある。サウンド的にはレーベルカラー中で最もイージーリスニングな作品でもあるだろう。
 あえて、文句というか、マイナス的な事を言うとすれば、上品過ぎるんである(笑)。本来のブラジリアンミュージックからの流れのパワフルさというかパンチの効きも無く、カッコイイ生臭さが一掃されているのだ。
 それだけに洗練されて、レーベルカラーにもマッチし、アメリカをはじめ、世界でヒットしたのも納得はいくのだけれど。
 まあ、持ってて全然オッケーというか、マストなアルバムであるのは間違いないけれど。
 個人的、このアルバムの聴き所というのは、ベースラインです。ロン=カーターの実直でありながら、微妙に遊んでる低音は心地よろし。
Wave

Joao Gilberto / S.T.

 今さら言うまでもない、ボッサの祖の一人であるジョアン=ジルベルトの73年の作品。
 とりあえず、ブラジル系押さえるなら持っとけ!な1枚ではあるけれど、このジョアンのライブに行く数日前まで持ってませんでした(笑)。全曲知ってるし、聴いたこともあるし、色んなコンピにも入ってたりで、いつか買えばいいやリストに入っている作品の1つみたいな感じで、先日、とうとうその時が来たって感じで買いました。
 ギターとシンバルと歌。それ以上でも以下でもないボッサなのだけれど、この深さは何!?と改めて思う。
 ボッサ好きにも色々あると思うのだけれど、一般的にはリズムが心地よくてちょっとストリングスやホーンの効いたジョビン系の方が分かりやすくて、聴くにも楽しいと思うし、それに比べればジョアンの作品は地味になってしまう。
 もちろん、そういう自分もボッサ聴き初めはジョビン的というか、ジャズにも共通する華やかな音の方が好きであった。
 今もどっちも好きなんであるが、突き詰めればジョアンのスタイルが最もボッサを体現してるんだなーと思うし、ライヴを観て、それが泣ける位の確信に変わった。
 でも、この73年の作品も、もちろんジョアンの1つのカタチというか音であるけれど、現在進行形のジョアンの歌こそ素晴らしいとも思った。
 このアルバムのジョアンの声は若い。これはこれで素晴らしい音だし、聴いていて嬉しくなれるアルバムだけど、正直に言うと、今のジョアンをライヴで体感して欲しい。それでここで色々語るよりもハッキリジョアンの良さが分かると思う。
Joao Gilberto

V.A. / Gut Gut

 今年、新たに再スタートしたグートレーベルの96年のコンピ。
 現在は坂本龍一は絡んでいないけれど、97年までは完全に坂本龍一のレーベルだったので、このアルバムはガンガンに教授色の強い仕上がりとなっている。
 今年、「Gut+1」として2枚組になって出ているものがあるけれど、それとも微妙にセレクトが違っていたりもする。
 最近、引っ越しによって棚の奥アイテムだったのが最前列にやって来たので、聴くようになって、今のところCDとしては一番よく聴いていると思う。
 個人的にも馴染みの深いアーティストだらけなのであるが、このアルバムでかなり久々に聴いたのはゲイシャ・ガールズだ。アナログは何枚か持っているけれど、ホント企画モノなノリの作品だったし、リリース当時にちょこっと聴いただけでそのままになっていたけれど、思い出したように今聴くと、サウンド的にもカッコイイし、ネタ的にもやっぱりダウンタウンはオモロイなーって楽しくなれる。
 そうかと思えばアート=リンゼイだとか、ヴィニシウス=カントゥアリアなんて、とっても静かで心地よい音も入ってるし、これまた好きな中谷美紀やテイ=トーワ、もちろん教授も含めて、いいコンピである。
 ラストに入ってるのがyukieの曲なのだけれど、これまたあんまり有名ではないけれど、声が大好きなヴォーカリスト。彼女のグート時代のアルバムも最近よく聴いてたりする。

Weldon Irvine / Sinbad

 以前にも紹介したキーボーディスト、ウェルドン=アーヴァインの76年の作品。
 ずっと前からアナログで持っていたのだけれど、最近は聴いてないし、どこにあるのか探すのにも時間がかかるという理由で半分お蔵入り状態だったのだけれど、これまた以前紹介した大沢伸一監修のコンピにこのアルバムに収録されてる「I Love You」が入ってるのを聴いてどうしてもアルバムまとめて聴きたくなったので、最近CDを買ってしまったということでご紹介。
 久々に全曲聴いて、やっぱりファンキーじゃのぉーという感想。スティーヴィー=ワンダーやマーヴィン=ゲイのカヴァーも彼らしいキーボード中心なアレンジでとってもウキウキなサウンドになってて、CD買って良かったーという感じ。
 でも、やはり、先程あげた、ドン=ブラックマンの歌う「I Love You」がイイ。泣きそうである。このアルバムの4曲目に聴けるというのもやっぱり素晴らしい。
 コンピももちろんイイんであるが、オリジナルアルバムというものの良さはやっぱりその作品独自の一体感のような最初の曲から最後の曲までの、アーティストによる流れの演出が詰まった1枚であるというのを実感できる。
 アナログであれば、そこにA面とB面での別の世界の演出って雰囲気もあってこれまたたまらなくイイのと同時に面倒な時もある(笑)。でも、そういうアナログの片面終わって、プツプツ音がしてるのを止めて、ひっくり返してまた新たな音がするって作業は大好きだ。

Patty Waters / Sings

 シンガーであり、ピアニストでもあるパティー=ウォータースの65年ESPからの作品。
 せっかくESPについて質問をもらったりもしたので、最近ヘヴィーローテなこの作品を紹介しておきましょうということで。
 彼女のことを知ったのは10年位前で、同じくESPから出てるカラーのジャケの方の思いっきり悲鳴のようなアヴァンギャルドを通り越した曲を聴かされて、イイけどキツイなぁーというのが最初。
 で、その後何年かして、たまたまこの作品のアナログをインフォで見つけたので、ESP好きとしてはって買ったような気がする。
 音的にこのアルバム、とっても静かで、パティーも独特なその弱々しくもオーラ満載の声で歌い、ポツポツとピアノも弾いてます。8曲収録されていて、ラスト1曲を除くと、平均2分程度のとっても短い曲で構成されている。ラストは13分以上あって、それはイッてます。
 バートン=グリーンのピアノハープの音がこれまた特徴的であり、怪しい雰囲気をもたらしてくれていたりもするけれど、やっぱりこの作品はトータルでは美しい音をしている。
 彼女の声はよく楽器以上の楽器だと評されるけれど、まあ、悲鳴のようなその叫びは壮絶と捉えることも出来れば、官能的とも捉えられる。
 ジャジーなESPとしては、アルバート=アイラーと同じくメジャーなタイトルではないでしょうか。