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sutero choice sound selection

V.A. / Hiroshi's Kick Back Vol.2

350.jpg 丁度10日前に紹介した藤原ヒロシ選曲のコンピのVol.2をご紹介。こちらは今年の3月リリース。
 このVol.2もVol.1と同じくずっとよく聴いている作品。コンピ的な説明みたいなのはVol.1の時に簡単にではあるけれどしてしまっているので、そちらをご参照頂きたい。
 ジャケ的にはVol.1とVol.2は黒と白の違い。選曲された楽曲はもちろん全然違うのだけれど、ヴィジュアル的にはiPod nanoや新しいiPodみたいな違いですな。そういう面からすると、このVol.2の白が好き。
 さて、今回も全曲解説したい気分ではあるが、長々とダラダラ書いていくより聴いてもらいたいので、数曲かいつまんでご紹介。
 あ、その前に、周りの友人の何人かにこの2つのコンピを聴かせたところ、圧倒的にこのVol.2の方が支持率が高いというか、気に入った方が多かった。理由としては春のドラマで主題歌にもなっていたマイケル=ジャクソンの「Ben」の藤原ヒロシによるremixが収録されている部分によるのが大きい。このremixは確かにとってもエエんです。
 では好きなのを。まずは3曲目のGary Bartzの「I've Known Rivers」。これがオリジナルなのだけれど、ここでも紹介したコートニー=パインがカヴァーしてるので大好きになった曲。コートニーのヴァージョンはとっても洗練された最近の音って感じでいいけれど、ここに収録されてるオリジナルはライヴ録音で、ゆったりのんびりした雰囲気がありつつ、キメなエッジはしっかり効いててカッコイイ。
 お次は6曲目、大好きなマリーナ=ショウの「Feel Like Making Love」。愛聴盤であるブルーノートリリースの「Who is This Bitch, Anyway?」からのナンバー。凄く知ってる曲にもかかわらず、このコンピの中から聴こえてくると、それだけでとっても新鮮なのが嬉しかった。
 続けて7曲目、これまた大好きなロニー=リストン=スミスの「Quiert Moments」。エキゾチックムード満載のインスト曲。ローズなエレピにヤられてしまいます。
 最後に10曲目、ブラック・マジックによるミニー=リパートンのカヴァーである「Perfect Angel」。これはこのコンピで初めて聴いた作品。「Perfect Angel」って曲は知ってたけれど、こんなUKっぽい打ち込みなラヴァーズ調がしっくり聴けてしまうとは不思議なのとともに、嬉しい驚きだった。
 ざっと幾つか紹介しましたが、もちろん、全曲心地良くて最高です。1と2通して聴くのもとっても幸せになれると思うし。

V.A. / Hiroshi's Kick Back Vol.1

340.jpg 藤原ヒロシ選曲による、2004年リリースのコンピレーションアルバム。
 このシリーズ今のところもう一枚Vol.2も出てまして、どちらもずっとヘヴィーローテなアルバムとなってて、CDはもちろん、MacにiPod shuffle、iPod nanoと全部に入れていつでもどこでもに近い位よく流れている感じになっております。
 藤原ヒロシが昔、友人に贈るのに作ってた個人的なミックステープに入れてた楽曲がベースとなってて、ホント、ジャンルなんて関係なく、こういうの好きだしいいから聴いてみてね、っていう選曲。
 2の方は後日改めて紹介するとして、今回はVol.1ですな。さっきも書いたようにジャンルとかそういう分類では語れないというか語る必要は全くないんだけれど、全然バラバラなアーティストの楽曲が収録された全14曲はあまりにもスムーズに心地良く聴けてしまうんである。テンポ的にはスローからミディアムな感じでソファにゆったりと深く座って楽な感じで聴いていたい雰囲気。
 全楽曲を解説したい位だけど、あまりにも長くなるんで、とりあえず特にお気に入りのものを。
 まずは2曲目のトッド=ラングレンの「Be Nice To Me」。トッドについてはコンポーザーやプレーヤー、アレンジャーとしての才能がすげえ!って思ってたのが、この曲で凄く素敵なヴォーカリストだ、ってなりました。ピアノをメインにトッドがキレイに歌う、それはそれは心地良いバラード。
 次は10曲目の戸川純の歌う「Femme Fatale」。小中学生の頃、何故か戸川純大好きだったんだけれど、この曲はこのアルバムで初めて聴いた。ベルベットの超有名なナンバーのカヴァー。ニコとはまた一味違う戸川純らしい感じで弱々しさもあってよろし。
 そして、スペシャルズの「Do Nothing」。よく知ってるスペシャルズのちょい遅めなテンポのレゲエナンバーなのだけれど、このアルバムの中では異色な感じもあるのに、とっても馴染んで聴こえてきて、また久々にスペシャルズを聴きたくなってしまった。
 最後にラストナンバーのウィリー=ネルソンが歌う「Moonlight In Vermont」。カントリーの大御所というイメージで、今までに聴いてたのもカントリー系ばかりだったんで、こんなバラードを歌ってることに感激。タイトルよろしく、まさに夜中な曲。
 とにかく全部いいんです。超オススメ。長く聴けるし。

Otaka Jacky / Mother

323.jpg スーパーステューピッドのギター担当さんである、大高ジャッキーの99年リリースの1stソロアルバム。
 元々スーパーステューピッドというバンド自体にはそこまで興味がなくて、現在は活動してるのか、解散してるのか不明なんですが、一応、大高ジャッキーといえば、ステューピッドの人!ってイメージなので、そう表現させてもらいました。それと、ギター担当って書いたのは、この1stソロアルバムのライナーで本人がギタリストではないと宣言されてるので、担当としておきました(笑)。
 ステューピッドに興味もなく、大高ジャッキー自体もよく知らないまま、何故か、このソロは異常に入手しなければならない!って衝動に駆られたというか、これも発売日に買っております。確か、どこかでちらっと聴いてすんげえー!って思ったような。。。だけど、96年にステューピッドの皆さんにはお会いしてるんですね。挨拶程度だけど。とまあ、色々考えてみたけれど、明確な何かは分からず、5年ぶり位に聴いてみました。
 ノイズ、パンク、ハードコア、クラシック、アンビエント、ポップ、何でもありです。久々に聴いたこっちがビックリしました。まとまりのない、アート的サウンドというか。一番的確だと思われる表現はアヴァンポップかな。躁鬱を繰り返すような目まぐるしさもあり、イッてる音楽であります。
 久々に棚の奥から取り出して、もう一つ思い出したことを。同じくステューピッドのメンバーさんで、ベース&うたなLOW IQ 01のソロのことを。彼の「Your Color」って曲が大好きなんですが、未だその曲だけでなく、LOW IQ 01名義の作品は1枚も持ってません。いっつも、レコ屋に行く時に買おうと思っていながら、店に入ると忘れてしまう。。。こうやって、ここに記したので、近日中に買います必ず。

Hiroshi Fujiwara / Classic Dub Classics

302.jpg 藤原ヒロシ、本人名義でのオリジナル作としては10年ぶりとなる、明日発売のニューアルバム。
 先日、ソニエリ製のドコモケータイであるpremini-IIのサイトで久々に彼の音を聴いて嬉しがってたら、アルバムも出たのでより嬉しい、と。しかし、アルバム出ることは全然チェックすらしてませんでした。
 さて、音ですが、タイトルの通りというか、全曲超メジャーなクラシックのカヴァー。バッハとかショパンなんていう、学校の音楽室に肖像画がある人達の、誰でもどこかで聴いてるであろう曲を、藤原ヒロシ流のアンビエントでピアノが美しいダブに仕上げてあります。
 今、時の人である、ホリエモンが表紙のGQ JAPAN、2005.04号でクラプトンとの対談が載ってたのを丁度読んでたんですが、この作品に、クラプトンもゲスト参加してます。ラストのバッハのカヴァーにて。
 流れ的には10年前の大好きな作品である、「Hiroshi Fujiwara In Dub Conference」と同じ感じです。10年経って進歩が無いって気もしないでもないけれど、この感じは好きだし、悪くない。真夜中に大音量でしっとり聴ける雰囲気を持っております。
 最近はメジャーとかインディーとか関係無くなってきているけれど、こういうクラプトンまでギター弾いてるアルバムが一応インディーであるクルーエルからリリースというのは個人的には凄く面白い。2人が友人ということもあって、レーベルがどうこうの問題では無いんだろうけれどもね。
 とにかく、エエですわい。さっき言ったような真夜中に大音量もいいけれど、旅の移動中にヘッドフォンで移り行く景色を眺めながら聴いてみても最高だと思う。

Sylvain Chauveau / Des Plumes Das La Tete

 フランスのアーティスト、シルヴァン=ショーヴォによる2003年の映画、邦題「心の羽根」のサウンドトラック。
 映画は観てなくて、この作品は試聴して「イイ!」って思って知ったアルバム。ピアノにチェロにビオラで奏でられる、それは静かな1枚。
 最近の寄せ集め的なサントラと違い、作品に合わせた音作りが行われているせいもあって、1曲あたりの尺はとっても短い楽曲が多いのだけれど、音楽作品としても聴ける、こういう作りのサントラは大歓迎。
 短い曲が沢山並んでいると書いたけれど、もちろん、ブツ切りな感じではなくて、ノンストップではないけれど、繋がっているかのような一体感がまた心地よかったりするのもよろし。
 ラスト2曲は6分を越える、じっくり聴けるタイプとなってるけれど、これがまたラストって雰囲気がありつつ、次を期待してしまう感じの嬉しさがあってイイ。
 シルヴァンはピアノとほんのちょっとだけ覗かせるサンプリングをやっているけれど、このサンプリングの出方がまたさりげなく地味めでいいし、ピアノもキッチリ弾いているというよりも、音と音の間を大切にプレイしているのが伝わってくる。
 あまり、作品全体を上手く説明できてない感じもするけれど、夜中にゆったり聴くには最適な1枚です。

Combo Piano / Another Rumor

 作曲家、渡辺琢磨のソロプロジェクトである、コンボ・ピアノの2001年リリースの3枚目となる作品。レコーディングは2000年。
 キップ=ハンラハンによるディレクションでニューヨークの素晴らしいミュージシャンが多数参加し、現地でのレコーディングも行われた作品。
 このアルバムの音を何と表現すればよいんだろうか!?この作品からレーベルもeweに移籍しているので、このレーベル知ってる方なら、そこが出す感じの音!っていうのでご理解頂けるかと・・・。最初に書いたキップ=ハンラハンと同じです。
 素直に聴いた感じで言うとアヴァンギャルドでアンビエントでジャジーな雰囲気。何とも素敵なサウンドです。
 買って以来、ほとんど聴いた覚えがなくて、最近これまた棚の奥から発掘されて、聴いてみると、今聴きたい感じのラインナップにストライクなサウンドで、すっかりヘヴィーローテーションとなっております。
 ユニット名の通り、ピアノがたいへん美しいのと、ヴァイオリンをはじめとする、ストリングス系楽器の壮大さ、そして、絶妙に刻みを重ねるパーカッションの小気味よさが心地よく、フワーっとした開放感をもたらしてくれる。
 どの曲が1番というより、作品全体を通して聴いていたいアルバムだ。昨年出た「AGATHA」も良さそうなのにまだ聴いてないから、早く聴きたい。
Another Rumor

Bill Laswell / Emerald Aether

 ビル=ラズウェル、ケルト音楽を大々的にフィーチャーした2000年の作品。
 元々ロッカーでベーシストな彼ですが、近年はフリーっぽいジャズや様々なアーティストのプロデュースをしたり、特に最近はアンビエントな作品をたくさんリリースしておられます。
 この作品の前後ではこの作品がケルトであるように、気になる地域の音楽をアンビエントに仕上げるって感じの音を連発してた時期。この作品とキューバにスポットを当てた作品はよく聴いたなぁ。
 さて、音の方はいかにもアンビエントって感じの暗い重い音ではなくて、透き通るようなさわやかというか心洗われる雰囲気のサウンド。曲によっては打ち込みのビートがヒップホップっぽいモノと組み合わさっているのもビルらしい感じでよろし。
 何より、ケルトというかアイルランド!という楽器のフィドルとバグパイプがふんだんに使われていて、それが当然のように特徴的でもあるし、電子サウンドと一緒に奏でられることによってより壮大なスケールをもたらしてくれている。
 こんなことを言いつつも一番好きでよく聴いたのはたった48秒の曲である4曲目の「We Dreamed Our Dreams」。これはアコギだけのとってもシンプルなインスト。やはり生なギターは大好きってことだな。
 それに続く5曲目の「Wendel'S Wedding」も同じ雰囲気でギターの上にケーナのような笛(名前ど忘れ)の音がこちらはとってもケルト的なナンバー。
 アルバム全体に一体感があってホワホワした感じ。

Silent Poets / For Nothing

 サイレント・ポエツ、97年の作品。ここでも紹介した竹村延和が主宰だったアイデリックレコードからのリリース。
 ポエツの作品もほとんど持っているけれど、この作品の好きなのは音はもちろんだけれど、ジャケを含めたパッケージワーク。音楽のアルバムでもあり、写真集のようになっているのがイイし、何よりとってもキレイな写真が収められている。
 曲のタイトルごとに1枚ずつ写真があり、聴きながら見ていると、どっぷりと漬かってしまう、それは音にも合っていて、イメージをより広げてくれるとても効果的な数々。色彩がまたとても素敵である。
 アルバム全体の雰囲気としては、楽曲ごとにホントさまざまなタイプの音がちりばめられていながら、統一感のあるゆったりしっとりのアンビエント風味。
 好きなのは最初のナンバーでたった38秒しかない「Theme」かな。ピアノだけの一番アンビエントな音だ。3曲目の「Don't Break The Silence Featuring Virginia Astley」も細々しい女性ヴォーカルが心地よい。続く4曲目の「Memories」のギターのアルペジオだけなシンプルさも泣ける感じがあって好き。
 アナログとCDで持っているけれど、写真は大きなアナログの方で見た方が絵の説得力もキレイさも全然いいけれど、パッケージとしてはCDの方が良く出来ていると思う。
 しかしまあ、何故かというか、こういう好きな作品なのに廃盤になっているんである。悲しいことに。でも何とか手に入れてもらって、見て聴いて欲しい1枚だ。

Hauschka / Substantial

 Hauschkaの2004年のアルバム。以前紹介したHausmeisterと同じ、ドイツのKaraoke Kalkより。
 Volker Bertelmannのピアノソロ作品といってしまってもいい程のピアノメインでとっても静かでそれは美しいサウンドをしている。
 しかしそれだけではない。Stefan Schneiderがベースとシンセ系の電子楽器で参加しているのであるが、これが絶妙な地味加減でピアノが抜群に引き立つように仕上げているところが素晴らしい。
 クラシックのようで、そうではなく、ジャズでもない。結構自分でも弾けそうな程の簡単なフレーズがミニマムにループしてたりもするのだけれど、これがどうしてキレイだし、クセになる。
 曲によってはエレクトロニカでもあるけれど、やっぱりアンビエントな作品だ。テンポもスローで真夜中にはもってこいだ。その証拠にここのところ、毎晩、明け方近くまでとっても気持ち良く聴きながら、気分のイイ、ミッドナイトを過ごしている。

Asa-Chang & Junrei / Hana

 元スカパラのリーダーであった、パーカッショニスト、ASA-CHANGのユニットである巡礼での2ndアルバム。2001年のリリース。
 とにかく、このアルバムはタイトル曲である「花」だ。この曲ばかり聴いてしまうというか、この曲しか聴かない。絶叫してしまうくらいに美しいストリングスの出だしでまずヤられてしまう。「花が咲いたよ…」と朗読される声がピッチチェンジされ、言葉の音節と同時にタブラが叩かれる。この響きが素晴らしい。
 20拍のサイクルで展開するタブラと声の不思議なハーモニーは、最初はとても違和感があるのだけれど、ずっと聴いていくうちに、カラダの芯にグイグイ来る感じでハマってしまう。とても心地よくなっていくんである。
 ずっとストリングスは鳴り続けるのであるけれど、これが魔性的であり、気持ちよくもあり、そして、優しい。
 聴き終わると、脱力感とともに嬉しくなれる。そんな音をしている。中々、沢山の人が共感出来る音というものではないかも知れないけれど、この音にハマることの出来る人っていうのは、いいなーって思う。優しく泣けます。

Speedometer. / Private

 大阪出身の高山純によるソロユニット、スピードメーターの2000年リリースの3rdアルバム。
 結構鋭いビートにとってもキレイで落ち着いたウワモノという組み合わせの楽曲は、久々に聴いたのだけれど、とってもイイ。このアルバムで大好きなのはエゴ・ラッピンのヴォーカリストである中納良恵の参加した初の歌モノである「Private Roots」。ここ3年位はこの曲しかこのアルバムでは聴いていなかったので、本日通して聴いてみて、また改めていいなーと思ったと同時にヘヴィーローテーションになりそうな予感。
 アルバムスタートである1曲目の「Nightboat From Alaska」なんて、いきなり嬉し泣き。7曲目の「Wake Up Afternoon」はラジオの天気状況を淡々と読み上げるナレーションがサンプリングされてて、以前紹介したBooksよりこっちがこういうこと先にやってたよ!って思い出したりもした。
 ざっと3つの曲のタイトルを書いてみたけれど、このタイトルの付け方のセンスも好きだ。ビート系は完全に打ち込みだけど、これまたツボなラインの音であるし。
 この1つ前の作品である2ndの「...Or Not.」はファッションショーの選曲をした時に使わせて頂いたりもしている。こちらは天王寺とかコテコテの大阪がセンス良くサンプリングされてたりでカッコイイ作品。
 この春先の昼暖かいけれど、夜はちょっと冷える今の感じで聴くと気持ちいい。

Natural Calamity / Andalucian Moon

 ナチュラル・カラミティ、95年の1stアルバム。竹村延和が主宰だったアイデリックレコードからの第一弾リリース作品。
 一応、アマゾンとかのデータベースには登録してあるのだけれど、ひょっとすると、生産終了というか、廃盤の可能性高し。
 打ち込みとギターという組み合わせで、とてつもなくシンプルで心地よいサウンドがストライクな作品。それまでは打ち込みと言えば、重たいビートで激しくって感じのイメージばかりだったのが、このアルバムによって一掃された衝撃作でもある。
 同時に、この頃ちょうどファラオ=サンダース作品にハマっていた時期で、ファラオの大好きな曲である「The Creator Has A Master Plan」が美しいまでのアレンジでカヴァーされていて、それも衝撃だった。
 とにかく大好きなユニットで、全作品持っているけれど、何だかんだで一番聴く機会が多いのがこの1stアルバム。確かに、リリースされてから9年の歳月が経過しているので、多少の古さというか、懐かしさというものはあるのだけれど、聴く度に心が洗われ、清々しい気分にさせてくれる。
 こういう音は彼らだからこそって部分も大きいけれど、こんな打ち込みでありつつキレイでフォーキーな音を作らせると、日本人が最高に上手いとも思っている。自分が日本人だからというのも、もちろん大きいとは思うけれど。

Ochi Brothers / Beating The Earth

 越智義朗、越智義久の兄弟によるパーカッションデュオである越智ブラザースの2001年のアルバム。オノ=セイゲン主宰のサイデラレコードからのリリース。
 世界各地の太鼓という太鼓を変幻自在に操って、太鼓だけで奏でられた全10曲。この作品、何と表現すればいいのだろうか!?ホントにいろんな太鼓の音色が鳴っているのだけれど、不思議なことにちゃんとメロディがある!それに凄くキレイで自然と引き込まれていく魅力満載の音だ。
 兄弟という、DNAレベルでのコンビネーションの良さのなせる技なのか、抜群のタイミングだし、リズム感という部分においても素晴らしいとしか言いようがない。
 全体的にアンビエントっぽいのだけれど、それだけではなくて、さまざまな太鼓が使われていることもあって、土着的な、民族音楽を思わせる部分もかなりあったりで。
 それから、サイデラレコードは自分の所のサイデラ・マスタリング・スタジオが世界的に有名で、オノ=セイゲンの超人的マスタリングによって、曲ごとに臨場感がとってもリアルである。
 ゆったりとハマって聴くのもいいのだけれど、大音量、もしくはヘッドフォンでこの臨場感をしびれる程体感してみるのも賛成だ。

Pascal Comelade / September Song

 フランスのミュージシャン&コンポーザーであり、「現代のサティ」とも呼ばれるパスカル=コムラードの2000年のミニアルバム。
 トイピアノを駆使した!?というか柔らかいサウンドがとっても気持ちいい音をたくさん作ってたり、映画のサントラを製作してたりと、幅広い活動をしている音楽家であるが、この作品のポイントはズバリ、1曲目の「September Song」でヴォーカルを務める、ロバート=ワイアットが参加しているということ。
 ワイアットさんについてはここでも紹介しているし、大好きである。それでこのパスカルの作品を知ったという訳。フワフワの声にアコーディオンやトイピアノ、ウクレレなどがとてもキレイにミックスされて心地よさ抜群である。
 7曲中、歌のあるのは上記ワイアットさんの歌う1曲のみであとはインスト。全ての曲で楽器のほとんどをパスカルが演奏するという、マルチプレーヤーでもある。ボブ=ディランの「Knockin' On Heaven's Door」のカヴァーもあったりで、曲の構成も面白い。
 フワフワで気持ち良いこのサウンドは、本来の意味でのファンシーさがある。可愛らしさというか何というか・・・。ポカポカな春の日差しの下で聴いてみてもらいたい音。

Pepe California / The Nice Nice

 ペペ・カリフォルニアの2002年の3rdにして最初のフルアルバム。
 アコースティック系の楽器にプログラミングを合わせた3人組が奏でるサウンドは南国の中でありながら避暑地にいるような、何とも不思議にフワフワできる感じ。
 特にアコギとパーカッションとムーグの絡んだ感じは他に無いバカンスな感覚に溢れていて聴いてて優しくなれる。
 赤道付近から南半球寄りな音だ。北っぽくは全くない。であるが、彼らは日本の方である。というよりも、こんな感じのサウンド作りは日本人が一番得意なような気もするし、聴いていても気持ちがいい音は大抵そうだ。
 さっき書いた、赤道付近から南半球寄りを上下ではなく、左右にグルっとしたテイストが随所に入ってる。いい意味でスピード感がなくて、「そんなに急いでどうするの?」って問いかけてくれてるようでもある。
 この残暑の中、ボーッとくつろいで聴いていたい、そんな感じだ。
The Nice Nice

Hajime Tachibana / Low Power

 立花ハジメ、97年の作品。
 彼に関してはそのスタンスから大好きだし、音もデザインも電子機器へのアプローチもとにかく影響を受けている。で、1枚選ぶのは至難の業だけれど、今回はこのエレピだけのとっても静かな作品を。
 とにかく聴いてくれ!ホント、それだけだ。エレピはエレピでもウーリッツァってやつね。これが魔法のように吸い込まれていく感覚になる音をしている。真っ暗な部屋でヘッドフォンで聴いてみて欲しい。ちょっと怪しい聴き方かもしれないけれど、聴けば納得の聴き方であることは間違いないよ。
 本日、ホント久々に鍵盤弾いたのもこれに入ってる何曲かを練習してみている。スラスラ弾けるようになって、自分でこれを越える鍵盤の曲を作りたいものだ。
 この作品、立花ハジメ的にみても特殊な音かも知れない。まあ、彼は音作るたびに驚かされる程先に進んでる人でもあるけれど。プラスティックス時代を含めて、最近のケータイサイトでダウンロードできる彼の最新の着メロも全部いいです。
 あと、あまり知られていないみたいなんだけれど、イラレのプラグインの「信用ベータ」も面白いし。行動すべてが気になる人物の1人であります。

Hoodrum / Classics 1

 テクノ番長こと田中フミヤと山本アキヲのユニット、フードラムの96年リリースのマキシシングル。現在フードラムとしてのしての活動は休止中。
 このクラシックは1とついているようにシリーズになっている。とは言っても2までしか出てないんであるが。とにかくこのシリーズはとっても静かで心地よいんである。最初に書いたテクノ番長がウソのように。特にこの1は大好きで、カモメの鳴き声のようなサンプリング?もしくはシンセ音?どっちかはっきりしないけれど、その鳴き声がホントに海辺、特に港に佇んでいる様を思い起こさせてくれる、とんでもなくクールなアンビエントサウンドなのである。
 またジャケの女性がキレイ。このシリーズだけこんな真っ白バックに白い服の女性が写っている。1も2も同じ人ね。聴けばこのシンプルなジャケットにも心から納得できると思うし。
 電子的楽曲でここまで心洗われる音もなかなかあるもんじゃない。イメージだけでも海が連想されるけれど、実際に海に行って聴くとなお良いと思う。ただし、夏の海じゃなくて、凍えるくらい寒い冬の海に。

Nobukazu Takemura / Chil's View

 竹村延和、94年のソロアルバム。
 もう何度聴いているかもわからないし、どれだけ人に薦めてきたことか。自分のなかでフワフワであり、キレイな音の源のようなアルバム。
 音はもう聴いてくれ!としかいいようがないのだけれど、ソプラノサックスを吹くコルトレーンじゃないけれど、竹村延和もソプラノサックスを吹く。それがすごくイイ。
 もうリリースされてから10年近く経とうとしてるが今なお色褪せることのない音。ホント、彼の作品を聴きはじめてから、自分の頭に思い浮かぶ音世界が確実に変化していったのがハッキリわかる。
 思い入れの強さと好きさが凄いんであまり長々書いても・・・なんで、とにかくいろんな人に聴いてもらいたい作品。ただ、廃盤になってます。残念。
 6曲目の「Rill」って曲は大好きだし、聴く度にいろいろなことが頭を巡る。また共有できる仲間と一緒に聴きたい曲だ。

Tica / Latest Rules

 武田カオリと石井マサユキの2人によるユニット、ティカの今週リリースされた3rdアルバム。
 デビュー時からその独特なカヴァーセンスが光っていたけれど、今作はアルバム全14曲中10曲がカヴァー曲。有名無名を問わず彼らの好きな、イイと思ってる曲がセレクトされている。10曲もあるので細かい説明はしないけれど、彼らのサイトで確認してみて欲しい。試聴もできるし。
 サウンドは静かでフワフワ感たっぷり。武田カオリの歌声が何とも心地良い。4曲のオリジナルと10曲のカヴァーは全てを合わせて1つの世界観を醸し出していて、ティカのアルバムである!以外の表現はできないくらい。
 個人的にはナチュラル=カラミティのフワフワ感とクロスオーバーする部分が感じられて大好きな音だ。その森俊二もギターで2曲ほど参加しているし。
 真っ暗な中で聴いていたい作品。

Anonymass / Opusol

 最近はあまり自分から音楽情報を仕入れようと動いてなかったので、最新モノに関しては疎くなっているんだが、やっぱりそれではイカン!と先日黄色と赤のレコード屋さんにて試聴器をかたっぱしから聴いてみた。
 その時耳にとまったのが、今回紹介するアニノマス。日本人の4人組のユニットらしい。久々に情報先じゃなくて音のみで反応したアルバムかも。
 聴いてすぐに大好きな竹村延和を連想した。彼の「こどもと魔法」をよりポップにメロディきちんと書きました、って感じかな。とにかく個人的に音楽魂をくすぐられるラインであることは間違いない。
 買って帰ってジャケットやら帯やらをよく見ると、小山田圭吾や坂本美雨のコメント付いてるし、レーベルはMidiだし。情報先行でも間違いなく買ってたなと思った。

World Standard & Wechsel Garland / The Isle

 World Standardとして活動する鈴木惣一朗とWunderで知られるヨルグ=フォラートによるコラボレーションアルバム。ヨルグは今回はヴェクセル=ガーランド名義。
 サウンド的に静かというか、おとなしい感じで、すごく漂流感でいっぱい。音数もとっても少ないんだけれど、ピアノやギターの一音一音が確実に心まで伝わってくる。全体を通して聴くと、このアルバムにしかない世界観も感じ取れる。ある種のサントラ的というか・・・。
 最近のサントラっていろんな楽曲をかき集めた類いのモノが溢れてて、あんまり好きではないんであるが、このアルバムの方がよっぽどサントラだ!って言える。もちろんこれはサントラではないけれども。
 リリースは先月。まだあまり聴き込んではいないが、とても静かな夜中なんかにさり気なく聴くとフワフワで気分よくなれる。カフェなんかで流れててもいいかも知れない。

Tommy Guerrero / Loose Grooves & Bastard Blues

 トミー=ゲレロ、98年のファーストアルバム。元プロスケーターであるが、その方面については全く興味がなかったので普通に聴いてたような気がする。その当時は自分の周りの人間は結構みんな聴いてた。
 サウンドに関してはものすごくシンプルで静か。ギターとベースとドラムという基本の3ピース構成で、インスト多し。ギターだけ聴いてるとジャズのようにも感じられるし。ずっとギター弾いてた人間としてこのシンプルでありつつメロディアスなサウンドに衝撃を受けたのを覚えている。
 つい先日3rdアルバムが出たばかりだけれど、今のところこのファーストが好きかな。昨日アルバム発売のプロモーション番組みたいなのを音楽チャンネルでやってて、ライブ映像もたくさん出てて、ファーストからの曲もいろいろ演奏してたんでじっくり観てしまった。音はもちろんいいのだけれど、初めて気付いたことがある。トミー=ゲレロは手がもの凄く綺麗だということ。
Loose Grooves & Bastard Blues

Calm / Ancient Future

 たまには今の音を。Calmの先月発売された最新アルバム。音の具合を何と説明すればよいのか??個人的にはCalmの音だ!としか言いようがないのだけれど。エレクトリック系の鍵盤の音使いがCalmらしいというか独特な世界観を演出している、とでもいいましょうか・・・。相変わらずの心地よいフワフワ感はいい意味でたまりません。
 これまでの作品よりもビート的に多少おとなしめですね。でもアフリカンな感じは増してて深いです。
 知らない方のために言っておくと、Calmはカームと読みます。日本人のソロユニットです。ラストラムという、いわゆるインディーレーベルからのリリース。音楽業界も厳しいと言われる昨今、こんな音もこの国からは発信されてるという事実も嬉しい。
Ancient Future