*music

sutero choice sound selection

Amos Lee / S.T.

305.gif シンガーソングライター、エイモス=リーの先月リリースされた1stアルバム。ブルーノートより。
 今月の初めくらいに、音関係のニュースサイトをうろうろしていたところ、ブルーノートってこともあるのだけれど、偶然東芝EMIのエイモスページを訪れたことで知りました。その頃まだ準備中というページからいきなり音が流れて参りまして。。。しかし、これがとってもシンプルでグッとヤられたのでありました。
 特に何の知識も持たぬまま、まず音先行みたいな入りだったんで、よりよかったんだと思う。「ノラ=ジョーンズも参加!」ってサイトにも書いてあるのだけれど、肝心のノラ=ジョーンズには興味が全然無しだし(笑)。
 音ですが、基本はギターと歌っていうとってもフォーキーな仕上がりとなっております。エイモスの声がちょいと高音気味でとっても優しい雰囲気を持ってるのが全曲に感じられて、それがはやり最大の武器というか、特徴というか、声も楽器である、ってことでもあるなぁと思いつつイイです。
 好きなのはやはり、最初にサイトでも聴いてしまって衝撃というか、買って聴こう!と思わせてくれた1曲目の「Keep It Loose, Keep It Tight」かな。興味無いって言ったノラ=ジョーンズがピアノ弾いてます。
 唯一というか、鬼のように残念なことが。このアルバム、CCCDなんであります。徐々に廃止の方向に向かってると思いきや、こんなところで出会うとは。昔はCCCDという存在はまあ考え方的にはイヤだけれど、聴きたい作品であれば関係なく聴くってスタイルでいたのだが、最近になって、うちの10年位前のCDプレーヤーで認識されにくいのがいくつか出てきてたと思ったら、全てCCCDだ!ってことに気付いてからは、腹立って来ました。
 現在出てるのは輸入盤ですが、5月に日本盤が出るので、こちらがCCCDでないことに期待。。。っていっても、CCCDな気がするんだけど。音がイイだけに、こういうのは困りつつ、オススメです。

Amos Lee

Bosco & Jorge / Bosco + Jorge

 シカゴのアコースティックギターデュオ、ボスコー&ジョルジュの2000年の作品。
 いわゆる、シカゴ音響派の直系ではないけれど、エンジニアとしてジム=オルークが、ゲストとしてトータスのメンバーも参加してます。
 サウンド的には鬼のようにキレイなアコーステックミュージック。やはりアンプラグドな楽器の響きはイイもんです。アメリカンルーツのブルーグラスやラグタイムの源である、アイルランドの香りが漂ってとっても気持ちのいい音が満載。そういうルーツに根ざしているからといって、古くさい雰囲気はどこにもなく、現在の観点からのルーツ巡りって感じのホント美しい音。この辺りが、ジム=オルークのエンジニアマジックだ。
 好きなのは2曲目のフルートとアコギのマッチングが素晴らしい「Two Steps Behind In The 1st Place」、そして、女性ヴォーカルが心地よい5曲目の「Maria Carballo」。
 聴いていると、時間の流れまでもゆったり過ぎていく気分にもなれる。読書しながらコーヒー飲んだりする、休日の午後が似合う1枚。

Town And Country / Decoration Day

 タウン=アンド=カントリー、2000年のスリルジョッキーレーベル移籍第一弾としてリリースされたシングルにボーナストラックがプラスされた日本独自のミニアルバム。
 彼らも一応シカゴ音響系の人達。フワフワな観点からセレクトするとこの系列が多くなってしまう。まあ、それだけ好きなラインだからいいのであるが。
 さて、音的にはとってもミニマム。彼らを取り上げたレビューなどを見ると、内省的という言葉が必ずと言っていい程出てくるんだが、それはどうかと思う。内省的と思ってもいいけれど、みんながみんな、内省的と思うって!?と逆に思う。個人的にはシンプルでミニマムなアコーステックの楽器の響きがとっても心地よい。
 複雑でうねるようなフレーズが大好きではあるが、こういった単純でシンプルなミニマム展開も気持ちいいと感じられる時間というのは、とても落ち着いて心が広くなっている瞬間でもある。

Pullman / Viewfinder

 Pullman、2001年の2ndアルバム。
 シカゴ音響派系のバンドとしては1番好きかも。1stアルバムはフルアコーステックだったけれど、今作はエレクトリックを導入したマルチトラックな作り。
 しかし、両方の作品に共通してるのは、アコースティックでフワフワの心地よいメロディがあるということ。今作はその上に効果的にシンセやストリングスを乗せることによって、フワフワな壮大感が増して、サウンドの幅も広くなっている。
 アコギの音色が気持ち良く、フォーク〜ブルーグラス〜ラグタイムを巡る旅のようでサントラ的でもありつつ、それらの奏法がミックスされてて静かでシンプルなサウンド。だけど、ポップさもあるんでとっても聴きやすい。
 全曲インスト。涼しい部屋でゆっくりくつろいで聴いていたい感じだ。

Olo / Still Life With Peripheral Grey

 オーロウ、2001年の1stアルバム。久々に経歴とかあまり知らないバンド。インディアナ州の5人組、なんて解説書にある。
 音聴いてそれで気に入ったアルバム。ギターなどのメロディラインと、オルガン、そしてストリングス系の効果的な響きでこれまたフワフワ感たっぷりの1枚。
 1番サウンド的に要だと思えるのはドラムのしかもシンバルの音。何となくフワフワに何も考えず聴けてしまうのだけれど、シンバルの刻みが実に細かいことに気付く。メロディは同じでも刻みのスピードが急激に変化していたりして、とっても面白い。
 タイコの深さが味わえる。そんな作品はあまりないというよりも、そこまで普通意識しないんだと思う。だけど、彼らの音はそこを心地良く意識させてくれる。
 これ書きながら久々に聴いてみたけれど、またもやハマりそうだ。

The High Lamas / Gideon Gaye

 ハイ=ラマズ、94年の2ndアルバム。92年の最初の作品がミニアルバムなので、1stフルアルバムという表現がされている場合もあり。
 とってもポップであり、ダウナー系でもあり、だけど全体は何とも言えぬフワフワ感で一杯。楽曲、音色ともシンプル。けれど、ストリングスが多用されているので広大な感じがする。11曲目の「Track Goes By」は14分を越える曲なんだけれど、9分過ぎからミニマム展開になる。これがまたクセになる。
 96年の3rdアルバム「Hawaii」が日本では結構有名で、こちらはこちらでイイ感じなのだが、やっぱりこのセカンドがお気に入りかな。
 音がギッシリ詰まってる作品も大好きだけれど、ハイ=ラマズのようにたくさんの楽器を使っていながらいい意味で薄っぺらく聴こえる音というのも悪くない。薄っぺらというよりも、文章でいうところの行間を読めじゃあないけれど、音の鳴っていない部分まで含めて作品として成り立っている文学みたいな作品だ。