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sutero choice sound selection

Hanaregumi / Kaettekara Utaitakunattemo Iiyounito Omottanoda

289.jpg ハナレグミ、今週リリースされた3rdアルバム。
 ここではハナレグミのアルバムは全て紹介してることになりますな。まあまだ3枚目というのもあるけれど、珍しいというか、それだけ好きでありツボな音を作り出すアーティストであるということですな。
 しかし、スーパーバタードッグ時代から聴いているけれど、新しい作品になるにつれ音数が段々と少なくなっていくってのも面白い。今作なんて、ほとんど歌とギターだけ!って感じに限りなく近いし。そこがまた今の気分にも合ってて思いっきりヘヴィーローテになってしまう原因でもあるのだが。
 さてさて、今作で一番ビックリしたのはくるりのカヴァーが入ってたこと。「男の子と女の子」がそれなのは言うまでもないけれど。最初、ザッと聴いてた時に、くるりの曲だって一瞬解らず、それでも聴き覚えのある曲だってのはあったんで、70年代のフォーク系の人の曲でこれ誰歌ってたっけ?って思ってしまった(笑)。原曲もわりとスローな感じの静かな曲なんで、そこまで違った感じはしないけれど、永積タカシの歌ってる方が最初にも書いた通り、今の気分にもピッタリなんで、こっちのカヴァーが大好きになってしまった。
 全部好きだけれど、1曲!とするなら「踊る人たち」かな。とってもシンプルな曲ではあるけれど、タイトルと同じく踊れる感じもかなりあるし。
 とにかく、毎度毎度、ハナレグミの作品というのはとっても長く聴ける音で大好き。アルバム3枚とも、この先も繰り返し聴いていくことであろう。

帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。

Misia / Mother Father Brother Sister

288.jpg MISIA、98年の1stアルバム。たまにはこういうベタっぽくもイイ作品を取り上げてみるのもいいのではないかと思いまして。
 MISIAに関しても、2ndアルバムまでしか持っておりません。しかもアルバムは全てサンプルで(笑)。彼女の声とか、発声方法は素晴らしいと思いますが、何と言っても思い出すというか、話題的には初期の12インチなアナログ2枚の高騰ぶりかな。初期2枚は一時10万超えてましたからね。無名で試しにアナログ出しましょう的だったのが、ジワジワ「イイじゃん!」ってことになって、とんでもない価格が付くって感じで。2ndシングルの12インチは持ってます。もちろん、まだ一度も開封せず!
 さてさて、この1stですが、楽曲のバランスという点において、彼女の作品の中では1番いいのではないかと思っております。こういうアルバムが300万枚近く売れたんだなーって思うと、中々日本も捨てたモノではありませんな。あっ、こんな一般論的なオッサン評論家調はこのくらいにしておいて、個人的にはMISIAの曲の中で1番好きなのはこのアルバムには入ってない、3rdシングルの「Believe」だったりするし、このアルバム自体、そんな必死に何度も聴いた記憶もないのではあるけれど、リリースされた時期にはレコ屋の兄ちゃんだったのもあって、耳には鬼のように流れ込んで来ていたのは確か。
 あれから7年近く経ってますが、このアルバムの3曲目である「恋する季節」が無性に聴きたくなることがあって、たまに引っ張り出してはアルバムまとめて聴く、なんて感じです。この曲は泣きたいくらいの嬉しさに襲われる曲ですな。イイです。

Redd Kross / Visionary

287.jpg レッド・クロス、93年の10インチシングル。
 いわゆるパワーポップ系のバンドで90年代半ばに結構話題になってましたなぁ。98年にすでに解散しております。基本的にハードめな音は好きではないというよりも興味があんまり無くて、聴くこともほとんど無いのですが、彼らの作品は結構聴いていた記憶がある。このシングルも含めレッド・クロスのシングルは何枚か持ってます。全部10インチで。ジャケもCDとは違い10インチオリジナルで、この頃のこの手のバンドのシングルのアナログは10インチってのが多かったような気もするし、10インチは7インチよりも大きく、12インチよりはシングルらしいので好きってのもありつつ。
 さて、音ですが、この「Visionary」って曲は2ndアルバムの「Phaseshifter」にも収録されてますが、中々聴きやすいハードな曲です。ギターもギュインギュインに歪んでたりするけれど、とっても好きな曲。しかし、B面の「It Won't Be」が70年代っぽく、単純なピアノとかあって大好きなのであった。これはアルバムには入ってないし。とはいえ、解散後に発売されたB面ベストみたいなのには確か入ってたかな。それから、B面2曲目には「Visionary」のアコースティックライヴ版が入っております。これもいかにもなハード系の人達が表現するところのアコースティックな感じですが、好きです(笑)。
 今も根強いファンのいるバンドだけれども、個人的にはこういうほとんど持ってないハード系な音としては唯一に近い複数枚で持ってる貴重なバンドであります。

Lou Donaldson / Quartet,Quintet,Sextet

286.gif アルトサックス奏者、ルー=ドナルドソンの52&54年録音の一応最初のリーダー作。ブルーノートNo.1537。
 この作品、最初のリリースは5000番台シリーズの10インチ2種だったそうで、それをセレクトして1枚にまとめたものだそうで、詳しくはよく知らないんですが・・・。
 さて、ここのところ、ジャズ系のアナログでずっと前から持っていながら、全然もしくはかなり長い間聴いてない作品を夜中にゆったりと読書でもしながら聴くというのにハマっていて、このアルバムもそういう流れで久々に聴いてみている1枚。
 ルー=ドナといえば、やっぱり「アリゲーター・ブーガルー」とか、60年代後半のソウルフル系のジャズなイメージがあるのだけれど、このアルバムの頃のとってもバップでファンキーなのも悪くないというか、今思えば、こっちの初期の頃の方がカッコイイ。ライナーによると、チャーリー=パーカー直系ということなのだが、まさにバードのアルバムを聴いているかのように、跳ねるサックスが堪能出来る1枚である。
 そういえば、94年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルでの演奏を観たのを思い出した。やってたのは「アリゲーター・ブーガルー」の方だったんだけど(笑)。とにかく、アルトはそんな好きではないのだけれど、彼の演奏は大好きなのであった。
 最後に、この一瞬適当に見えるジャケのイラストもイイ。

Quarteto Novo / S.T.

285.jpg クァルテート・ノーヴォ、67年の唯一の音源である作品。
 エルメート=パスコアル、アイルト=モレイラ、テオ=ヂ=バホス、エラルド=ド=モンチという、名前を聞けばブラジルの音楽界では偉大なる重要人物ばかりのカルテットなのであるけれど、全然知らずに半年位前にアナログを買っておりました。決め手はブラジル盤だということと、フルート入りな音、そして790円という値段ですな。
 楽器は全てアコースティックでリズムもほとんどが太鼓系ではなくて、トライアングルやマラカスのようなカシャカシャ・シャキシャキ系で音全体も高音寄りとなっております。
 ボッサではなくて、ショーロな感じで、街ではなく、自然・緑って感じの雰囲気のインストでとっても気持ち良い。B面3曲目の「Misturada」は定番曲であるし、ブラジル系好きな方であれば絶対聴いたことあるはず。この曲だけはしっかりサンバしてます。
 好きなのはその「Misturada」の1つ手前の曲である「Sintese」。思いっきりゆったりしててフワフワ系でございます。
 とにかく、メンバーだけみても凄いんであるが、個人的にはナイロン弦なギターにピアノ、そしてフルートという柔らか高音系が思いっきり堪能出来る作品として、嬉し泣きです。フワフワ&高音系で心地良いというだけでなくて、演奏もかなりキッチリしてて上手いんで、安心して聴いてられます。
 格安なアナログはまだ出回ってるとは思いますが、CDもちゃんとリリースされております。さすがはブラジル音楽が一番入手しやすい海外、日本なことだけある。

Dexter Gordon / Go

284.gif テナーサックス奏者、デクスター=ゴードンの自らも傑作だと言っていた62年の作品。ブルーノートNo.4112。
 デックスのテナープレイというのはとにかくキッチリ吹くし上手い、そういう印象が強くて結構作品としては持っているものの、そんな聴いてはいなかったのであった。やはりコルトレーンとか好きなのもあって、堅実過ぎるのはつまらん!みたいに考えてしまいがちだったので・・・。
 さて、そんなイメージのまま月日は流れ、久々に聴いてみようではないか、と、ターンテーブルに載せてみた。やっぱり堅実である。しかし、悪くはない。というかイイじゃんこれ、と思えた。元々名盤であるし、悪い訳はないのだけれど、堅実過ぎるというイメージも渋くて上手いということであったのだなぁ、と。
 このアルバムはデックスとソニー=クラークのトリオがやってるワンホーンな仕様で、やっぱりソニー=クラーク・トリオが素晴らしいというのもかなりある。ピアノソロはとっても嬉し泣きな感じだし。
 好きなのはB面側ですな。ボッサ調の「Love For Sale」、エロいくらいにムーディーな「Where Are You」、ピアノなチャイムで始まりほのぼのとした「Three O'clock In The Morning」というこの流れは心地よろし。
 ド定番的作品などを含め、ジャズって音は聴く側の時期やタイミングによってもホント様々な聞こえ方をしてくるものだなぁーってますます楽しくなれたのであった。

Go!

Ahmad Jamal / The Awakening

283.jpg ピアニスト、アーマッド=ジャマルの70年インパルスからのトリオ作品。
 とっても地味でありつつも美しいピアノを弾く人だなぁーって印象で、このインパルス盤はジャケとレーベルからフリーっぽいんだろうと、これまでずっと持ってたのにもかかわらず、聴いたことが無かった作品。先程初めて新品のアナログのパッケージを破り聴いてみたところ、抜群に嬉し泣きな作品ではないか!とビックリしつつも心地よく聴いておりました。
 オリジナルにスタンダード、ハンコックの「Dolphin Dance」、オリヴァー=ネルソンの名曲「Stolen Moments」、そしてジョビンの「Wave」とヴァラエティに富んだ楽曲をジャマル独特の絶妙な間によって美しい調べへと誘ってくれております。
 トリオ作品で当然のようにピアノがメインだし、楽器も3つだけなのであるが、音的にとても美しく心地よいのと同時にとってもポップなアルバムでもある。リズム隊はとてつもなく堅実にビートを刻み続ける感じなのであるが、それがジャマルのプレイをよりアグレッシブにしているんだなぁーって思える。
 お気に入りとなったのはタイトルが好きで、プレイ的にも一番美しく感じられた「I Love Music」、そして上にも書いたオリヴァーの曲であり、オリジナルのホーンの絡んだ重厚感とはまた一味違った重みを聴かせてくれる「Stolen Moments」かな。
 これまで聴いてなかったのがウソのように、いきなりピアノトリオ作品としてフェイバリットなモノに急浮上して来る程に素晴らしいアルバムでございます。

The Awakening (Impulse Master Sessions)

Kirinji / Fine

282.jpg キリンジ、2001年リリースの4枚目となる作品。冨田恵一プロデュース作品。
 現在広島滞在中で手元にある音源がいつもとは違ってたりして不便でもある中、姉所有のキリンジを借りて聴きながら書いております。もちろん、この作品は自分でも持っているのだけれど、引っ越しに伴って、棚の奥に行ってしまっていたのでしばらく聴いてなくて、久々なので新鮮でもありつつ。
 音的に、これまで5枚のオリジナルアルバムが出てる訳ではあるけれど、この4枚目は結構変化してきた段階の作品という評をよく聞いたんではあるが、個人的にはどこからどう聴いてもキリンジらしい作品、という印象。違うとすればここでも紹介した5枚目の「For Beautiful Human Life」の方かな。レコード会社変わって、ちょいと作り方違うのがハッキリ分かるのはこっちの方だ。でも、やはりキリンジの音!って思っているけれど・・・。
 さてさて、話をこのアルバムに戻して、好きなのは「Drifter」ですな。サビの部分のタンバリン的シャカシャカ音がとっても嬉し泣きなナンバー。そして、ラストの「Music!!!!!!!」に繋がる感じがとっても好き。このラスト2曲だけタイトルも英語で曲順の並びを眺めててもちょい違う感がするし。
 このアルバムを通して思ったのはギターと鍵盤系の音のバランスが同等な具合で前に出てるということかなぁ。彼らの歌詞ももちろんチェックしているけれど、やはりいつも気になるのは楽器の音色だったりバランスだったりするのも昔の職業病ですな。でも、そういう聴き方になってしまうことも好きではあるけれど(笑)。

Curtis Mayfield / Curtis

281.jpg カーティス=メイフィールド、70年の1stソロアルバム。
 インプレッションズからの脱退、そしてこのアルバムから始まるソロ時代と、彼の音楽活動について細かく書くとそれだけですんごい量になるし、語り尽くせないということもあるので、このアルバムをピンポイントに。
 ともかく好きな作品。何といっても「Move on Up」、この曲が収録されているということであまりにも有名ですな。何を隠そう、カーティスを知ったきっかけの曲である。ポール=ウェラー率いるJAMがライブでよくやってたナンバーだ、っていうのがその最初。
 でも、今でこそカーティスといえばファルセットなソウルの代名詞的であるけれども、この1st、どマイナーレーベルからのリリースだし、セールス的にも全然だった作品だ。最初にCD化されたのは92年なんだけど、それもポルトガル盤という具合。そのポルトガル盤も持ってますが・・・。
 アルバム全体の音的には「Move on Up」に代表されるその後のカーティス的ソウルファンク、とってもウォームなバラードが交錯してます。ソロとなって、自分のやりたい音というものを色々と実験しながらも思いっきり表現している、イキイキ感で一杯の1枚です。
 全曲好きだけれど、特にというならば、初めてこのアルバム聴いた時に震えた1曲目の「(Don't Worry) If There's Hell Below We're All Gonna Go」、そしてもちろんの「Move on Up」、嬉し泣きな広がり感溢れる「Wild And Free」かな。とにかく、カーティス大好きなのでありました。