*music

sutero choice sound selection

Fujifabric / Sakura No Kisetsu

 お久しぶりの最近モノ、フジファブリックの今月リリースのメジャーデビューシングルとなる1枚。
 いやー、完全に洗脳されました(笑)。先月あたりから、深夜帯でこのシングルのCMが流れまくってて、毎日のように聴いていたらイイ!って感じるようになってて、買ってしまいました。
 エレキなギターのロック。であるけれど、ピアノが効いている。なので、どロックなのにソウルフルさもある。ベースラインも単調な部分とうねる部分が交互に現れて、とっても好きだ。プロデューサーがGreat 3の片寄明人ってのも納得してしまった。どうりで洗脳させられる程、好きになる音な訳だ。
 しかし、曲のタイトルは「桜の季節」。これまで意識的と言っていい位に「桜」とタイトルにつく曲は拒否していたような気がする。まあ、好きになる曲が無かったってのもあるけれど。季節モノって定義でセールスを延ばそうとするレコード会社の戦略に決して乗るものか!ってのがあった・・・。
 しかし、要はタイトル云々ではなくて、好きな音かどうなのかだったというのがこのフジファブリックによってハッキリしたということだ。
 ホントにカッコイイし、かなりヘヴィーローテーションで聴いている。桜はとっくに散ってしまったけれどもね。いや、名曲ですぞ。
桜の季節 - Single

Buddy Guy / I Was Walking Through The Woods

 ブルースマン、バディ=ガイの名作と言える70年の作品。録音は60年から64年にかけて。チェスレーベルからのリリース。
 歌う時のシャウト感が大好き。それとギターを弾く姿、特にソロの時の苦悶にも似た表情で必死に弾いている彼の姿はカッコイイ。
 1曲目の「Watch Yourself」はすこぶる痛快なナンバーでノリノリな気持ち良さがある。全体的にまさにブルース!な1枚だけれども、よく表現される、ブルースとは悲しみの音楽的なものとはちょっと違うかなとも思う。
 確かに、悲しみも喜びもある。それプラス、能天気さというか、楽しい!ってのが大きいのが彼の演奏にはあるなーって感じる。何より、聴いてて楽しいから。
 サウンド的には、歌とギター、これはやはり最大のポイントになってはいるけれど、その脇からイイ感じ流れてくる、ピアノとホーンの調べが素晴らしいというか、ナイスなのである。
 ラグタイム時代のインストや弾き語りスタイルのブルースも好きではあるが、こういうビッグバンドスタイルのブルースが大好きだ。ジャズもいいけれど、ブルースの人間臭さというか、「俺達、音出してるぜ!」的な人力感が十二分に伝わってくる。
 ブルースはライヴもイイ。生が一番だけれど、映像でもCDなどの音だけとは全く違った臨場感があるので、観て欲しいな。何よりホント楽しいから!

Folder / The Earth

 Folderの1stアルバム。98年リリース。Folder5じゃなくて7人の小学生男女時代のFolderです。
 本日のセレクトは自分でもビックリなのであるけれど、デビュー曲であり、このアルバムでは1曲目である「パラシューター」を最初に聴いた時にグッとキたのであった。良く知らない方の為に参考として、曲調はスマップの「Shake」って感じです。プロデューサーが小森田実氏と同じだし。4つ打ちハウス系。
 メインヴォーカルの大地君の声は素晴らしい。「パラシューター」はその当時、結構良く聴いていたなー。それからこのアルバムではないけれど、ジャクソン5のカヴァーの「ABC」と「I want you back」の入った12インチもよく回してたし、大好きだ。
 と、実はFolderはこの3曲かな。今、これを書きながらアルバムを初めて通して聴いてみている。うん、悪くはない。サウンド的にはそんな好き!って系ではないけれど、やはり声がいいとそれなりに聴けてしまうものである。それから持っているのはサンプル盤だ。
 好きではあるけれど、買うには至らなくて、発売から、かなり経ってからサンプル盤をもらう。そういうことがレコ屋時代はよくあったな。
 ちなみに、2000年以前のavexの邦楽系は好きではないがやたら詳しかったりする。特にあゆ以前は詳しいです(笑)。コメントもたくさん書いたし、サンプル盤もほとんど聴いてないけれど持ってたり。機会あれば紹介します。

George Benson / It's Uptown

 ジャズギタリストでありヴォーカリストでもある、ジョージ=ベンソンの66年の1stリーダーアルバム。
 ベンソンと言えば、「ブリージン」に代表されるフュージョン時代に脚光が当たることばかりだけれど、この1stの尖り具合というのは物凄い。何と言ってもこのジャケットには、アルバムタイトルよりもデカデカと「The Most Exciting New Guitarist On The Jazz Scene Today」と表記されている。直訳すると「最高にワクワクするギタリストがジャズシーンに現れたぜ!」って感じだろうか。
 1曲目である「Clockwise」のスピード感でいきなりヤられます。それもバリトンサックスとのユニゾンな演奏で超カッコイイ。このアルバムはカルテット編成なのだけれど、ギターにドラムにバリトンサックスにオルガンという、ちょっと変則カルテットな所も尖り具合に拍車をかけている。
 2曲目のスタンダードナンバーである「サマータイム」や6曲目の「A Foggy Day」なんてガーシュウィンのヴォーカルナンバーもある。もちろん、ベンソンが歌ってます。まだ若々しい声で爽やかだ。
 収録曲のほとんどがベンソンオリジナルの曲で、デビュー時からコンポーザーとしての才能も発揮しまくっていたのである。
 あっ、激しい曲ばかりではなく、しっとりバラードなナンバーもあります。尖ってはいるけれど、バランスも取れた1枚。ベンソン作品では最も好き。それから、オルガンはこれまた大好きなロニー=スミスというのもよろし。

Tokyo No.1 Soul Set / Jr.

 東京No.1ソウルセットの96年リリースの2ndアルバム。
 何故か昨日からこのアルバムに入っている大好きな「否応なしに 」が頭の中を巡りまくっていたので、かなり久々に聴いてみよう、と。CDを探したのだけれど、行方不明で見つからず、アナログを引っ張り出して聴いてみた。
 「何じゃこりゃ!」である。すごく久々なのにもかかわらず、全部覚えていたから。最初の「Hey Hey Spider」のイントロの口笛なんて、全く間違えることなく一緒に吹けてしまって、とても嬉しくなった。
 久々に聴いてみて、改めて思ったのは、川辺ヒロシのトラックの良さ。もちろん、昔から好きなトラックばっかりなんだけれど、このアルバムはほとんどの楽曲が、鍵盤音のサンプリングで占められていて、それが異様に心地良いのだなーと。やはり鍵盤の音はそれがサンプリングだとしてもやたらとイイ。
 最初に書いた「否応なしに」は大好きだけれど、本日聴いて、「Bronco Summer」がとっても良かった。しばらくはヘヴィーローテーションの予感な作品。でも、そうするためには、CDを探しださないと。
 あ、あと、ジャケだが、「ヤード」のPVの1カットだったと思う。この頃のソウルセットのPVはタケイグッドマンが撮ってて、全てが8mmビデオの映像で、これまたとっても好きだった。今となっては8mmビデオというメディアも懐かしいモノとなってしまったが、これはこれで、味のある映像になるよなー。

Rufus Harley / The Pied Piper Of Jazz

 バグパイプ奏者、ルーファス=ハーレイの66年から67年までの作品を集めたベスト的な2000年リリースの作品。
 バグパイプでジャズする人と言えば、このルーファスくらいしか知らないが、とってもパワフルなプレイを聴かせてくれている。本来なら、オリジナルアルバムであり、1stである「Bagpipe Blues」を紹介したい所だけれど、現在生産終了になってるし、このベスト盤にイイ曲は入ってて、こちらは輸入盤屋で購入可能なので、こちらを紹介。
 正直、バグパイプの音は強烈で、最初ちょっと戸惑いもしたけれど、ジワジワ聴けてくる音である。アナログシンセのような音にも聞こえてしまう。とにかく、とっても面白い演奏であることは間違いない。
 さて、ルーファスの曲で1番好きなのは、実はバグパイプではなくて、フルートを演奏している「More」という曲。きっちりとしたドラムとピアノのリズムに鬼のように美しいフルートが涙が出る程の嬉しさに襲われる名曲である。しかし、フルートでもガンガンにブロウしてはいるけれど。
 あと、テナーも吹きます。そういう意味ではマルチプレーヤーでもある。しかし、個人的にはフルートを吹くルーファスの曲が大好き。キレイだし気持ちいい。

Femi Kuti / Shoki Remixed

 フェミ=クティ、2000年のリミックスアルバム。父親は説明するまでもなく、フェラ=クティ
 元々、フェラ=クティが高校生の頃から大好きで、アルバムもほとんど聴いてきている。その流れで当然のように息子がデビューするなら聴かねば!という感じで、非常にすんなりと聴けたアーティストである。
 フェミのサウンドは父親譲りの熱い魂のアフリカンビートを持ち合わせつつ、クールで現代的というか、今を感じさせてくれる音をしている。この作品のオリジナルである、2ndアルバム「ショキ・ショキ」も大好きでかなり聴き込んだ作品でもある。
 普通はリミックスアルバムよりもオリジナルの方が全然好きな場合が多いんであるが、フェミのこのアルバムに限ってはオリジナルと同等に好きだ。リミックスされたところで原曲の良さが全く損なわれていないし、むしろより燃えるような音に仕上がっている。
 日本独自企画ということで、日本人のリミキサーが多数だけれど、ルーツやマスターズ・アット・ワークなど、海外からもイイ、リミキサーの参加もある。詳しくはジャケのリンク先にてどうぞ。
 全曲好きなのだけれど、この中で特に大好きなのは、8曲目の「Beng Beng Beng」。Calmによるワルツミックスで泣けます。
 2001年の3rd以降リリースが無いので、そろそろ新譜リリースでは!?と楽しみにしている。
Shoki Remixed

Misty Oldland / Supernatural

 U.K.のヴォーカリスト、ミスティ=オールドランドの94年の1stソロアルバム。
 いやー、当時は流行りましたなー。特に2曲目である「A Fair Affair」はジュ・テームがサンプリングしてあることもあってか、当時はいろんな所で流れていた記憶がある。
 時の流れと同じように、全然聴かなくなっていたアルバムの1枚だったのだけれど、去年頃、久々に聴きたくなって、聴いてみたところ、やっぱり良くて、最近ではたまに聴くようになった。
 やはり、ミスティの声はキレイだし、歌い方がカワイイ。ポップスなサウンドなので、楽曲的というか、楽器の音の鳴りって部分ではさすがに少し古いって感じは否めないけれど、彼女の声はとっても素晴らしい。
 特に好きなのはラストの「Groove Eternity」。ゆったりレゲエ調で優しい曲だ。声ももちろんだけれど、ラストのラストに流れてくるミュートペットの音がとてつもなくツボなのである。
 この曲だけ聴きたい時もある位なのだけれど、このアルバムは、最初からゆっくり聴いて、ラスト曲の気持ち良さをたっぷり味わうって感じで、聴き終わる直前が楽しみでしょうがない1枚だ。
 残念ながら、現在製造中止です。しかし、この作品は必ず再発すると思う。

Lenine / O Dia Em Que Faremos Contato

 ブラジルのアーティストである、レニーニの97年の作品。3rdアルバム。
 まずはジャケ。このハヤカワSF文庫の装丁かのような宇宙艦隊チックな絵に非常に魅かれて購入したようなものだ。タイトルも邦題で「未知との遭遇の日」で、未来系にそそられる人間ならばチェックせずにはいられなかったし。
 レニーニはブラジルの北東部の出身でモロなボッサやサンバ系ではなく、アメリカのロックやポップスに陶酔した幼少期だったそうだ。この作品もロックやヒップホップな感じのサウンドも詰まっている。
 それでもやはり、ブラジルの音をしている。ポルトガル語の響きもだし、パーカッショニスト、マルコム=スザーノの叩きがよりブラジルらしくしているんだと思う。レニーニもブレイクしたのはスザーノとコンビを組んで活動を始めてからだし。ちなみにスザーノはリオ出身で、バリバリにボッサ&サンバな環境で育っている。
 あと、ギターの音がとっても面白い。リズム的にガットギターがジャカジャカリズムをブラジルらしくとっている後ろで、思いっきりエフェクトのかかったエレキがキュイーン!と鳴っていたりする。
 全体的に結構激しいサウンドが続くのだけれど、なぜか心温まる、やっぱりブラジルだなーと思える音で楽しい。
 レニーニの名前の由来はレーニンからで、確かにアルファベットでは確かにレーニンと読める。彼のお父さんがブラジル共産党の創設者だったということで、納得。

Frank Cunimondo / Introducing Lynn Marino

 ピアニスト、フランク=カニモンドのトリオにリン=マリーノのヴォーカルを迎え入れた、71年の作品。
 80年代のレア・グルーヴが流行った後にロンドンで90年代に入ってから注目されたので、てっきりヨーロッパの人達だと思ってたら、思いっきりアメリカはピッツバーグの方々で、地元を中心に活動していたようだ。
 やはり、この作品はリンの声だ。独特な声と歌はフワフワ感たっぷりだ。最近まで、このアルバムは声中心に、しかもちょこっとしか聴いていなかったから気付きもしてなかったけれど、上質なピアノトリオ作品だ。しっかりとしたリズムで、思いっきりスィングしている。
 曲的にはやっぱり、スタンダードナンバーである「Feelin' Good」がとてつもなくカッコよくて気持ちいい。トリオとしての醍醐味もべらぼーに感じられる1曲だ。
 このアルバムがCDとして発売された数年前は個人的にもジャズヴォーカルな作品はそんなに聴いていなかったし、そういう気分な時期でもなかったような気がする。なのに、最近はこういう、しっとり、そして時には激しくスィングしつつ、心地よいヴォーカルモノがとっても好きになっているし、色々とよく聴いている。
 年齢的なモノも、もちろんあるとは思うけれど、ジワジワとカラダに響いてくるこの「感じ」を堪能出来るというのは何より嬉しいことだ。いいですぞ!

Cornelius / Point

 コーネリアスの4thアルバム。2001年の作品。
 最近は坂本龍一のバックでギター強いてテレビに出てたり、リミックスや楽曲提供が多くなっているみたいだけれど、やはりコーネリアス名義の作品は好きだ。
 この作品はサンプリングが多用してあったりするけれど、自然の音とか、細かい素材を自分で制作しておいて、あえてサンプリングしたりと、音はやっぱり小山田圭吾だ!って主張してる感じに聴くことのできる作品だ。
 シングルにもなった、4曲目の「Drop」はビデオもやたらと凝ってて、子供が洗面所で歯を磨こうとするシーンはとっても印象に残っている。
 一番好きなのは、カヴァー曲である9曲目の「Brazil」かな。犬の遠吠えで始まり虫の声など自然音満載で、凄く気分が良くなる。
 このアルバムがリリースされた頃のコーネリアスのサイトは音遊びの出来る仕掛けがしてあって、ゆったりと楽しめたなー。今もありますので、是非お試しを。
 やはり、フリッパーズ時代から目の離せない、常に新しくて面白いことをやってくれる人である。今後もまだまだ楽しみだ。

Ska Flames / Wail'n Skal'm

 スカ・フレイムス、93年の2ndアルバム。
 彼らのことを最初に知ったのは中学生の頃に深夜番組で目にした、「Tokyo Shot」のライヴ映像だった。そのカッコ良さに一瞬にして好きになったのを覚えている。
 80年代から現在もマイペースながら活動しているし、ライヴは必見のバンドだ。で、この作品だけど、帯には確か「大いなる一本調子」ってコピーがあったと思う。スカ一筋を物語るコピーで素晴らしいが、作品的にはじっくり聴いてみると結構スカはスカでも幅が広い。歌モノもこの2ndが初挑戦だった。
 一応、全作品持ってるし、楽曲的に一番好きなのは最初の衝撃を受けた「Tokyo Shot」なのは変わらないけれど、アルバムとして、楽しさ&嬉しさが大きいのはやはりこの2ndだ。
 オリジナルスカなサウンドを奏でるバンドというのは本場ジャマイカでも現在は数少なくなって来ている中で、スカ・フレイムスはずっと活動を続けているだけでも、かなり貴重な存在なのだが、それだけではなく、ライヴを大切にし、素晴らしい、震える演奏をしてくれてる、とってもクールなバンド。

Chicago / Chicago V

 シカゴ、72年5枚目のアルバム。
 えー、単刀直入に言うと、「Saturday In The Park」が聴きたくて買ったアルバム。シカゴと言えば、イメージとして、アメリカンなポップ&ロックで、何十枚もアルバムがあり、そのどれもが基本的にはシカゴのロゴが中央にドカっとあって、分かりやすい感じ。まあ、あまり興味のない系だったということだ。
 で、色々な場面で「Saturday In The Park」を耳にするにつれ、やっぱりいい曲だし、欲しいなー、と。最近はこの曲の入ったコンピやベスト盤が溢れる程あるし、ちょっとメジャー過ぎてイヤだな、とも思っていたけれど、買うならばそういう企画的なアルバムではなくて、オリジナルアルバムをということで、この5枚目の作品を購入。
 何度聴いても、「Saturday In The Park」はいい曲だ!って思うのと同時に、アルバムを通しても、なかなか興味深い作品であった。メロディやウワモノ系よりも、ドラムとベースのリズムが面白い。
 いいアルバムである。だからって他のシカゴの作品へ、とは今のところ至っていないけれど、幅広く様々な音を聴いていくということはやっぱり楽しいし、発見も沢山あるからこれからもこういう感じで多くの作品に出会いたいと思ったのであった。

Asa-Chang & Junrei / Hana

 元スカパラのリーダーであった、パーカッショニスト、ASA-CHANGのユニットである巡礼での2ndアルバム。2001年のリリース。
 とにかく、このアルバムはタイトル曲である「花」だ。この曲ばかり聴いてしまうというか、この曲しか聴かない。絶叫してしまうくらいに美しいストリングスの出だしでまずヤられてしまう。「花が咲いたよ…」と朗読される声がピッチチェンジされ、言葉の音節と同時にタブラが叩かれる。この響きが素晴らしい。
 20拍のサイクルで展開するタブラと声の不思議なハーモニーは、最初はとても違和感があるのだけれど、ずっと聴いていくうちに、カラダの芯にグイグイ来る感じでハマってしまう。とても心地よくなっていくんである。
 ずっとストリングスは鳴り続けるのであるけれど、これが魔性的であり、気持ちよくもあり、そして、優しい。
 聴き終わると、脱力感とともに嬉しくなれる。そんな音をしている。中々、沢山の人が共感出来る音というものではないかも知れないけれど、この音にハマることの出来る人っていうのは、いいなーって思う。優しく泣けます。

Aco / Lady Soul

 アコ、98年の3rdアルバム。
 今となっては大好きな彼女なのだけれど、ハッキリ言って第一印象は大キライ!だった(笑)。デビュー直後の頃、昔働いてたレコ屋にキャンペーンでやって来たのであるが、すんごい生意気で、「なんじゃコイツ!」という状況。まあ、今思えば、その頃彼女10代だったし、デビューしたてで、許せるけれど。
 さてこの作品、ぶちソウルです。1曲目の「揺れる体温」のイントロで確実にヤられます。これはシングルカットされてる曲だけど、アルバムのヴァージョンが極上。全部イイけど、この1曲目に尽きる!と言っても大丈夫な位。8曲目には、ミニー=リパートンの名曲、「Inside My Love」のカヴァーもあったり。
 あと、息継ぎフェチとしては、彼女も息継ぎがハッキリ聞こえるし、歌と歌の間の取り方が絶妙にツボである。歌をユニゾンで二重録りしてる箇所はソソる。
 このアルバムから厳選セレクトされたアナログが限定で出てたのだけれど、こちらのジャケは赤バックに黒猫の顔のアップで、ジミー=スミスの「The Cat」っぽい。もちろん、持ってます。
 しばらく聴いていなかったけれど、最近またヘヴィーローテーションな1枚。

Donald Byrd / Ethiopian Knights

 トランペッター、ドナルド=バードの71年の作品。ブルーノートNO.4380。
 ジャケット的にはバードの作品の中でも1番パッとしてないというか、好きじゃない作品なのではあるけれど、サウンド的には1番大好きな、シビれる作品。
 まず、ジャズって言うか、ファンクな音だ。特に1曲目の「The Emperor」は繰り返されるビート、ギターのバッキングに、トランペット、サックス、ヴィブラフォン、エレピと目まぐるしくソロがチェンジしていく雰囲気、どファンクです!メンバー全員がとってもキレた演奏で、とてつもなくクールです。中でも、テナーサックスのハロルド=ランドとヴィブラフォンのボビー=ハッチャーソン、そしてオルガンのジョー=サンプルは特に鋭い音を展開している。
 2曲目の「Jamie」はタイトル通りジャマイカンな音。こちらはバードの哀愁あるペットの音が気持ちいい。決して目立たない程度に細かく叩かれているパーカッションがカラダにグッとキます。
 3曲目の「The Little Rasti」はこれまたライトなファンクというか、静寂のグルーヴ。ギターがとっても印象に残る。
 たった全3曲であるけれど、どれも尺が長くたっぷり聴ける。とはいえ、没頭するとすぐに聴き終わってしまうけれど・・・。バード作品的にはあまり有名でもなく、ある意味スゴい作品なので、聴く方を選んでしまい兼ねないけれど、DJしてて、このアルバムをかけると、必ずと言っていい程、「誰の作品?」って聞かれたアルバムでもある。

Dorothy Ashby / In A Minor Groove

 ハープ奏者、ドロシー=アシュビーの58年のカルテット作品。
 ドロシーのレコード言えば、これとほぼ同時期の「Hip Harp」と音源ネタ的にプレミアのついていた「Afro-Harping」が有名だし、どちらもグルーヴィーな作品。しかし、この「In A Minor Groove」の名前の通りのマイナー感というか、ちょっとしっとり美しい演奏がたまらなくイイ。
 ハープ&フルートという、これまたフワフワ定番楽器だし、フルートはフランク=ウエス。A-2の「You'd Be So Nice To Come Home To」はヴォーカルナンバーとしては定番な楽曲を、ハープ&フルートで綴られるインストがとてつもなく心地よい。事実上のタイトル曲である、A-3の「It's A Minor Thing」はその名の通りマイナー調のナンバーであるが、キレイだし大好きだ。
 ジャケ写のミドリ感が好きというのもある。プレステッジ系のニュージャズレーベルからのリリースなのだけれど、この50年代後半から60年代にかけて、こういうジャケットが多かったのも事実だけれども、この辺りの雰囲気が大好きだ。
 ジャズ系のハープ奏者はほとんどいないと言ってもいいけれど、このドロシー=アシュビーとアリス=コルトレーンは大好きな方々だ。アリスはもちろん、コルトレーンの奥様。

Lem Winchester / Another Opus

 ヴィブラフォン奏者、レム=ウィンチェスターの60年のリーダー作。
 若くして他界してしまったので、作品も少ないが、なかなかキレイなヴィブラフォンを聴かせてくれている。この作品は同じくヴィブラフォン奏者である、ミルト=ジャクソンの「Opus de Jazz」をかなり意識した作りで、メンバーもドラム以外は同じ。
 まあ、この辺りのことについてはもっと詳しい方々が色々語っておられますので、そちらを参考にして頂くとして、とにかく、大好きなフワフワジャズ系ということ。フルート&ヴィブラフォンの組み合わせはホント好きだ。
 ミルトとレムの、この「Opus」に関しての違いをあげるならば、音のタッチ。ミルトはしっとり染みる叩き方に対して、レムは弾けてる感じがあって、活き活きしている。フルートはどちらも大好きなフランク=ウエスなので言うこと無し。
 好きな曲を一つあげるならば、B-2の「Like Someone In Love」。バラードでゆったり気持ちいいです。以前紹介した土岐麻子のアルバムで、彼女もカヴァーしてた。
 最後にジャケですが、持ってるのはアナログで黄色に赤で、買った時にオリジナルジャケ仕様となってたので、この配色が正しいんだと思うのだけれど、現在販売されているCDはモノクロです。その代わり、ボーナストラックが1曲アリ。

Pepper Adams / Encounter!

 サックスプレーヤー、ペッパー=アダムスの69年のクインテット作品。
 サックスと言っても、アダムスさんはバリトンサックスプレーヤー。個人的にサックスのブロウ音で1番ツボなのがバリトンサックスのブロウ音。ライヴなんかで体感すると、それはもう、カラダの芯からグッと震えさせられる心地よさというか何と言うか。
 さて、この作品、メンバーは豪華で、アダムスをはじめ、トミー=フラナガン(p)、ロン=カーター(b)、エルヴィン=ジョーンズ(d)とこの4人はデトロイト出身のカルテット。そこにカリフォルニア出身のズート=シムズ(ts)の加わったクインテットとなっている。69年という年代にしてはガチガチのモダンジャズできっちり聴ける作品。
 まあ、バリトンとテナーがメロディを引っ張ってるので、割と低音気味な音だらけではあるけれど、2人ともブロウしまくっているし、とっても楽しい音。途中キラリとフラナガンのピアノが高音を運んで来てくれる感じもまた嬉し。
 テナーのズートとは彼のリーダー作でもよく共演してるし、アダムスの最後の作品はカリフォルニア録音ということもあり、西海岸サウンドも随所で垣間見ることも出来る。
 他にも多数の共演があったりするアダムスだけれど、バリトンサックスだけに地味かも。しかし、バリトンサックスはソロもイイし、ジャズにおいて、低音のリズム隊を支える役目と共に楽曲の深みを増してくれる大切な楽器だ。そういう、ちょっと視点を変えて聴いてみることも楽しいのがジャズだし。イイ1枚。

Pat Martino / Desperado

 ジャズギタリスト、パット=マルティーノの70年の作品。プレステッジレーベルから。
 マルティーノと言えば、そのギターテクニックの凄さと完璧な演奏にあると思うし、どの作品を聴いてもスゲエ!って感じるギタリスト。彼の作品は結構持っているのだけれど、今回この「Desperado」を選んだのは、ちょっと特殊な作品であり、個人的ツボなラインをバッチリ突いている作品だということ。
 まず、マルティーノさんのギター。全曲12弦のエレキで弾いてます。これがすんごい速いテクニック満載のプレイでもポワ〜ンとした雰囲気を生み出していていい感じ。それにプラス、鍵盤も全編エレピだし、もう一つのポイントのソプラノサックス!、これです。
 12弦エレキにエレピにソプラノサックスという高音キレイ系部隊揃い組な珍しい作品なんである。
 アルバム全体の流れとしては、かなりテンポも速めでマシンガンジャズっぽい感じで、決してしっとりじっくり聴き入ってしまうタイプの作品ではないけれど、とても引き込まれてしまう音をしている。ギターは途中インプロヴィゼーションの如くイッた感もあるがそれも含めて凄くイイ。
 唯一のバラード曲、「A Portrait Of Diana」はじっくり聴けますよ。ともかく、12弦エレキあっぱれな作品だ。

Mondo Grosso / Family

 モンドグロッソの95年の作品。マキシ・シングル。
 デビュー以来、大好きで作品も全部チェックしているし、どれもイイのだけれど、個人的に思い入れがあるのが、このヒューバート=ローズの名曲である「Family」のカヴァー曲。アルバム「Born Free」にも収録されているけれど、あちらはアルバムエディット版なので、断然フルでキレイなシングルでないとダメだ。
 カヴァーではあるけれど、かなり原曲に近い仕上がり。だけれども、モンドグロッソらしさというか、大沢伸一らしさは楽曲の随所に現れている。音圧がこの時期のモンドグロッソらしいというか、ジャジー&ソウルフルで心地よいミディアムテンポの曲だ。
 もう何度聴いたか分からないし、アナログで持っているのだけれど、とっても大切にしているレコードでもある。完全に自分の中での定番曲化している。
 DJ時代も必ずかけてたりして、サビの部分からオリジナルのヒューバートのヴァージョンにミックスしたりして遊んでいたのだけれど、ほとんど誰にも気付かれなかった記憶がある・・・。逆にそれだけ、原曲に近いことが分かって頂けると思う。
 とにかく大好き!この一言な曲。もしも、渋谷FMを聴ける範囲にお住まいならば、毎日流れてますよ。

Speedometer. / Private

 大阪出身の高山純によるソロユニット、スピードメーターの2000年リリースの3rdアルバム。
 結構鋭いビートにとってもキレイで落ち着いたウワモノという組み合わせの楽曲は、久々に聴いたのだけれど、とってもイイ。このアルバムで大好きなのはエゴ・ラッピンのヴォーカリストである中納良恵の参加した初の歌モノである「Private Roots」。ここ3年位はこの曲しかこのアルバムでは聴いていなかったので、本日通して聴いてみて、また改めていいなーと思ったと同時にヘヴィーローテーションになりそうな予感。
 アルバムスタートである1曲目の「Nightboat From Alaska」なんて、いきなり嬉し泣き。7曲目の「Wake Up Afternoon」はラジオの天気状況を淡々と読み上げるナレーションがサンプリングされてて、以前紹介したBooksよりこっちがこういうこと先にやってたよ!って思い出したりもした。
 ざっと3つの曲のタイトルを書いてみたけれど、このタイトルの付け方のセンスも好きだ。ビート系は完全に打ち込みだけど、これまたツボなラインの音であるし。
 この1つ前の作品である2ndの「...Or Not.」はファッションショーの選曲をした時に使わせて頂いたりもしている。こちらは天王寺とかコテコテの大阪がセンス良くサンプリングされてたりでカッコイイ作品。
 この春先の昼暖かいけれど、夜はちょっと冷える今の感じで聴くと気持ちいい。

Natural Calamity / Andalucian Moon

 ナチュラル・カラミティ、95年の1stアルバム。竹村延和が主宰だったアイデリックレコードからの第一弾リリース作品。
 一応、アマゾンとかのデータベースには登録してあるのだけれど、ひょっとすると、生産終了というか、廃盤の可能性高し。
 打ち込みとギターという組み合わせで、とてつもなくシンプルで心地よいサウンドがストライクな作品。それまでは打ち込みと言えば、重たいビートで激しくって感じのイメージばかりだったのが、このアルバムによって一掃された衝撃作でもある。
 同時に、この頃ちょうどファラオ=サンダース作品にハマっていた時期で、ファラオの大好きな曲である「The Creator Has A Master Plan」が美しいまでのアレンジでカヴァーされていて、それも衝撃だった。
 とにかく大好きなユニットで、全作品持っているけれど、何だかんだで一番聴く機会が多いのがこの1stアルバム。確かに、リリースされてから9年の歳月が経過しているので、多少の古さというか、懐かしさというものはあるのだけれど、聴く度に心が洗われ、清々しい気分にさせてくれる。
 こういう音は彼らだからこそって部分も大きいけれど、こんな打ち込みでありつつキレイでフォーキーな音を作らせると、日本人が最高に上手いとも思っている。自分が日本人だからというのも、もちろん大きいとは思うけれど。

Monty Alexander / Yard Movement

 ジャマイカ出身のピアニスト、モンティ=アレクサンダーの96年の作品。
 レゲエで有名なアイランドレコードがよりジャマイカに密着した音源をということで設立されたアイランドジャマイカ内にジャズもってことで出来たアイランドジャマイカジャズレーベルの第一弾作品がこの作品。
 モンティは60年代よりジャズピアニストとして多数のアーティストと共演しているし、リーダー作も素晴らしいものがたくさんある。
 で、この作品はレーベルのイメージと同じく、ジャズではあるけれど、ジャマイカンフレーバーたっぷり。1曲目はボブの「Exodus」をフリージャズの如く自由にプレイしつつ、途中からレゲエお馴染のゆったりとした2トーンのビートが加わってくる。
 しかし、このアルバムで1番大好きなのは5曲目の彼のオリジナル作である「Love Notes」。もちろん泣ける名曲です。レゲエといったリズムなのだけれど、ピアノのメロディが気持ちいいし、キレイ。同じくジャマイカ出身のギタリストでこちらも大好きなアーネスト=ラングリンのプレイもイイ。ピアノとギターの交互の掛け合いがたまりません。
 コテコテのレゲエでもなく、ジャズでもなく、とにかく聴いていて楽しいし、心地よい。昼間も夜中も似合う音だ。
Yard Movement

Moreno+2 / Maquina De Escrever Musica

 カエターノ=ヴェローゾの息子である、モレーノ=ヴェローゾのトリオユニットでの2000年の1stアルバム。
 やはり話題はカエターノの息子という部分に集中してしまうけれど、それはそれでイイのだ。とにかく、モレーノの弱々しい声が大好きだ。最初にサンプル盤で聴いた時には、ハッキリ言ってカエターノを初めて聴いた時よりもゾクゾクしたのだった。
 1曲目の「Sertao」なんて、涙が出そうな位の嬉しさに襲われる名曲ベスト3にここ数年はランクインしっぱなしだし。ガットギターが静かに響いてて途中から弦楽系とピアノが鳴ってくる部分で号泣。タイコレスなのも泣ける要因の一つ。
 全体的に静かでキレイな楽曲にモレーノの弱い感じの声な音であるが、打ち込みもあるし、ちょいと激しい感じの曲もある。幅が広くて、なおかつ心に染みる音。
 こういうサウンド作れるというのは、ブラジルならではであり、カエターノの息子だからこそだと思う。ホント、モレーノが息子で良かったね、カエターノさん!って言ってあげたい感じだ。そして、この作品をじっくり聴く事の出来る自分が幸せだ。ホント、そんな嬉し過ぎる気分にさせてくれる、極上の1枚なのだ。

Tokyo Ska Paradise Orchestra / Grand Prix

 東京スカパラダイスオーケストラ、95年リリースの5thアルバム。
 スカ大好きで、何を隠そう洋楽の入口がスカだったのである。しかし、この作品はスカというよりも、笑えるラジオ番組を聴いてるような感じだ。それでも、とっても魅力的な作品である。とってもバラエティに富んだゲストの面々に音はしっかりしているし、スカな部分はきっちりスカでもある。
 中でも1番スカらしい、永瀬正敏が「愛だろっ、愛!」って語りから始まるCMでもお馴染であった「花ふぶき〜愛だろっ,愛っ。」は大好きだ。個人的に結婚式の二次会の定番曲として回していた。
 あと、スリラーUの歌うアル=グリーンの名曲、「Let's Stay Together」も素晴らしい。しかし、これはスリラーU名義で出ていた12インチのアナログ盤がもっと秀逸だ。
 曲の合間のコント仕立てな部分を聞いていると、ちょっとスネークマンショーとYMOがリリースしたアルバムも思い出したりする。
 何だかんだで、スカパラの幅の広さを最初に感じることができたアルバムだ。やはり、管楽器の攻めるような演奏というのはジャズにしてもスカにしても、ナマだからこそ聴いて気持ちがいいし、カッコイイ!

Bosco & Jorge / Bosco + Jorge

 シカゴのアコースティックギターデュオ、ボスコー&ジョルジュの2000年の作品。
 いわゆる、シカゴ音響派の直系ではないけれど、エンジニアとしてジム=オルークが、ゲストとしてトータスのメンバーも参加してます。
 サウンド的には鬼のようにキレイなアコーステックミュージック。やはりアンプラグドな楽器の響きはイイもんです。アメリカンルーツのブルーグラスやラグタイムの源である、アイルランドの香りが漂ってとっても気持ちのいい音が満載。そういうルーツに根ざしているからといって、古くさい雰囲気はどこにもなく、現在の観点からのルーツ巡りって感じのホント美しい音。この辺りが、ジム=オルークのエンジニアマジックだ。
 好きなのは2曲目のフルートとアコギのマッチングが素晴らしい「Two Steps Behind In The 1st Place」、そして、女性ヴォーカルが心地よい5曲目の「Maria Carballo」。
 聴いていると、時間の流れまでもゆったり過ぎていく気分にもなれる。読書しながらコーヒー飲んだりする、休日の午後が似合う1枚。

Compay Segundo / Yo Vengo Aqui

 キューバの歌手&ギタリスト、コンパイ=セグンドの96年の90歳にして最初のソロアルバム。
 ご存知、キューバブームの原点ともいえる、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブでギターかかえて歌ってたあのお爺さんである。元々ソンの歌手であったけれど、ライ=クーダーによって見出された時点では農夫だったというのも、凄いというか、どうして!?って感じだけれども、それがキューバという国だからこそなのであろう。
 さて、音の方はというと、一言、優しい。声はもちろんだし、コンパイ自身が考案したという、7弦のギターの音にすごく哀愁があっていい。久しくキューバ系の音は聴いてなかったのだけれど、やはり、イイものはイイ!って実感できる音だ。
 優しさと共に、パワフルでもある。この時90歳ってホントかいな?である。老人力ブームの源でもあったような気もする。しかし、本当に良かったり、素晴らしいモノというのは時間や空間を超越したものであるし。年齢がいくつだからどうこうって決めつけること自体が視野が狭いよなー・・・。
 だけど、同じ年齢を重ねるならば、優しさとパワフルさを持って楽しくいきたいもんだなーと強く感じさせてくれる作品だ。

Andras Schiff / Plays Bartok

 お久しぶりのクラシック、アンドラーシュ=シフによる、バルトーク作品。80年日本での録音。
 クラシックはほとんど知らないに等しいけれど、バルトークは大好きだ。ヘンなメロディ満載だから。特に、ピアノ作品が多いし、この作品の農民音楽とか、民謡の独自解釈からの作曲という視点も好き。というか、こういうことを1900年代初頭にやってる人がクラシックにいるということを知ったからこそ、興味を持った作曲家である。
 クラシックって宗教音楽じゃん!?なんて思ってた自分に衝撃を与えたものだ。色々音楽の録音される前の譜面とかもない時代のルーツ的音を探して聴いてた時期があるのだけれど、一番聴けなかったというか、ベールに包まれていたのが、東欧だった。アフリカとか中東よりも分かりにくかったし。それで、このハンガリーやルーマニア民謡という曲あるのを知ったら、バルトークであった、と。バルトークとシフは共にハンガリーの出身というのも、何かあるに違いない!と。
 で、音なんであるが、ピアノソロで、メロディ的には一般的なクラシックとはかけ離れた感じもあるけれど、絶妙な間だとか、かなりツボ。組曲で、一部ごとに拍子がちがってたり、ホント、ヘンって音でもあるけれど、聴くと落ち着ける音なんである。寝る前とかによく聴く。

Paulo Moura / Mistura E Manda

 ブラジリアンジャズ界では有名なサックス奏者、パウロ=モウラの83年のカルテット作品。
 元々はクラリネット奏者としてのキャリアスタートであるけれど、パウロといえばアルトサックス。Azymuthへの参加なども有名。で、この作品ではソプラノサックスで奏でられていて、ソプラノサックスマニアにはたまらない1枚。
 アルバムタイトルでもある「Mistura E Manda」はブラジルでは定番曲。これがイイ。このアルバムの中でも大好きな1曲。
 やはりサックスといえども、ソプラノサックスは高音もキレイなのだけれど、アルトでも出る位の低い音階を吹いた時の音が、たまらなく好きだ。管が直線だし、クラリネットに近い音色ともいえるけれど、そこは金属のクールさがお気に入り。
 しかし、クラリネットにアルトにソプラノと、パウロの器用さもお見事。詳しく調べてないので、知らないけれど、フルートも吹けばいいのにとも思う。
 全体的にはジャズというよりサンバっぽいサウンドが多い。ブラジル盤しかないので、入手は専門店でないと難しいかも。他のカルテット作品であれば日本盤もあり。ジャケ画像のリンク先で試聴できるので、是非堪能あれ!