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sutero choice sound selection

Gene Autry / The Essential

358.jpg 「歌うカウボーイ」こと、ジーン=オートリィの33年から46年までの代表曲を収めたベスト盤。92年のリリース。
 3日続けてのカントリー、それもレーベルまで同じカントリークラシック・シリーズからの紹介となってしまいました。このシリーズもその前に紹介したスリルジョッキーの2枚と同じ様に、固まってCDラックの隅に眠っていたもので、連続して久々に聴いてやっぱりイイんで、紹介してしまおう、って感じなのでお許しを。
 さて、このジーンさん、簡単に言ってしまえば、ギター片手に弾き語りなカントリーシンガー。で、何故に「歌うカウボーイ」と呼ばれていたのかと言いますと、ホンモノのカウボーイだったのではもちろんなくて、いわゆる西部劇な映画やドラマにカウボーイ役で出演して歌うシーンをたくさんやってたからという理由。ジャケとか残っている写真もほとんどが「歌うカウボーイ」と呼ばれるにふさわしい格好をしておられます。
 彼の特徴というのはやはりその歌声と歌唱法にあって、20年代に活躍したブルーヨーデルで有名なジミー=ロジャースのスタイルを取り入れた、「オクラハマ・ヨーデル・カウボーイ」なスタイル。メロディアスに歌いつつ、時に出現するヨーデルな声がとてもゆったりしていて心地良く聴けてしまう。
 サウンド的には前の2枚と同じ様にフィドルやスティールギターはもちろんのこと、とっても効果的にアコーディオンがしっとりと鳴っているのが印象的。で、声としてのヨーデルも入って来て、ハワイアンにも通ずる部分もあったりで、この辺りも面白い。
 楽曲的にここ日本でも幼い頃から馴染の深い曲もあって、「You are My Sunshine」や「Red River Valley」など、キャンプファイヤーが連想される懐かしいモノが収録されてます。
 今回、3日続けて30年代からのクラシックなカントリーをご紹介しましたが、どれもかなり古い録音にもかかわらず、しっかり聴けてしまう録音状態の良さや、今でもこの時代の作品がたくさん流通しているって部分で、やっぱりアメリカは凄いのぉーって改めて感心の連続でした。

Roy Acuff / The Essential

357.jpg シンガーでありフィドル奏者でもあるロイ=エイカフの36年から49年にかけての代表曲を収めたベスト的なアルバム。92年のリリース。
 昨日に引き続き、同じコロムビア音源のカントリークラシック・シリーズからのご紹介。昨日のボブ=ウィルスがウエスタンスィングの巨人であったのに対して、このロイ=エイカフはホント、クラシックなカントリースタイルのシンガー。最初にも書いたようにフィドル奏者でもあり、彼のフィドルはとってもカントリーしたメロディを奏でるというか、和やかでゆったり嬉しい音をしている。
 カントリー的にも古典とも言えるこの第二次大戦前後頃の音っていうのは70年代生まれの自分の耳にはフォークなサウンドとして、とても心地良く聴くことが出来てしまうんである。当然のように全てがアコースティック楽器で演奏されているのもそうだし、ギターなんかはコードのジャカジャカ弾きのようなシンプルでリズム楽器的な役割をとっていたり、ラグタイムなリズム弾きだったりして、アメリカンクラシックと言っていい感じの、カントリー!って括りだけには留まらない、いろんな要素が聴いて取れるのもとっても楽しかったりする。
 あとはやっぱりスティールギターとバンジョーの音がキレイでイイ。楽器的にはこんな感じで、最大のポイントはエイカフの歌声ということになるかな。わりと低めなテナーヴォイスというか、渋くて味もありつつとてもしっかりした声が一番耳にハッキリ飛び込んで来る。歌い方的には高音な声のバックコーラスが入って来て、キレイにハモってる「Fireball Mail」がお気に入り。
 この頃の楽曲で、しかもカントリーな音でありつつ、大抵の方が知ってるモノでこのアルバムに収録されてるのは「テネシー・ワルツ」かな。普通はワルツって言うだけにとってもゆったりとしたバラード調が有名というか、TVとかでも使われてるのはそういうタイプの曲だと思うのだけれど、ここでエイカフさんが歌ってるヴァージョンは、とってもゆったりしているのだけれど、ハキハキと楽しそうに歌ってるのが印象的。

Bob Wills / The Essential

356.jpg フィドル奏者、ボブ=ウィルスの35年から47年にかけての名曲をひとまとめにしたベストアルバム。92年のリリース。
 このブログでの音紹介も350を超えた今になって初めてカントリー系をとりあげるのも不思議な気もするし、まあこんなもんかって感じもしつつ、ご紹介するとしましょう。
 あ、でもこの作品というか、ボブの演奏する曲やスタイルというのは、一般的に思い浮かぶようなコテコテなカントリーウエスタンな雰囲気ではなくて、当時のアメリカではウエスタンスィングって呼ばれてて、カントリーやジャズなスィングと言うよりも、軽快なテンポのダンス音楽としての純粋なスィングって雰囲気である。
 Bob Wills and His Texas Playboysってバンドスタイルというか、スモールコンボのような楽団形式でのプレイで、メインのメロディをフィドルやスティールギター、クラリネット中心でとって、周りをホーンやピアノで盛り上げたまにはヴォーカルもある、って感じで、ウキウキでスィンギーなこの感じはホント微笑ましくて好き。
 カントリー系って紹介しつつ、音的にはスィングだって言ったけれど、ジャケの写真とかそういう資料を見ると、全員が全員テンガロンハットを被って写ってるし、馬にまたがってたりもするんで、やっぱりカントリー系なのは違いない(笑)。というか、その後のカントリー界にサウンド的にも多大な影響を与えた人というか、グループなんですな、このボブさん達は。
 しかし、こういう素晴らしい音もあんまり知られてないのは確かな気がする。そういう自分も昔レコ屋の兄ちゃんやってなかったら絶対聴いてないまま過ごしてるんだろう、とも思うし。
 この作品も最近の紹介と同様にかなり久々に聴いたのだけれど、やっぱりエエですわい。またカントリーやブルーグラス系をより探求というか発掘したくなった今宵でした。