*music

sutero choice sound selection

Stevie Wonder / Innervisions

304.gif スティーヴィー=ワンダー、73年の作品。言わずと知れた名作であり、この年のグラミー賞の最優秀アルバム賞受賞作品。
 つい最近までほとんど聴いてなくて、ちょっと前に買い直したのを機に、鬼のように聴いている盤なので、ご紹介。細かい曲ごとの解説や、この時代について色々今更語る必要もないと思うし、単に聴いてて気持ちイイという作品だ!ということにしておきましょう。
 いや、それだけではこれまでで一番短い文章になってしまうんで(笑)、もう少し思ったことを書いていきましょう。このアルバムに収録されている曲でシングルとして大ヒットしたのは「汚れた街」と「ハイアー・グラウンド」の2曲なのだけれど、それ以外がもっと好きですな。この2曲が悪い訳ではありません。この2つはスティーヴィーが全編声を張って歌ってるのに対して、他の曲は強弱があるというか、サビ以外のメインメロをフツーな声の出し方で歌ってるのがとってもイイんである。声だけ聴いてると、フツーな感じで歌ってる彼の声に集中してるとホントに傍で歌ってくれてる感じがして泣きそうに嬉しくなるのである。
 さて、大好きなのは、「Too High」、「Golden Lady」、「Don't You Worry 'Bout A Thing」の3曲。至極の名盤が24bitデジタル・リマスターで、1500円を切ってリリースされてる、この21世紀はいい時代だ。

Innervisions

Curtis Mayfield / Curtis

281.jpg カーティス=メイフィールド、70年の1stソロアルバム。
 インプレッションズからの脱退、そしてこのアルバムから始まるソロ時代と、彼の音楽活動について細かく書くとそれだけですんごい量になるし、語り尽くせないということもあるので、このアルバムをピンポイントに。
 ともかく好きな作品。何といっても「Move on Up」、この曲が収録されているということであまりにも有名ですな。何を隠そう、カーティスを知ったきっかけの曲である。ポール=ウェラー率いるJAMがライブでよくやってたナンバーだ、っていうのがその最初。
 でも、今でこそカーティスといえばファルセットなソウルの代名詞的であるけれども、この1st、どマイナーレーベルからのリリースだし、セールス的にも全然だった作品だ。最初にCD化されたのは92年なんだけど、それもポルトガル盤という具合。そのポルトガル盤も持ってますが・・・。
 アルバム全体の音的には「Move on Up」に代表されるその後のカーティス的ソウルファンク、とってもウォームなバラードが交錯してます。ソロとなって、自分のやりたい音というものを色々と実験しながらも思いっきり表現している、イキイキ感で一杯の1枚です。
 全曲好きだけれど、特にというならば、初めてこのアルバム聴いた時に震えた1曲目の「(Don't Worry) If There's Hell Below We're All Gonna Go」、そしてもちろんの「Move on Up」、嬉し泣きな広がり感溢れる「Wild And Free」かな。とにかく、カーティス大好きなのでありました。

Jamiroquai / Emergency on Planet Earth

 ジャミロクワイ、93年の1stアルバム。
 かれこれ10年以上前の作品になってしまうのか〜ってビックリもしてしまうんであるが、まあ1stにして名盤ですな、この作品も。
 本日、耳悪くなって以来封印していたアナログを2ヶ月ぶり位に聴いたんであるが、その最初の1枚として選ばれたのがこのアルバム。聴きたかったから、というよりも、この作品、2枚組で真っ白なんで、目立ってて取り出しやすかったから(笑)。
 以前紹介したオアシスと一緒でジャミロ作品もアナログでしか持ってないなぁー。プラス、こちらも2ndまでしか持ってない。12インチシングルは2nd以降のモノも沢山持ってたりはするけれど。
 彼らの作品を聴くと思い出すのはやはりスティーヴィー=ワンダーですな。サウンドと歌い方なんて、特に1stは思いっきりそう感じる音をしている。まあ、パクリとは思わないけれど、近いことは近い。でも、そうだからこそ好きな音なんだろうし。
 しかし、発売当初は思いっきり聴いてました。歌詞も結構社会派っぽい感じだったんで、和訳とか真剣に読んでたりもしたなー。その頃好きだったのは「Revolution 1993」とか、かなり激しいファンク調なナンバーだったけれど、ここ数年では「If I Like It, I Do It」とか小気味いい感じでありながらもゆったり聴ける辺りかな。
 6年位前までよく聴いてて、それ以降、全くと言っていい程聴かなくなり、そしてまたここ1年位はわりと聴いている。やっぱり、基本的には好きということだ。しばらく聴いてないと、無性に聴きたくなって、引っ張り出してるし。そういうことで、耳復調、アナログ第一段として正解。

Penny Goodwin / Portrait Of A Gemini

 シンガー、ペニー=グッドウィンの73年から74年にかけて録音されたアルバム。
 今年、CD化されるまではレアもレア、というか、ほとんど知られていない存在な作品だったのだと思う。
 いきなりだが、このアルバムというか収録されているマーヴィン=ゲイの名曲のカヴァー、「What's Going On」に思い入れがある。7年か8年前にUK系のジャジーなフロア向けみたいな12インチをインフォだけ見て特注した、そのレコードの中にたまたまペニーの「What's Going On」のライヴヴァージョンが入っていたのだ。
 聴いて一瞬で大のお気に入りナンバーとなり、DJする時はいつもかけてて、流す度に「これ誰!?」って聞かれたものだ。その頃、色々彼女についての情報を入手しようとしたのだけれど、全然分からなかった記憶がある。
 しかし、やっぱりイイ曲はこうして日本で最初にCD化されるものなんですなぁー。しばらくは聴いてはいたけれど、情報を調べようとも思ってもいなかったんで、たまたまどこかのサイトで彼女の作品がリリースされてるというのを知って、思い出したように、ようやく謎が解けるというか、つっかえてたものが無くなるんで良かった!とすぐに買いに走った。
 全体的な音については、一応はジャズなラインで、今回のCD化もそういうシリーズみたいな感じでリリースされているけれど、これはソウルですな。彼女の歌い方はゴスペルよろしくな声量を効かせたヴァイブレーションだし、アレンジとかもそういう雰囲気が一杯だ。ともかくカッコイイです。

Weldon Irvine / Sinbad

 以前にも紹介したキーボーディスト、ウェルドン=アーヴァインの76年の作品。
 ずっと前からアナログで持っていたのだけれど、最近は聴いてないし、どこにあるのか探すのにも時間がかかるという理由で半分お蔵入り状態だったのだけれど、これまた以前紹介した大沢伸一監修のコンピにこのアルバムに収録されてる「I Love You」が入ってるのを聴いてどうしてもアルバムまとめて聴きたくなったので、最近CDを買ってしまったということでご紹介。
 久々に全曲聴いて、やっぱりファンキーじゃのぉーという感想。スティーヴィー=ワンダーやマーヴィン=ゲイのカヴァーも彼らしいキーボード中心なアレンジでとってもウキウキなサウンドになってて、CD買って良かったーという感じ。
 でも、やはり、先程あげた、ドン=ブラックマンの歌う「I Love You」がイイ。泣きそうである。このアルバムの4曲目に聴けるというのもやっぱり素晴らしい。
 コンピももちろんイイんであるが、オリジナルアルバムというものの良さはやっぱりその作品独自の一体感のような最初の曲から最後の曲までの、アーティストによる流れの演出が詰まった1枚であるというのを実感できる。
 アナログであれば、そこにA面とB面での別の世界の演出って雰囲気もあってこれまたたまらなくイイのと同時に面倒な時もある(笑)。でも、そういうアナログの片面終わって、プツプツ音がしてるのを止めて、ひっくり返してまた新たな音がするって作業は大好きだ。

Allen Toussaint / Southern Nights

 ニューオリンズのミュージシャン、アラン=トゥーサンの75年の代表作的1枚。
 実のところ、かなり昔から持ってはいるのだけれど、じっくり聴いたことがなかった作品でもある。もともと、姉が持ってたものを、事実上奪ったカタチとなってます。
 で、初めてのように、本日じっくり聴いてみた。バックの演奏のほとんどが、大好きなミーターズなのもあり、やっぱり好きな音。
 ニューオリンズ的な音とも言えるけれど、うーん、何と言えばいいのだろうか、サザンソウルな感じ!?逆に分かりやすいようで、単にもっともらしい気がするだけな表現だけれども。
 好きなのはタイトルナンバーである、「サザン・ナイツ」かな、やっぱり。ゆったりと、キレイなピアノが印象的な1曲。ヴォーカルにはかなりエフェクト処理が施してあるから、アランの声を堪能するべきナンバーではないけれど、メロディがいい。
 これに続く「You Will Not Lose」のこれまたピアノのリズムとメロディが面白くて好きな感じ。東京No.1ソウルセットのサンプリングに出てきそうな雰囲気を持った曲だ。
 全体のバランス的に色んなタイプの楽曲があり、アランの声も細いけれど、味があっていいし、ミーターズのバックのサウンドはしっかりしてて安心して聴ける。
 今後良く聴くだろうなーって作品。名盤であります。

The Brand New Heavies / Brother Sister

 ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、94年の3rdアルバム。
 この作品も発売当時は激!聴いた系のアルバム。グイグイ来るかんじではなくて、程よいグルーヴ感が気持ちよくて、ホントによく聴いていた。今、改めて聴いてみても、太鼓系の音がちょっと昔な感じがするくらいで、全く持って楽しく聴ける作品。
 大好きなのは、スタートナンバーである「Have A Good Time」とマリア=マルダーの名曲のカヴァーである「Midnight At The Oasis」、そして、ノリノリな「Fake」。サウンドメイクの上手さがイイって思えるご機嫌なナンバー達。もちろん、全曲好きだし、聴く時は飛ばしたりせず、全曲フルで聴くけれど。
 このアルバムよりも前の時代のインスト中心な頃も好きではあったけれど、やっぱり歌が載り、ジャズ的なものからグルーヴィーなソウルになってきたこの1枚が彼らの作品でも1番好き。
 そういえば、アシッドジャズなバンドでもあったというか、そういう捉えられ方をしてたんだったなー。でも、あの頃はそういうムーヴメントの勢いは凄く感じられたし、それによってイイ音と出会えるのは嬉しいことだ。というか、アシッドジャズっていう言葉の響きが懐かしい。
 この作品でヴォーカルをしてる、エンディア=ディヴンポートはこの後、離れていくんだけれど、彼女のヴォーカルが一番ブランニューの音には合ってる気がする。しかし、最近の彼らについてはほとんど知らなかったりする・・・。
 とにかく、今でもよく聴くアルバム。適度なうねりが欲しい時にはこのCDに手が伸びてたりする。本日やっと、iTunesに入れてみたら、ジャンルがエレクトロニカと表示されて可笑しかった。

Jon Lucien / Mind's Eye

 シンガー、ジョン=ルシアンの74年の作品。
 クラブ系の流れで再評価された人。日本ではフリーソウルなブームの時にコンピにも入ってたから、知ってる人も多いのでは。
 さて、彼はセント・トーマス島というカリブ海に浮かぶ島の出身なのであるが、その位置的なもののおかげなのか、ジャズであり、ソウルであり、ブラジルっぽくもあるという、ミクスチャー加減が何とも心地よい楽曲ばかり。
 このアルバムで語られるのは、やはりコンピなどにも入ってて、彼の作品では一番有名な5曲目の「Listen Love」。かなりスピーディーなのにもかかわらず、静寂のグルーヴって感じでカッコイイ。パーカッションとスキャットがツボである。
 しかし、この作品で個人的に大好きなのは2曲目である「A Prayer For Peace」。ボッサ的なガットギターにピアノとスキャット、バックのコーラスとジョンの歌がゴスペルのようで、とっても素敵なナンバーだ。この曲での彼の歌い方を聴いて、ゴスペルっぽいと思ったのと同時にファラオ=サンダースの歌声を思い出してしまった。その位好きなラインということ。
 多分、このジョンを始め、クラブ系の流れで再評価されたアーティストっていうのは、本拠地であるアメリカよりも、日本やロンドンなどでの方がはるかに現在では有名なのだろうな。
 こんな広がり方も出来るというのも面白いし、いいなぁ。そんな中で、世界にはまだまだ聴いたことも無いけれど、素晴らしい音っていうのはたくさんあると思う。
 ジョンの作品で同時期の「ラシーダ」もいい感じなので、こちらも是非。

Spinners / 2nd Time Around

 ソウルコーラスグループ、スピナーズの70年の作品。モータウンより。
 やはり、何も言わなくとも1曲目の「It's A Shame」でしょう。彼らの作品中最も有名で一番ヒットした曲であるし。もちろん名曲です。数年前のフリーソウルブームで、コンピに収録されてたりしたので、知ってる方も多いはず。
 この1曲だけなのか!?って疑問もあるが、そうとも言えるし、そうでないとも言える。確かに「It's A Shame」はズバ抜けて素晴らしいと思う。だからって他の曲がダメ!ってことではない。
 他の曲はそこそこ良いのだ。モータウンらしい、きっちり堅実で楽しいソウルという感じだろうか。ハーモニーもバッチリ決まってるし。
 しかし、しかしだ。アルバム全曲を通して聴くと、やはり1曲目が目立つ。もう、こればっかりはしょうがないよなー。
 全体的には60年代な香りが一杯だ。ビートとか特に。ホーンとビートの絡みはどれも好きなラインである。
 まあ、最終的には「It's A Shame」ですな。それでも、この1曲だけを聴きたい!って人もコンピとかではなくて、この作品を手にするのがよろしいかと思う。スピナーズのことも良く分かるし、アルバムという、1つの作品を通して聴いて得られるものもある。
 例えば、やっぱり「It's A Shame」だけでよかったかも!?ってことかも知れないけれど。

Intruders / Energy Of Love

 ソウル・グループである、イントゥルーダーズの74年の作品。
 いわゆるフィリー・ソウル、フィラデルフィア・ソウルを代表するグループでありながら、割と地味な知られ方しかしていない感じもする。
 で、この作品は彼らのアルバムの中でも、最もポップでメロウ。うん、聴きやすい。カーペンターズの「雨の日と月曜日は」やウィリアム=デ=ヴォーンの「ビー・サンクフル」、マーヴィン=ゲイの「ジャン」なんてカヴァーまであったりする。マーヴィンのカヴァーなんて、メロメロな感じで、楽しく泣けます。
 ジャケットは上半身裸の彼らがちょっと引き気味のショットで意味不明な部分もありつつ、何かやってくれそうな気配で一杯だ。
 フィリー特有の爽やかテイストで溢れながらも、75年というディスコ全盛手前な時代の、これからブイブイなりまっせ!的な次の時代を予感させるようなサウンドにも注目して聴くと、これまた楽しいのではないかと思う。
 さっき書いたウィリアム=デ=ヴォーンの「ビー・サンクフル」のカヴァーは、やはりノリノリで、プラスもろフィリーだったりもするんでとてつもなくカッコイイ!
 70年代ソウルはやっぱり色々あって面白い!って感じられるから好きだ。

Ann Peebles / Straight From The Heart

 ソウルシンガー、アン=ピーブルズの71年の作品。アル=グリーンなどで有名なメンフィスのハイ・レコーズからのリリース。
 特筆すべきはやはり彼女の図太い声。とっても華奢な女性ではあるが、そのパワフルさは、さすが幼少時代からゴスペルに親しみ歌っていただけのことはあるって感じだ。
 全体的にはレーベルである、ハイっぽいサザンソウルテイストで、8ビートなリズムに豪華なホーン、小刻みなギターカッティングに彼女の魅力あふれる低音ハスキーヴォイスがたまらなくイイし、大好きだ。
 1曲目の「Slipped, Tripped And Fell In Love」が特にお気に入り。力強さとソウルフルさと豪華さが混じり合っていながらもコーラスの部分がとっても美しい。
 70年代初頭のソウルというのは前にも書いたと思うけれど、時代背景なんかも相まって、とても力強い勢いというものを感じ取ることができる。
 そういう音楽ってものはその後、年月の経過を辿っても、新たに聴く者に素晴らしい刺激を与えてくれるし。音だからこその時代や人間を垣間見る独特なモノというのもあると思う。本や映像とはまた違った感じ方として。そういうこともあるから、ますます音楽が大好きだ。
 しかし残念なことに、このアルバム、現在は廃盤だったりする。

The Dynamics / What A Shame

 ソウルフルなコーラスグループ、ダイナミックスの73年の2ndアルバム。
 10年前位の復刻盤が出た時に買ってて、その当時は聴いてたんだけれど、すっかり忘れていて、ここに書く作品を探してたら、奥の方からかなり久々に発見して、聴いている所。
 とっても甘い、スウィート・ソウルだ。甘いって2回言ってるが・・・。この作品、ジョージ=ホワイトが大々的にフィーチャーされた、ファルセットガンガンのとろける音だ。
 カーティス=メイフィールド大好きで、必死に聴いてた時にファルセットな名盤を聴き漁ってた所で出会った作品っていうのも思い出した。
 タイトル曲である「What A Shame」、通称「ワラシェイム」はよく覚えてたので、懐かしいのと同時に気持ち良くてゴキゲンになれた。
 全体的にはミディアムなテンポが多く、いつもはソウル系サウンドはリズムで聴くんであるが、この作品はやはり、コーラスのハーモニーやホーンといったウワモノ系をしっとりと聴いていたい1枚だ。
 ダンサブル(古)な曲も何曲かあって、8曲目の「Funkey Key」は特にホーンが派手で昔の刑事ドラマの追跡シーンとかに似合いそうな感じ。
 最近、こういうソウルモノはご無沙汰だったが、たまにはこんな音もやはりいいものだ。確か、まだまだラックの奥にこういうのは眠ってたから、色々聴こうと思う。

Otis Redding / Pain In My Heart

 ソウルシンガー、オーティス=レディングの1stアルバム。64年リリース。
 元々、パイントッパーズのメンバーとしてのシンガースタートだが、この時期はほとんど知らない。26歳にして飛行機墜落事故で亡くなってしまっているので、実質6年の活動という短い期間で光り輝いたシンガー。
 このデビューアルバムには「Stand By Me」を始めとするカヴァー曲が沢山収録されているのだけれど、どれもオーティス節というか、完全に彼の曲であるように歌いこなしているのが凄い。だってこの時22歳ですよ、アナタ。最初に聴いた時なんて、そんな若いとは全く思わなかった位だし。
 好きなのはオリジナル曲である「Security」。ホーンの勢いの良さや、ギター&ベースのリズムがイイ。もちろんオーティスの歌、微妙にシャウトしてる部分とかツボである。
 この曲は何年か前の深夜にやってた志村けんのコント番組のエンディングテーマでかかってたことがあった。話は脱線するけれど、ドリフで唯一の楽器ちゃんと弾けない系である志村けんだけれど、ソウルマニアとしては有名で、かなりのレコードを所有しているらしい。番組の曲にソウルな曲は結構多用されてたし、中々、セレクトも渋いところもあったりする。
 ともあれ、オーティス=レイディングはとってもイイシンガーであることは間違いない。

The Drifters / Big Artist Best Collection

 説明するまでもないザ・ドリフターズのコレクションアルバム。89年のリリース。
 昨日のいかりや長介死去のニュースはホントに残念でしょうがない。当然のようにドリフ世代であるし、何と言っても、日本で一番好きなベーシストである。ドリフターズとしてのコントや役者としての渋い演技も、もちろん好きだし、イイんであるが、いか長のウネるベースラインは他の人間にはマネ出来ないソウルで一杯なのだ。
 このアルバムの楽曲も基本的にはコミックソングで笑える曲が満載だけれど、サウンドはしっかりしていて、それは極上のソウルである。特に「ドリフの英語塾」という曲はモータウンよりも凄いウネりを持った曲だ。もっと言うならファンクである。DJ時代に定番でかけてたりもしたし。数年前にビールのCMでエレキのコントラバスを弾いていた長さんを観て一人凄く嬉しかったのを覚えている。
 とにかく、ドリフの音楽は一度じっくり聴いてみてもらいたいと思う。2000年には日本公演で前座を務めたビートルズと同じく「赤盤」と「青盤」もリリースされているし。60年代から70年代のドリフの音はホント尖っていた。コミックソングでありながらも。改めて長さんの冥福を祈りつつ、ドリフサウンドを堪能したいと思う。

Amel Larrieux / Infinite Possibilities

 グルーヴ・セオリーのヴォーカリストであったアメール=ラリューの2000年発売の1stソロアルバム。
 実は今年頭にホント久々にニューアルバムをリリースしている彼女であるが、この最初の作品がとても印象的だったのでこちらを紹介。まずは何と言ってもその声が素晴らしいというか大好き。グルーヴ・セオリー時代から好みな声であったけれど、ソロになってからの楽曲とのバランスはまさにツボ。重たいビートやエレピのフワフワ感、そして彼女の声とのマッチングが、4年前の作品だけれども、今聴いてもとても新鮮なソウルである。
 詩を歌ってる声はもちろんだけど、スキャットやハミングの時の声が大好きだ。個人的なお気に入りは、2曲目のインドのタイコであるタブラの音が印象的な「Ini」、とってもジャジーでピアノの音が美しい8曲目の「Down」。
 彼女はソロ活動以外にもいろんなアーティストの作品にコーラスやヴォーカリストとして多数参加してたりもするので、どこかで声だけは聴いたことがある方もいるはず。日本ではこのアルバムのリリースされた2000年にモンドグロッソの作品にも参加している。

Terry Callier / What Color Is Love

 ギタリスト&シンガーであるテリー=キャリアーの73年の作品。
 小さな頃からクラシックを学び、学生時代にはジャズ、ポップス、フォークといろんな音楽を吸収しているだけあって、このアルバムにも反映されている。そして、当然のようにソウルフルでもある。
 アルバムタイトルでもある2曲目の「What Color Is Love」はタイトル名もキレイであるがアコギとハープ、そしてオーケストラの壮大な演奏が美しく絡んだとっても静かなバラードだ。
 大好きなのは4曲目の「Just As Long As We're In Love」。これもバラードだけど、テリーの歌と女性バックコーラスのハーモニーが心地よい、泣きたくなるような嬉しさに襲われる名曲だ。
 ジャケ写もキレイ。このちょっとうつろな目をしてソファーに横たわる女性の雰囲気がとってもイイ。是非アナログの大きなジャケで見て欲しい1枚だ。
 フォーキージャズソウル感溢れるこの作品、アイズレーのメロウな曲とか好きな人には持って来いな作品。

Stevie Wonder / Talking Book

 スティーヴィー=ワンダー、72年の作品。彼の黄金時代とも言える、70年代のスティーヴィーソウルの幕開け的1枚。
 全曲イイです。それでもやはり思い入れが強いのは「You Are The Sunshine Of My Life」ですな。邦題で「サンシャイン」。いろんなところで流れてたり使われたりしてて、聴いたことある方も多いはず。しかし、大部分で使われてるのはシングルヴァージョン。ホーンが絡んでるヤツ。このアルバムヴァージョンはホーンが無い分、シンプルでエレピとパーカッションの音がハッキリしてて好き。
 ともかくアルバム通して素晴らしいんで全部聴いて欲しいというのが本音。
 ちょっと話がそれるけれど、「ハイ・フィデリティ」というシカゴの中古レコード屋を舞台にした恋愛映画があるんだが、これがレコード屋出身の人間には本題以外の部分で共感できる部分が多々あって面白い。で、エンディングがこのアルバムでもラスト曲である「I Believe」でジンと来る。まあ、この映画がかなり面白いっていう部類の人はかなりの音楽オタク系でもあるが・・・。
 是非、アルバムとセットで映画も観てみて欲しい。
Talking Book

Sly & The Family Stone / There's a Riot Goin'On

 スライ&ザ・ファミリー・ストーンの71年の名盤。
 ジャケがアメリカで発禁になったり、タイトル曲の「暴動」が6秒の無音だったりと話題性もありつつ、サウンドも彼らの最高傑作といわれるアルバム。ファンクといえば、この作品といわれたりもするけれど、個人的にはこれだけクールなソウルは他に無いと思う。
 特に「Runnin' Away」は最高に心地よいナンバー。初めて聴いた高校生の時から変わることのないベスト1な曲。
 スライやPファンク系やスカなんかの繰り返されるギターのカッティングが気持ちいいし、自分で弾く場合においても根本にあるのがわかる。
 このアルバムはタイトル曲であり無音である「暴動」を挟んで前半と後半でグルーヴ感がほんのちょっと違うのだけれど、最初の頃は前半がとっても好きだった。しかし、今は後半部分、特に「Runnin' Away」のある最後あたりの感じがイイ。
 どんな音楽が好きな人でも聴いておいて損はないアルバム。

Marvin Gaye / What's Going On

 言うまでもない、マーヴィン=ゲイ71年の名盤。
 音楽をいろいろ聴き始めた頃に買ったんだけれど、正直、じっくりと聴いたのはつい最近のこと。やっぱりタイトルである「What's Going On」ばかり聴いてた。
 で、今さらのようにアルバムとして語ると、全ての曲を通して「What's Going On」である、ってことになる。この時代にノンストップアルバムというのは珍しいし、同じフレーズが多用されている。ともかく、このアルバムはマーヴィンにとって転換期でもあり、社会的メッセージを含んでいたりといろいろ語られるが、とっても優しい音をしている。
 この楽曲で、この声、このアルバムの流れが優しさに溢れている。
 最近のCMでこのアルバムに入ってる「Mercy Mercy Me」が流れてきた時には嬉しくてたまらない気持ちになったし。ホント、優しい。
 余談で、「What's Going On」のカヴァーでは柄本明の歌ってるのが大好きだ。
What's Going On

Weldon Irvine / Time Capsule

 キーボーディストであり歌も歌うウェルドン=アーヴァインの73年の作品。RCA時代の作品はフリーソウルが流行った頃に注目されたりしたけど、これは自らのレーベルからリリースしている自主制作モノ。
 すごくソウルフルであり、ファンキーだしジャズ的要素もみられてカッコイイ。何よりエレピサウンドが好き。
 で、このアルバムでは4曲目の「Deja vu」この曲です。93年のスピリチャル=ヴァイブスの1stアルバムでカヴァーされてて、すごくいい曲で好きになって、このオリジナルの方をという辿り。9分を越える長い曲だけれど、静寂とグルーヴの詰まった至極な1曲。
 70年代初頭の音楽は世界的にもいろんな転換期で面白いモノが多いけれど、特にブラックミュージック系には好きな作品がたくさんある。自分が生まれた頃だということも関係しているかも知れない。