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Prince Buster / Fabulous Greatest Hits

317.gif ジャマイカで60年代から70年代にかけて、プロデューサー、シンガー、レコードショップ&レーベルオーナーと多彩な活躍をしていたプリンス=バスターの64年から68年にかけての、自身がシンガーとして制作された作品を集めたベスト盤。
 元々はボクサーで音楽キャリアのスタートはサウンドシステムの用心棒としてという、ウソのようなホントの逸話のある人であるけれども(笑)、スカという音楽には全く以てかかせない人物であります。
 多分、プロデューサーとしての手腕の方が有名であるし、個人的にもそんなイメージがデカいんではあるけれど、シンガーとしてもかなりの作品をリリースしてて、カリスマ的であり、ジャマイカの国民的アイドルっぽさもあったということです。
 最近はかなりバスターのシンガーモノもCDでリリースされるようになってはいるけれど、今でも7インチが根強いジャマイカにおいて、当時の作品が全て揃うって状況はかなり難しいけれど、スカ系コンピには大抵収録されてたりするんで、聴いたことある方も多いとは思います。
 このアルバムの中で好きなのは、「Too Hot」と「Al Capone」ですな。スカな歌モノの定番曲と思っている程、もう20年近く聴き続けてる名曲であります。持ってるのは当然のようにジャマイカ盤のアナログですが、やっぱりスカはジャマイカ盤の雑な仕様のアナログで聴くのが思いっきり雰囲気あってよろし。
 バスターって人のハーモニーの雰囲気というか、この時代のスカな歌モノは40年代や50年代のR&Bにとっても影響を受けてて、その辺り大好きで、スカはまだ未開拓な方にはとってもオススメです。

Ska Flames / Wail'n Skal'm

 スカ・フレイムス、93年の2ndアルバム。
 彼らのことを最初に知ったのは中学生の頃に深夜番組で目にした、「Tokyo Shot」のライヴ映像だった。そのカッコ良さに一瞬にして好きになったのを覚えている。
 80年代から現在もマイペースながら活動しているし、ライヴは必見のバンドだ。で、この作品だけど、帯には確か「大いなる一本調子」ってコピーがあったと思う。スカ一筋を物語るコピーで素晴らしいが、作品的にはじっくり聴いてみると結構スカはスカでも幅が広い。歌モノもこの2ndが初挑戦だった。
 一応、全作品持ってるし、楽曲的に一番好きなのは最初の衝撃を受けた「Tokyo Shot」なのは変わらないけれど、アルバムとして、楽しさ&嬉しさが大きいのはやはりこの2ndだ。
 オリジナルスカなサウンドを奏でるバンドというのは本場ジャマイカでも現在は数少なくなって来ている中で、スカ・フレイムスはずっと活動を続けているだけでも、かなり貴重な存在なのだが、それだけではなく、ライヴを大切にし、素晴らしい、震える演奏をしてくれてる、とってもクールなバンド。

Tokyo Ska Paradise Orchestra / Grand Prix

 東京スカパラダイスオーケストラ、95年リリースの5thアルバム。
 スカ大好きで、何を隠そう洋楽の入口がスカだったのである。しかし、この作品はスカというよりも、笑えるラジオ番組を聴いてるような感じだ。それでも、とっても魅力的な作品である。とってもバラエティに富んだゲストの面々に音はしっかりしているし、スカな部分はきっちりスカでもある。
 中でも1番スカらしい、永瀬正敏が「愛だろっ、愛!」って語りから始まるCMでもお馴染であった「花ふぶき〜愛だろっ,愛っ。」は大好きだ。個人的に結婚式の二次会の定番曲として回していた。
 あと、スリラーUの歌うアル=グリーンの名曲、「Let's Stay Together」も素晴らしい。しかし、これはスリラーU名義で出ていた12インチのアナログ盤がもっと秀逸だ。
 曲の合間のコント仕立てな部分を聞いていると、ちょっとスネークマンショーとYMOがリリースしたアルバムも思い出したりする。
 何だかんだで、スカパラの幅の広さを最初に感じることができたアルバムだ。やはり、管楽器の攻めるような演奏というのはジャズにしてもスカにしても、ナマだからこそ聴いて気持ちがいいし、カッコイイ!

Don Drummond / 100 Years After

 ジャマイカのトロンボーン奏者、ドン=ドラモンドの死後にリリースされた、アンソロジー的アルバム。彼の死が69年だから70年代初め頃にリリースされていると思う。詳しいことはよく知らないのであるが。
 No.20でも紹介したジャッキー=ミットゥと共にスカの元祖であるスカタライツのメンバーである。実はスカタライツ関連で初めて買ったレコードがこの作品。新品なのにジャケットはヨレヨレ、盤の中心の穴もずれてるし、盤面も砂でザラザラという、いかにもこれがジャマイカ盤!という最初の洗礼を受けた作品だ。
 しかし、この版画のようなジャケに思いっきりこもってる音にはシビれた。確か高校1年生の時だ。レコ屋の店員に「お兄ちゃん、若いのに渋いとこつくね〜。」と嬉しそうな顔で言われたのを覚えている。
 音は悪いんだけれど、彼のトロンボーンはすこぶる上手い。ブロウしてるところはホント震える!サラ=ヴォーン曰く、「世界一のトロンボーン奏者」とは納得だ。
 アルバムタイトル通り、100年後に聴いても素晴らしさは変わらないだろう。