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George Sibanda / The Legendary George Sibanda

George Sibanda / The Legendary George Sibanda 音楽学者であるヒュー=トレイシーによる50年代を中心としたアフリカ・フィールド・レコーディング音源の中で最高傑作とも言われるジンバブウェの謎多きギタリスト、ジョージ=シバンダの作品を収録した貴重な1枚。48年から52年にかけての録音。
 以前からアフリカ音楽に興味はあり、それこそ現在のアメリカン・ミュージックのルーツ的なサウンドを探し求めていた時期もあったり。で、この作品の興味深い部分は、アメリカンポップの爆発的なムーブメントの後に、ギターという楽器と共にアフリカに流入した、アメリカンな音ををルーツとするフォーキーでポップなサウンドが収録されているって部分。
 この歌ってギター弾いてるジョージ=シバンダって人、最初に謎多きって書いた通り、写真も残っていなければ、他に音源も無いそうで、いわば伝説的な人のようで当時はたいへん人気があったそうだ。音的にはフォーキーでポップと書いたけれど、ラグタイムやブルース、カントリーにブルーグラスと、ホントアメリカンなギターサウンドが満載でありつつ、リズムの取り方はアフリカンという、まさにジンバブウェなフォークって感じで聴いてて楽しくなる音である。
 このCD、個人的には生まれて初めてネット通販で買ったモノである(笑)。店舗系には全然置いてなくて、このディスクの日本盤をリリースしてるアオラ・コーポレーションから直接。で、聴くためにiTunesに取り込むと、何とiTMSの日本のストアでも普通に取り扱いがあることにビックリ。こういう、物販として流通させるにはなかなか難しいが好きで欲しい人が必ずいるであろう類いの作品がiTMSなどのダウンロード販売で手軽に買えてしまうというのはとってもいいことである。
 ミュージシャンの作品というよりも、歴史的記録作品の意味合いが強いので、音質的にはとても良いとは言えず、ムラもあったりするけれど、それを帳消しにしてしまう程のジョージ=シバンダの生々しい迫力がこの中にはある。

George Sibanda - The Legendary George Sibanda

Pape & Cheikh / Mariama

 セネガルのフォークデュオ、Pape & Cheikhの2002年のアルバム。
 リリース当時にアフリカコーナーを物色していた時に試聴もせず、単にリアルワールドレーベルのアフリカモノだって理由で買ってみた作品。
 で、聴いてみて正解!な1枚。アコギと歌のシンプルでありながらも、奥の深い作品。やはりアフリカのビートの独特さもあるし、ハーモニーの面白さ、そして、効果的に入ってくるアコーディオン!?の音がとっても心地よい。
 情報的にあんまり持っていないので、素直に聴いた感じで。モロ、フォーキー&ハーモニーと手拍子の臨場感、そしてアフリカ独特なパーカッションが美しい「Kamalemba」や、同じくパーカッションの響きが気持ちよくて、ギターのカッティングやメロディはカントリーやブルーグラスにも通ずる部分のある「Fanick」がお気に入り。
 アフリカ系のサウンドはモロな民族系も好きではあるけれど、長く聴けて気分が高揚するより、リラックス出来る感じの、前にも紹介したS.E.ロジーだったり、この彼らのようなシンプルでアコースティックな楽器とハーモニーがイイ。
 エレクトロニカなんかの、モロな打ち込みとかテクノロジーを駆使したサウンドももちろん大好きだけれど、人力というか、俺ら奏でてますぜ!って音が心にグッとくるのはまぎれもない事実でもある。

Femi Kuti / Shoki Remixed

 フェミ=クティ、2000年のリミックスアルバム。父親は説明するまでもなく、フェラ=クティ
 元々、フェラ=クティが高校生の頃から大好きで、アルバムもほとんど聴いてきている。その流れで当然のように息子がデビューするなら聴かねば!という感じで、非常にすんなりと聴けたアーティストである。
 フェミのサウンドは父親譲りの熱い魂のアフリカンビートを持ち合わせつつ、クールで現代的というか、今を感じさせてくれる音をしている。この作品のオリジナルである、2ndアルバム「ショキ・ショキ」も大好きでかなり聴き込んだ作品でもある。
 普通はリミックスアルバムよりもオリジナルの方が全然好きな場合が多いんであるが、フェミのこのアルバムに限ってはオリジナルと同等に好きだ。リミックスされたところで原曲の良さが全く損なわれていないし、むしろより燃えるような音に仕上がっている。
 日本独自企画ということで、日本人のリミキサーが多数だけれど、ルーツやマスターズ・アット・ワークなど、海外からもイイ、リミキサーの参加もある。詳しくはジャケのリンク先にてどうぞ。
 全曲好きなのだけれど、この中で特に大好きなのは、8曲目の「Beng Beng Beng」。Calmによるワルツミックスで泣けます。
 2001年の3rd以降リリースが無いので、そろそろ新譜リリースでは!?と楽しみにしている。
Shoki Remixed

Solomon Ilori / African High Life

 ブルーノート4136番となる63年のソロモン=イロリのリーダー作。
 ここでブルーノート作品を紹介するのは初めてだけど、ジャズといえばブルーノートっていう位有名であるし、大好きなレーベルだ。しかし、ある意味1番ブルーノートらしくない作品を最初に持ってきた。ざっくり言うとこの作品はジャズではないからだ。
 アフリカンである。それも濃いよ!だけどフワフワもしている。A面が歌モノでB面が楽器サイドに別れてる。特にA面の歌がイイ。ソロモンの呪文の様で儀式!?みたいな歌声がクセになるし心地良くさえ感じられる。「Ise Oluwa」という曲がフェイバリット。DJ時代の御用達の1曲でもある。
 4100番台といえばブルーノートの第2黄金期で有名なジャズマンの名盤が溢れるラインナップなんだが、こんな異色を放つ作品もあるんである。だからこそ、逆に最高の名盤であり、最もジャズな1枚と言いたい。世間では珍盤扱いでほとんどのお店には在庫してなかったりするんだけど。そんな影に隠れてる具合も好きだったりするんだけどね。

S.E.Rogie / Dead Men don't Smoke Marijuana

 パームワインミュージックというのをご存知だろうか?西アフリカ一帯、特にガーナを中心としたポピュラーミュージックを指す言葉なのだけれども、ここに紹介するS.E.ロジーはこれを代表する巨匠とも呼ばれている。
 このアルバムは1994年に発表された彼のラストアルバム。というのも、リリース直後に残念なことに亡くなってしまった。音はアコギを中心としたとても柔らかくて暖かい心地いい感じ。で、彼の歌声が輪をかけて優しい。
 アフリカの音というと、民族音楽的なものだとか、パーカッションの激しいものを連想する方に是非とも聴いてもらいたい。こんな優しい音はなかなか他にもない。のんびりゆったり聴くのが丁度いい。