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Bracha / Bracha

 ユーゴ出身のギタリスト、ミロスラフ=タディチを中心としたトリオである、ブラシャの88年の唯一のアルバム。ドイツはCMPレコードからのリリース。
 ギターとバンブーフルートとパーカッションというトリオで、とても美しいサウンドを聴かせてくれている。クロアチアやボスニア方面のフォーク、トラッドとジャズが混ぜ合わさったような、神秘的とも思える雰囲気も漂っている。
 こんな珍しいというか、あまり知られていない作品でも94年に日本盤がリリースされていたのであった。ジムコという、これまた地味なレーベルから。すぐに廃盤になったけれど。
 その日本盤のサンプルを所有している。全然売れなかったのだけれど、個人的にはすこぶる気に入ったから。その頃、友達のカフェでも流してたりして、ホントに一部では好評だったのにねー。
 東欧系のフォークなんて普通は想像つかないと思うけれど、この作品、フルートが入ってるから、高音フワフワ系としても楽しめる1枚。竹のフルートだから気持ち優しい音をしているし。
 パーカッションにはいろんな太鼓が使われてて、リズムは曲によってはインドっぽくもあって、とってもオリエンタル。解説を読むと、インド音楽にインスパイアされたりしてるともあったので、納得。
 抜群に夜中が似合う心地よい高音サウンド。現在、国内での入手が微妙かな!?アマゾンもドイツでは扱ってた。何曲か試聴出来るサイトを発見したのでお試しあれ。

Double Famous / Esperanto

 ダブルフェイマス、98年の1stアルバム。
 久しく聴いていなくて、思い出したようにさっき取り出してみた。いつも聴く度に思うのは無国籍というか、多国籍というか。中東と西インド諸島の雰囲気を思い出す。思い出すからと言って、行ったことがある訳ではないのだけれど。
 アコースティックのホーンを含んだスモールコンボ、いや楽団と表現した方がいいこの集団の奏でる音は、遠い異国の地の風景を目の前に持って来てくれるような感じがする。
 実際のサウンドの詳細を表現するのは難しい楽団だ。とにかく聴いてみて欲しい。いろんな情景が浮かんでくるから。それだけじゃなくて、聴いてて気持ちいいし、嬉しい気分にもなれる。ライブもいい感じだ。
 来月、2年ぶりとなる3rdアルバムが発売されるのもとてつもなく楽しみだ。早く聴きたい。ヴォーカルが3人体制になるらしいから期待度も3倍だ。

Nusrat Fateh Ali Khan / The Last Prophet

 パキスタンのカッワーリーの巨匠、今は亡きヌスラット=ファテ=アリ=ハーンの94年の作品。
 カッワーリーとは南アジアで成立したイスラム神秘主義系スーフィズムの音楽。これだけ聞くと、ちょっと怪しい宗教音楽!?って思う方もいるかも知れないが、ともかく彼の声を聴いて頂きたい。
 アコーディオンとパーカッションに、ヌスラットを中心とする男達のハーモニーにヤられてしまう。高音で魔術的でもある歌声はホント独特で初めて聴いた瞬間に大好きになってしまった。
 何枚か彼の作品をもっているけれど、このアルバムの1曲目である「Maki Madni」が1番のお気に入りだ。ホントに現地では宗教儀式などで歌い踊っているらしいけれど、音だけでも充分に迫力があるし、素晴らしい。
 彼はかなりイイ体格をしておられるが、この声量を聴けば納得してしまう。ホント97年に急逝してしまったのが残念でならない。
 余談だが、タモリもフェイバリットなアーティストの1人として彼を絶賛している。

L. Subramaniam / Global Fusion

 インド人バイオリニストであり博士でもある、ラクシュミナラヤーナ=サブラマニアムの99年の作品。
 胡弓や琴、スパニッシュギターにパーカッションなど、世界のさまざまな楽器や音楽と彼のバイオリン、そしてインド音楽を融合させて楽曲を作ろうという、実験的なアルバム。
 さすが博士号取得者だけにとても考えられた作品だとも思うし、単に研究材料としての音楽に留まっている訳ではなく、音楽家として素晴らしい楽曲を作り、バイオリニストとしてプレイするという、何とも深いアルバムである。
 これまで、音楽ジャンルとしての「フュージョン」という部分には曖昧な見解だったけれど、この作品ではタイトルにもなっているし、本当の融合というのはこういうことだな、と納得できる音である。
 弓で弾く弦楽器系と声のフワフワした音に、ピックや指で弾く歯切れの良い音、そしてパーカッションなどの打楽器のリズミカルな部分が何とも心地よい音色となって流れてくる。久々に聴いたけれど、ハマるわ。