*music

sutero choice sound selection

Lonnie Smith / Live at Club Mozambique

280.jpg オルガンプレーヤー、ロニー=スミスの70年のデトロイトはクラブ・モザンビークでのライヴ、ブルーノート作品。
 95年に初めてリリースされたもので、この時同時に何枚か70年代のレア・グルーヴ系作品でお蔵入りしてたものがザッとリリースされたのでビックリというか、嬉しかったのを覚えている。
 さて、音であるが、限りなく上品なファンキーさのある、スラーッとウキウキ出来る感じだと思うのだけれど、この表現でご理解頂けるだろうか!?とにかく極上のスピーディーファンク作品であるのは間違いない。
 この作品で好きなのは音ばかりではなく、ジャケもである。真っ黒なバックにキレイに浮かび上がっているロニー=スミス。この構図がハッと目を引くし、臨場感もある。しかし、こういう手法はブルーノートの流れではやはりちょっと違う。そこら辺は95年初リリースというのが大いに関係してるからだろうけれど、とにかく経緯がどうであれ好きなジャケだ。アナログなんで特に大きくてイイし。
 オルガンジャズ好きな人で聴いたことない方がいれば、是非聴いてみて頂きたい、アンダーグランドな名盤。特に好きなのはアルバムの中でも特にスピーディーな展開溢れる「Expressions」。オルガンはもちろんだけれど、ベースラインの速さが尋常じゃない。メタラーもビックリなラインをしております。プラス、ギターのジョージ=ベンソンとのアドリブの駆け引きがイイ感じ。ここでも以前紹介したアルバムと同じ感じでベンソンのスピード感溢れる奏法も堪能出来ます。

Sun Ra / Space Is the Place

279.jpg サン=ラ、72年の作品。アルバムタイトルでもある「Space Is The Place」は名曲であるし、言うことない!ってナンバーだ。
 さて、このブログを移転するにあたって、徹夜で色々やってたのだけれど、その間iTunesをかけっぱなしにしてて、ちょっとウトウト気味になった今朝方、スピーカーからこのアルバムが流れ始めたのであった。日の出と共に朝からサン=ラって(笑)。
 このアルバムは彼の作品の中でも比較的聴いているモノなんだけれど、今朝ほど心地よく聴けたことは無かった。睡魔と変態ジャズの融合とでも言いましょうか!?とにかく、普段はこのタイトルナンバーにしても20分を超える大作で、途中からお腹一杯な感じになってしまうのだけれど、今日ばっかりは、もう終わってしまうの?という、たまらなく覚醒出来た。
 フリー系だとかインプロヴィゼーション系の、ほとんどの人にとっては雑音のような音もこんな感じである種の極限状態では思いっきりハマるものである。まあ、元々フリー系好きだからもっともではあるけれど。
 しかし、彼の作品の中にはとんでもない感じのさっきも書いた変態ジャズモノがメインなのだけれど、たまーにディキシーランドっぽいのとか、ラグタイム、スィングを感じさせてくれる、古き良きみたいなスタンダードっぽい作品で、普通にとってもキレイなピアノを聴かせてくれるアルバムもあったりで、そっちも実は良く聴くし大好きだったりする。こういう幅の広さが魅力な人でもある。

Space Is the Place (Impulse Master Sessions)

Jamiroquai / Emergency on Planet Earth

 ジャミロクワイ、93年の1stアルバム。
 かれこれ10年以上前の作品になってしまうのか〜ってビックリもしてしまうんであるが、まあ1stにして名盤ですな、この作品も。
 本日、耳悪くなって以来封印していたアナログを2ヶ月ぶり位に聴いたんであるが、その最初の1枚として選ばれたのがこのアルバム。聴きたかったから、というよりも、この作品、2枚組で真っ白なんで、目立ってて取り出しやすかったから(笑)。
 以前紹介したオアシスと一緒でジャミロ作品もアナログでしか持ってないなぁー。プラス、こちらも2ndまでしか持ってない。12インチシングルは2nd以降のモノも沢山持ってたりはするけれど。
 彼らの作品を聴くと思い出すのはやはりスティーヴィー=ワンダーですな。サウンドと歌い方なんて、特に1stは思いっきりそう感じる音をしている。まあ、パクリとは思わないけれど、近いことは近い。でも、そうだからこそ好きな音なんだろうし。
 しかし、発売当初は思いっきり聴いてました。歌詞も結構社会派っぽい感じだったんで、和訳とか真剣に読んでたりもしたなー。その頃好きだったのは「Revolution 1993」とか、かなり激しいファンク調なナンバーだったけれど、ここ数年では「If I Like It, I Do It」とか小気味いい感じでありながらもゆったり聴ける辺りかな。
 6年位前までよく聴いてて、それ以降、全くと言っていい程聴かなくなり、そしてまたここ1年位はわりと聴いている。やっぱり、基本的には好きということだ。しばらく聴いてないと、無性に聴きたくなって、引っ張り出してるし。そういうことで、耳復調、アナログ第一段として正解。

Torun Eriksen / Glittercard

 ノルウェーのシンガー、Torun Eriksenによる2003年の1stアルバム。名前の読みが分かりません(笑)。JazzLandレーベルより。
 JazzLandといえば、フューチャージャズ系の作品が有名ですが、彼女の作品は全然知りませんでした。まあ、最近はこういう方面の音チェックは全然だったのもあるし・・・。
 知ったのは最近よく聴いているネットラジオのRadio42から流れて来るのを聴いて。このアルバムの4曲目に収録されている「Fever Skin」がその曲。仕事しながらサラーッと聴いてたんだけど、思わず動きを止めて必死に曲名チェックをしてました。
 さっき書いたレーベルカラー的な音ではなくて、しんみりじっくり聴きたくなる作品でございます。ジャジーなポップスって感じかな。声も好きなラインのちょっぴり低音の効いたハスキー系で、「大人じゃのぉ〜」的心地よさが漂っております。
 アルバムを一通りザッと聴いて、全体的に好きなんだけれど、あえてこれから聴こうかなーという人の為に一言とすれば、盛り上がり感みたいなのは無いです。淡々と歌われているという部分もありますな、正直。
 しかし、この波の無さが夜中に聴いてると、ジワジワ体内まで染み込んでいい気分になれます。やっぱり最初に聴いて必死にメモった「Fever Skin」が大好き。

My Jazzy Child / Sada Soul

 フランスで活動するソロユニット、My Jazzy Childの2003年の作品。
 結構前に何となく何の情報もないのに試聴もせず買ってて、サラっと聴いてパッとしなかったんでそのままになってたアルバム。本日たまたまiTunesを結構な大音量で聴いてたところ、このアルバムが流れてきて、「これ何の作品!?」って、しばらく聴いてもいなかったもんで分からず、そのまま聴いてたら「結構イイじゃん!」って思えたのであった。
 とってもユルい感じのエレクトロニカ。アコギの低音弦の響きとか、ピアニカなんかのチープさがとっても微笑ましくもあり、リズム系も太鼓叩いてるというより、その辺に置いてあるモノというか、楽器というより叩いたら音が出たよ的な雰囲気も好き。
 何で最初に聴いた時に反応せずにスルーしてたんだろう!?って改めて思った。よくよく考えると、小さな音で聴いてたからなんだろうと思う。本日反応したのは、かなりの大音量ということで、この作品、かなり音的にもミニマムな作りなので、音量上げてハッキリ聴いてやっと全体のユルさを認識出来たという感じなのかな。
 好きなのは1曲目「Whatever You Do」。ホント、ユルユルにちょい高めの男性ヴォーカルがホワホワしている。あと、ラストの「Twice Upon A Time」も。壁とか机叩いてるんではないか!?って感じのポコポコした音のサンプリングの嵐に続いてトイピアノのチープさと、本物のピアノの重厚感が入り乱れつつ、壮大なミニマム的な音がラストっぽくもあり、心地よい。

Psapp / Tiger, My Friend

 ロンドンをメインに活動する男女二人組、カリム=クラスマンとガリア=デュラントのプサップ、先月リリースの1stフルアルバム。
 9月にリリースされた、スケッチ・ショウリミックスアルバムにて2曲ほどリミキサーとして参加してるので知ってる方も多いのではないでしょうか?しかし、全然知りませんでした(笑)。
 耳が復調しつつあるので、最近はレコ屋にもよく行くようになり、先日試聴機の片っ端から全部聴きを敢行していた時に、巡り会いました。1曲目のイントロ的な31秒の曲である「Northdown」の環境音のような鳥のさえずりにヤられてしまいまして。出だしの3秒を聴いただけで、レジにCD持って向かっていました。
 全体的にはリズム系が完全な打ち込みで、上モノがアコースティック系の楽器を駆使したサンプリングや生のまんまだったりする、フワフワ系のエレクトロニカ。
 あと、忘れてならないのが、ヴォーカルであるガリアの声ですな。低めなんだけれど、女性らしい優しさいっぱいの柔らかい響きをしてて心地よいでございます。
 カリムの方はエンジニアでもあるということで、ヘッドフォンなんかで聴くと、とっても細かい音の仕掛けが施されているのがよく分かって、そういう発見も楽しい作品。
 好きなのはアルバムタイトルでもあり、ラストを飾る「Tiger, My Friend」。パッと聴いた時にこれまた大好きなMoonDogを連想してしまった。似ている訳ではないのだけれど。

Cosa Nostra / Bellissima! Years

 コーザ・ノストラの98年リリースのベストアルバム。現在廃盤です・・・。
 いや、ベスト盤は基本的にはあんまり聴かないというか、持ってなかったりするのだけれど、このベスト盤は多分、自分の手持ちのそんなに無いベスト盤の中でも一番聴いている作品であり、普通のヘヴィーローテ並のアルバムと肩を並べる位だと思う。理由は大好きな曲である、アル=クーパーのカヴァー曲「Jolie」が収録されているから。
 「Jolie」という曲自体、オリジナルも大好きなナンバーではあるが、カヴァーとなれば、このコーザヴァージョン以外考えられないという位、好きなんである。
 もちろん、シングルも元々収録されてたオリジナルアルバムの「Love The Music」も両方持っている。ただ、どちらもアナログで所有しているので、聴くのに便利なCDであり、なおかつ他のコーザのシングル系を中心に代表曲であり、個人的にも好きなものがおおく収録されたこのベストはとっても聴きやすいのであった。
 しかし、ここ1年位はパッケージはあるのに盤だけが行方不明で、とってもやきもきした時期を過ごしていたところ、ふと別のCDを聴こうとして取り出したら、その中に重なって入ってて、思わぬ再会に涙!まではいかないけれど、とっても嬉しくて、また最近よく聴く作品となった次第。
 現在、この作品のレーベルであるベリッシマは存在しないし、この頃の作品は全て廃盤で、他にも好きなアーティストが沢山在籍してたりしたにもかかわらず、再リリースの見込みがほぼゼロなのは悲しい。

Tokyo Jihen / Kyoiku

 東京事変の2週間前にリリースされた1stアルバム。言うまでもなく、椎名林檎のバンドでございます。
 個人的にはバンドとはいえ、メンバーもソロ時代から一緒にやってる人達と組んでいるのもあって、椎名林檎の新譜という印象ですが、確かに、楽曲のアレンジとかをよく聴くとバンドっぽいウネリ感があったりします。ブックレット見ると、キーボードの方の曲が半分位あるので、この辺りはバンドになったからこそなのでしょう。
 東京事変になってからはシングルも買いたかったりしたけれど、ずっとこのアルバムが出るのを待っておりました。なので、最近になってようやく東京事変サウンドというものをじっくり聴くことが出来たという次第。
 いい意味で相変わらずの息継ぎガンガン具合がやっぱり大好きであります。まあ、椎名林檎の息継ぎにヤられた1人としては今後もこの歌い方で突き抜けて欲しいものです。
 さて、全体的にはさっきも書いたように、バンドっぽさを醸し出しつつも、椎名林檎作品であるという感じだけれども、この中で一番のお気に入りは3曲目「入水願い」かな。ジャジーでよろしゅうございます。
 1stシングルでもある「群青日和」に代表されるように結構ハードなロックンロールアルバムに仕上がりつつも、ジャズやクラシックの要素がちりばめてあったりして、やっぱり椎名林檎作品は目が離せませんな。

Jamie Cullum / Twenty Something

 ピアニストであり、ヴォーカリストのジェイミー=カラム、2004年のメジャー1stとなる通算3枚目のアルバム。
 昨年からUKで、そして今年の頭には日本でも結構ジャズシーンでは騒がれていたらしいけれど、さっぱりノーマークでした。ジャケだけはかろうじて知ってたのだが。
 先日、テレビでこのアルバムの曲が流れて来たのを聴いて、震えてしまい、ちょっとでも知ってただけにノーマークだったのが残念でしょうがなかったけれど、焦らずについ最近購入。
 まだ24か5歳ということで、音に年齢関係無いとはいえ、凄い兄ちゃんじゃのー、と思いつつ、すっかりフェイバリットでございます。
 ジャズ界のベン=フォールズなどとレコ屋のコメントやライナーにも載ってたけれど、確かに弾ける感じはあるし、ジミヘンやレディオヘッドの曲とかもサラッとジャジーにカヴァーしてしまってる部分も凄い。
 しかし、このアルバムで一番好きであり、震えまくったのは1曲目に収録されている、スタンダードナンバーの「What A Difference A Day Made」、邦題で「緑は異なもの」である。しっとりと極上のモダンナンバーとして今まで聴いたどの「緑は異なもの」よりも素晴らしい演奏なんである。
 15歳の頃から好きでライヴハウスに通い、ステージに上がってたという彼の、その現場で培ってきたというか、好きだからこそ楽しく音楽やってます、っていうのが素直に音に出てて、クラシックなんかの小さい頃から英才教育みたいなモノとは対極な感じのどちらかというとロックに近い雰囲気を持ってる所も好きなのだと思う。
 とにかく、今後はしっかり注目していきましょう、という次第です。
Twentysomething (Special Edition)

Asako Toki / Standards On The Sofa

 思いっきりお久しぶりの、再開第一段として紹介するのは、前作も紹介した土岐麻子のジャズを歌うシリーズ第2段。先月のリリース。
 ずっと耳の調子が悪く、音チェックなんてホント全然してなかったものだから、この作品も出るらしいって時点まで知ってたけれど、出てたということは今日知ったのでありました。
 で、今回はプロデュースをサックスプレーヤーであり、彼女の実父である土岐英史と一緒に親子でやってらっしゃる所がまたニクい。もちろん、前作もそうだったけれど「娘を想うオヤジサックス」が心地よくブロウしてます。
 タイトル通りのスタンダードナンバーばかりではなく、今回はスティーヴィー=ワンダー、マイケル=ジャクソン、ローリング・ストーンズのカヴァーまでやってます。
 楽曲のこと抜きにして、声だけ聴いていると、以前にも増して自信を深めたゆったり感がとっても心地よく、嬉しくなれる音である。
 ざっと何度か聴いてみて、特に好きだなぁーってのは、さっきも書いたスティーヴィー=ワンダーのカヴァーである「Another Star」。ちょいボッサ調でありつつ、しんみりと寒い季節にはピッタリなアレンジにうれし泣き。
 まあ、さすが親子作品というか、アルバムとしての構成も上手いというより、聴いててスムーズにもっと聴かせて!って言いたくなる感じがあって、これまた年末に向けてヘヴィーローテーション確実な1枚であります。
Standards On the Sofa 〜Asako Toki Singin' Jazz〜