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sutero choice sound selection

V.A. / Blue Note Revisited

 お久しぶりな紹介となるのは、ブルーノート65周年記念なコンピ。70年代のちょっぴり渋めの名盤からエエ曲がセレクトされ、有名アーティストによってリミックスされているのだけれど、新曲へと蘇ったって感じの作品。今年の4月リリース。
 ずっとリリース前から気になってたのではあるけれど、クールで試聴も出来るサイトを覗いて我慢してたというか、ほとんどのセレクトされた原盤を持ってるってのもあって、買うのもなーって思っていた。
 で、ようやく先日購入となったんだけれど、まず聴いてみて、すぐに買えばよかった!って思った。とにかく程よくカッコイイ。原曲の良さ、そしてリミックスというか、新たな音の加え方のほど良さがイイ。
 これ聴いてやっぱりイイ!って特に改めて思ったのはボビー=ハンフリーのアルバムからの「Young Warrior」。このウネウネなベースライン、抜群です。泣きそうにウネっている。
 まあ、全体のバランスも良くてジャケも良く、ブルーノートの新譜系としてはさすがに65周年モノという気合いが感じられる1枚。ただ残念なのはコピーコントロールCDとなってしまっていることだろうか。
 それでも、作品として所持していたいと思わせる作品である。ヘヴィーローテーションです。ちょっと遅いけれど・・・。

V.A. / Make The Style "drivin' slow"

 先月末にリリースされた、大沢伸一選曲による、ドライブがテーマのコンピレーション。
 大沢モノ大好きとして、発売日に一度手に取っていたのだけれど、「またコンピかぁ」って買わずにいた。それでもやっぱり気になったので先日購入。
 で、聴いてみて、嬉しさ、楽しさ、懐かしさ、新たな発見など、様々な気分になれた。もちろんというか、知ってる曲がかなりを占めているのだけれど、こうしてコンピになってるものを聴くと「もっと音聴かにゃあいかんね〜」という思いが強くなる。
 それから、フロア系コンピではないというのもイイ。ドライブにもピッタリだとは思うけれど、ゆったりくつろぎながら聴いていたい全31曲。
 一番「良い!」と再発見できたのはここでも紹介した、アメール=ラリューが歌う、モンドグロッソの「Now You Know Better」。せっかくのコンピなのにそれでもやっぱり大沢モノかい!?って声も聞こえてきそうだけれど、ホント、この並びの中から鳴ってくるこの曲はメチャメチャ聴いていたにもかかわらず、鳥肌が立った。
 普段はここでの紹介をオリジナルアルバムをメインに考えているし、オリジナルの持つ、作品性も含めて紹介したいという気持ちが強いのだけれど、久々にこのコンピを聴いて衝撃が走った。コンピももっと聴こうって思う。
 というか、コンピはかなり持ってたりするんですが。まあ、こんなに色々考えなくても、素直に楽しめる作品。オススメ。
 協賛のトヨタのこのサイトで試聴もできるので是非。

Toyono / Ginga mais

 ブラジリアンなテイストをふんだんに聴かせてくれるシンガー、トヨノの3年ぶりとなる2ndアルバム。先月のリリース。
 ブラジルでアリーニ=カブラウ、マルコス=スザーノに師事していたことがあるだけに、本格的というか、ブラジルらしさに加えて、自分らしさが現れている作品。
 1stは聴いてなくて、その他の活動についても最近までほとんど知らなかったのであるが、どこかで聴いたことのある声だなーって思ってたら、須永辰緒の「Double Standard」に参加してたから覚えがあったのであった。
 さて、この2ndだけど、まず、ほとんどの楽曲がオリジナルであるということに驚かされる。プラス、完璧なまでのポルトガル語。声質的には大好き!ってラインではないのだけれど、ポルトガル語のスムーズさに全く違和感なく聴けてしまう。
 ブラジリアンなサウンドだからボッサだ!と思いがちであるけれど、このアルバムはサンバだ。それも、とっても軽やかで爽やか。この辺りが日本人だからこそのテイストだとも思うし。マルコス=スザーノ好きならば確実に気に入ってしまう音であると思う。
 ほとんどがオリジナルであるけれど、好きなのはバーデン=パウエルのカヴァーである「Berimbau」。打ち込みが入ってたりするのだけれど、途中のリズムと楽曲を通してのギターがジャズしててツボだ。
 こういう心地よいサウンドでいいなーって系はいつもインディーズなんだなぁ。もちろんこのアルバムも。メジャーからでもよろしいのではないだろうか!?とはいえ、最近はあまりそういうのも関係なくなって来てるけれど。

Sylvain Chauveau / Des Plumes Das La Tete

 フランスのアーティスト、シルヴァン=ショーヴォによる2003年の映画、邦題「心の羽根」のサウンドトラック。
 映画は観てなくて、この作品は試聴して「イイ!」って思って知ったアルバム。ピアノにチェロにビオラで奏でられる、それは静かな1枚。
 最近の寄せ集め的なサントラと違い、作品に合わせた音作りが行われているせいもあって、1曲あたりの尺はとっても短い楽曲が多いのだけれど、音楽作品としても聴ける、こういう作りのサントラは大歓迎。
 短い曲が沢山並んでいると書いたけれど、もちろん、ブツ切りな感じではなくて、ノンストップではないけれど、繋がっているかのような一体感がまた心地よかったりするのもよろし。
 ラスト2曲は6分を越える、じっくり聴けるタイプとなってるけれど、これがまたラストって雰囲気がありつつ、次を期待してしまう感じの嬉しさがあってイイ。
 シルヴァンはピアノとほんのちょっとだけ覗かせるサンプリングをやっているけれど、このサンプリングの出方がまたさりげなく地味めでいいし、ピアノもキッチリ弾いているというよりも、音と音の間を大切にプレイしているのが伝わってくる。
 あまり、作品全体を上手く説明できてない感じもするけれど、夜中にゆったり聴くには最適な1枚です。

Isao Tomita / The Firebird

 シンセサイザー奏者、冨田勲の75年の作品。タイトル曲である「火の鳥」は手塚作品の方ではなくて、ストラヴィンスキーのバレエ組曲。
 この作品の前に「月の光」と「展覧会の絵」という作品が出てるのだけれど、これら2つのオリジナルはピアノ作品だったのに対して、この「火の鳥」は管弦楽作品ばかりをシンセ、いやムーグで表現しようとした意欲作。
 音の説明の前に、このアルバムの解説にはレコーディングで使用したムーグの詳しいセット内容が書いてあって、オシレーターやミキサー、モジュール、フィルターなど、ムーグのこの加工使いました、みたいなのが丁寧に書いてある。
 現在なら、そういうアナログシンセの音加工なんて、ネタ的部分で隠すというか、言わないもんだけど、きっちり載ってるのが、75年という時代らしさだとも思う。
 さてさて、音ですが、それはそれは壮大なムーグサウンドが展開されております。SFっぽい感じかな。途中、ピコピコと昔のビープ音的ゲームサウンドを感じられる部分もあったりで。
 ストラヴィンスキー、ドビュッシー、ムソルグスキーの作品が収録されているのだけれど、オリジナル作品からは連想出来ない程のスペクタクル巨編って音です。原曲知ってるのは「はげ山の一夜」くらいだ。
 「牧神の午後への前演奏」のイントロは、クラシックスタートレックのイントロの雰囲気満々。
 今月から来月にかけて、この「火の鳥」を含む9タイトルが限定紙ジャケで再発されるので、是非!

joe Henderson / At The Lighthouse

 テナーサックス奏者、ジョー=ヘンダーソン、70年のライトハウスでのライヴ録音作品。マイルストーンレーベルから。
 ヘンダーソンというと、ブルーノートのカッコイイジャケの作品とかをすぐに連想してしまうのだけれど、実際持ってるのは70年以降のちょっとフリーっぽい作品が多かったりする。
 この作品はライヴ録音ではあるけれど、曲終わりの拍手がなければ、スタジオ録音!?って思う程、キレイな音質。
 曲的にはオリジナルと定番的な楽曲で構成されてて、この頃のヘンダーソン作品としては聴きやすいと思う。昨日紹介したばかりのモンクの作品で定番な「Round Midnight」やドゥーハムの「Blue Bossa」とかもやっててイイ感じ。
 とはいえ、ヘンダーソンのサックスは要所要所ではかなりイッてくれてるから、そこは個人的に凄く好きな部分。だから定番な曲でもひと味違った雰囲気出てます。
 好きなのは、この作品のメイン曲的な「If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem」。ジャズロックというか、ソウルフルな雰囲気たっぷりで、コンガとエレピの絡みとか凄く好き。
 定番ものからフリー、ブラジルや南米モノと、どんなスタイルでも自分流でカッコ良く演奏してしまうヘンダーソンスタイルを再確認。あと、ブロウする感じも好きだ。