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sutero choice sound selection

Puffy / Fever * Fever

 パフィー、99年の3枚目?もしくは4枚目となるアルバム。
 彼女達の作品で唯一持っているアルバム。元々、嫌いなわけでも無いけれど、買って聴くという感じでも無かった。このアルバムはアナログで持っているのだけれど、買うに至ったのは、音というよりもジャケだ。この赤いスピーカーのような丸い物体のバランスが気に入った。アナログの12インチってデカいサイズで見るとなおさら。
 で、せっかく持ってるんだから聴かねばって感じで聴くようになったのだけれど、このアルバム、楽曲のバラエティさが凄い。ロックなのはもちろん、フォークやカントリー、ルンバ、ボッサ、ソウルに歌謡曲テイストまで。もちろん、それまでにシングルでリリースされてて、聴き覚えのある曲も含めて、楽しく聴ける1枚なのだ。
 好きなのは、カントリーフォークでシンプルでキレイな4曲目「Always Dreamin' About You」。シングルでヒットした、モロビートルズテイストで民生っぽくもある6曲目の「夢のために」。またまたビートルズ&民生な12曲目「恋のライン愛のシェイプ」。
 こうして好きな曲あげてみると、めちゃめちゃ民生的なビートルズをパクって来ました!って音が好きなんだなー。だからって、民生ソロもほとんど聴かないし、ビートルズはここ7〜8年近くは封印状態のように聴いていなかったりするのであるが。
 このパフィーによる完璧ではないけれど、クセになるユニゾンヴォイスがいいんだな。このアルバム、ホント思い出したようにたまーに聴くことが多い。

Jon Lucien / Mind's Eye

 シンガー、ジョン=ルシアンの74年の作品。
 クラブ系の流れで再評価された人。日本ではフリーソウルなブームの時にコンピにも入ってたから、知ってる人も多いのでは。
 さて、彼はセント・トーマス島というカリブ海に浮かぶ島の出身なのであるが、その位置的なもののおかげなのか、ジャズであり、ソウルであり、ブラジルっぽくもあるという、ミクスチャー加減が何とも心地よい楽曲ばかり。
 このアルバムで語られるのは、やはりコンピなどにも入ってて、彼の作品では一番有名な5曲目の「Listen Love」。かなりスピーディーなのにもかかわらず、静寂のグルーヴって感じでカッコイイ。パーカッションとスキャットがツボである。
 しかし、この作品で個人的に大好きなのは2曲目である「A Prayer For Peace」。ボッサ的なガットギターにピアノとスキャット、バックのコーラスとジョンの歌がゴスペルのようで、とっても素敵なナンバーだ。この曲での彼の歌い方を聴いて、ゴスペルっぽいと思ったのと同時にファラオ=サンダースの歌声を思い出してしまった。その位好きなラインということ。
 多分、このジョンを始め、クラブ系の流れで再評価されたアーティストっていうのは、本拠地であるアメリカよりも、日本やロンドンなどでの方がはるかに現在では有名なのだろうな。
 こんな広がり方も出来るというのも面白いし、いいなぁ。そんな中で、世界にはまだまだ聴いたことも無いけれど、素晴らしい音っていうのはたくさんあると思う。
 ジョンの作品で同時期の「ラシーダ」もいい感じなので、こちらも是非。

Muddy Waters / Folk Singer

 ブルースの巨人、マディ=ウォーターズの64年の作品。チェスより。
 マディの名盤と言えば、ライブ系の録音作品が有名というか、カッコイイ!って感じで、聴くにも興奮できるモノが多い。
 この作品はそういうのに比べると若干地味なアルバムだ。最小限の楽器でのスタジオ録音。で、妙に音全体にリヴァーブが効いている。
 とにかく、ほとんどがギターと歌なタイトル通りフォーキーな1枚。さっきも書いたリヴァーブがホント凄くて、鳴ってる音はシンプルなので、アンビエント作品のような感じさえある。
 この辺りのブルース的というよりも、少しの異質性がある所が好きな部分でもある。楽曲はほとんどがマディ自身の作品によるもの。作曲者の名前の欄にマッキンリィ=モーガンフィールドって書いてあって、最初は誰?って思ったこともあるけれど、マディの本名でした。
 アンビエント的であり、フォーキーな音だけれど、やっぱりマディの歌う作品はブルースである、というのは異議なし。ブルースにもこういう多様性があるって部分が聴ける、そういう捉え方もできる作品だ。
 マディもライブ映像必見のブルースマンである。

Matching Mole / S.T.

 大好きなロバート=ワイアットがソフト・マシーン脱退後に結成したバンド、マッチング・モウル、72年の1stアルバム。
 フワフワしてます。プログレでもあり、ロックでもあり、ジャズでもあり、アヴァンポップでもある。色々解説などを目にすると、ソフト・マシーン初期の自由な発想に戻って活動したいというワイアットの思いで結成された、なんてある。
確かに自由だし、特に4曲目の「Part Of The Dance」でのワイアットのドラムはとっても弾けていて、思いっきり自由なビートを刻んでいるのが手に取るように分かるサウンドだ。
 1番のお気に入りは何と言っても最初の曲である「O Caroline」。とても簡単なリム・ショットっぽいリズムとピアノとワイアットの歌っていうシンプルなサウンド。最近の作品でも聴ける彼の歌声と同じ優しさで一杯なナンバーだ。途中に入ってくるストリングスなんかも震える心地よさ。
 ワイアットさん関連で彼の出身地であるカンタベリー系サウンドも色々漁って聴いたりしていた時期もあるのだけれど、やっぱり1番聴いてて大好きなのはロバート=ワイアット作品になってしまう。
 他のバンドのメンバーも素晴らしいミュージシャンばかりなんだけれど、個人的にはこのアルバムはというか、ワイアット系作品はすべて、ワイアットさん様々な聴き方になってしまう。許しておくれ。

Eric Kloss / Introducing

 盲目のジャズマン、エリック=クロスの65年のリーダー2作目となる作品。プレスティッジより。
 実のところ、あまり知らないで手にしたアルバムであった。ギタリスト、パット=マルティーノが参加しているって部分が大きいという感じで。
 この作品の録音時、エリックはまだ10代の少年である。テナー&アルトサックス奏者ね。音の線は細いんであるが、とっても心地よいブロウを聴かせてくれている。繊細で美しい管楽器サウンド。
 オルガンのドン=パターソンによって制作されたに近い作品であるが、これはどう聴いてもエリックのリーダー作!と言える内容。プロデュースが上手い。
 で、大好きなマルティーノのギターとドンのオルガンがこれまた抜群にイイ感じで鳴っていて嬉しくなる。
 2曲目、「Old Folk」はとっても静かでメロウなバラードナンバーなのだけれど、涙が出そうな程の嬉しさに襲われてしまいます。
 ジャケだけ見ると、いかにも60年代のアメリカの少年がちょっと不良に憧れて、のような写真だが、聴けば納得というか、それ以上の大人も食ってしまう程のすんげえジャズマンであった、と驚いた1枚。
 こういうの、すぐ廃盤になってしまうというのも悲しい。中古屋で探すしかないようです。ダウンロード販売系サイトにも無い感じ。
 

Don Friedman / Metamorphosis

 ピアニスト、ドン=フリードマンの66年の作品。プレスティッジより。
 とっても西海岸なピアニストではあるけれど、このアルバムは一味違う。まず、カルテットなのだけれど、ギター&ピアノ&ベース&ドラムという編成。
 どの曲もギターとピアノがユニゾンでメロディを奏でつつ、それぞれのソロって感じ。小気味よいユニゾンがとっても気持ちいい。フルアコなギターはやっぱりいいです。
 A面はそれなりに西海岸風味でさわやかでありつつ、きっちりしてる音であるけれど、問題というか、この作品の醍醐味はB面だろう。
 ビートは正確に刻まれていて、その上でピアノ、ベース、ギターのインプロヴィゼーションが繰り広げられている。まあ、フリージャズっぽいんである。
 キレイな音や心地よいジャズを求める人にとってはA面だけを、フリーチックなのにハマりたい人にはB面だけをという感じでは薦められるけれど、中々、全体通してはキビシイのかも知れない。
 しかし、これが良いんである。このバランスが好きだ。やはりジャズは何でもありの自由な音楽。それが現れてるアルバムであると思う。今、入手するのも難しいかも。わりと地味な作品だからなぁ。でもこういうの大好きです。

Joe Sample / Rainbow Seeker

 昨日のエントリの流れで、今回はジョー=サンプルの78年のソロアルバム。
 サンプルの代表作であり、ヒットアルバム。全然聴いてない頃からジャケだけはよく覚えていた。だって、ダサいんだもん(笑)。
 さて、アナログで持ってるのであるが、何より所有しているってことをすっかり忘れていた。ホント、昨日のハッチャーソンのエントリで思い出したのであった。
 邦題が「虹の楽園」となっております。キレイというか、いかにもフージョン系のタイトルだって印象。
 音でありますが、まさに70年代後半のフージョンなビートとベースだ。それはそれで、よしとして、やはりサンプルのピアノはいい感じにキレイだ。
 2曲目の「In All My Windest Dream」は、この作品の中でも有名な曲であるんだけれど、久々に聴いてみて、恐ろしく良く覚えていたのでビックリした。というか、サンプルの曲だったよ!って思い出した感じ。ラジオとかテレビで BGMやSEとして今でも多用されてるし。
 アルバム通して聴くと、B面、 CDで言うところの、5曲目以降の雰囲気が好きかな。ピアノの音は弾けてるんだけれど、その中に落ち着きがあって、とっても気持ちよく聴ける。
 ジャズ好きだったり詳しい方にはクルセイダーズの活動時期と比較する人もいるとは思うけれど、このアルバムはちょうど、ソロでやり始めた奏法とクルセイダーズ時代のファンキーさの抜群な中間地点だと思う。
 それ故、名盤と言われ、ヒットしたんだと思う。とにかく、いい感じで聴けます。

Bobby Hutcherson / San Francisco

 ジャジーなヴァイブ奏者、ボビー=ハッチャーソンの70年のリーダー作。ブルーノートより。
 ハッチャーソンの作品で最初に出会ったのがこのアルバムだった。ブルーノートのアナログを発見すれば買うって感じの時期だったかな。それも、定番的な1500番台とか4000番台前半ではなくて、このアルバムみたいなジャズではあるけれど、ソウルフルでグルーヴィーな感じの作品を。
 さて、この作品であるけれど、ハッチャーソンのリーダー名義というのももちろんだけれど、ジャケにも一緒に写っている、テナーサックス奏者、ハロルド=ランドとの競演から生まれた1枚。
 楽曲はほとんどがハッチャーソンのオリジナルとジョー=サンプルのナンバー。ちなみにサンプルも鍵盤で参加してます。プロデュースがデューク=ピアソンなのも注目だ。
 1曲目のサンプルの曲である「Goin'Down South」は最初に聴いた時から最高に好きなナンバー。ジャジーでアーバンなソウルフルロック。この説明もどうかと思うが、とにかく渋い。
 このアルバムに収められているハッチャーソンの楽曲は、かなりアヴァンギャルドな音をしていて、ジャズというよりはちょっと違うと思う。5曲目、B-2の「Procession」はアンビエントな雰囲気もあり、ハロルドのオーボエの演奏がこれまたたまらない。
 ずっとジャズ系ではヴィブラフォンやフルート、ソプラノサックスなんかの高音系サウンドが大好きだ!ってここにも書いてきたけれど、このアルバムにジャズを聴き始めた頃に出会ったっていうのも大きいと思う。
 ラストナンバーである、ハロルド作品の「A Night In Barcelona」がまさに、高音が美しい正統派のジャズボッサで大好き。

Spinners / 2nd Time Around

 ソウルコーラスグループ、スピナーズの70年の作品。モータウンより。
 やはり、何も言わなくとも1曲目の「It's A Shame」でしょう。彼らの作品中最も有名で一番ヒットした曲であるし。もちろん名曲です。数年前のフリーソウルブームで、コンピに収録されてたりしたので、知ってる方も多いはず。
 この1曲だけなのか!?って疑問もあるが、そうとも言えるし、そうでないとも言える。確かに「It's A Shame」はズバ抜けて素晴らしいと思う。だからって他の曲がダメ!ってことではない。
 他の曲はそこそこ良いのだ。モータウンらしい、きっちり堅実で楽しいソウルという感じだろうか。ハーモニーもバッチリ決まってるし。
 しかし、しかしだ。アルバム全曲を通して聴くと、やはり1曲目が目立つ。もう、こればっかりはしょうがないよなー。
 全体的には60年代な香りが一杯だ。ビートとか特に。ホーンとビートの絡みはどれも好きなラインである。
 まあ、最終的には「It's A Shame」ですな。それでも、この1曲だけを聴きたい!って人もコンピとかではなくて、この作品を手にするのがよろしいかと思う。スピナーズのことも良く分かるし、アルバムという、1つの作品を通して聴いて得られるものもある。
 例えば、やっぱり「It's A Shame」だけでよかったかも!?ってことかも知れないけれど。

Creation / Pure Electric Soul

 クリエイション、77年の3rdアルバム。
 彼ららしいサウンドということで、クリエイションと言えばこの作品って語られる位の名盤。しかし、彼らのことを知ったのは、やはりプロレスだ。
 小さい頃からプロレスが大好きでよく観戦にも行っていた。で、特に全日本プロレスでの選手の入場テーマ曲はオリジナルよりも、洋楽系のハードロックなどがほとんどだった。そんな中、やたらギターがカッコイイ、「この曲は誰?」って思ったのがこの曲で登場するザ・ファンクスだった。
 このアルバムでは5曲目、B-1に収録されている「Spinning Toe-Hold」。ツインなギターユニゾンでいつ聴いてもフットワークの軽くなる曲だ。曲名もファンクスの得意技の名前だし、てっきりアメリカのアーティストの曲だとずっと思ってた。
 随分経ってから日本のクリエイションってバンドと知り、このアルバムを手にしたのは高校生の頃のこと。
 アルバム全体を通して聴いても、日本のバンドとは思えない程の本場のブルージーなロックだ。色々彼らのことを知っていくと、武道館で最初にライヴをやった日本のロックバンドだったり、2ndアルバムは全米発売もされて、ツアーもやっているってこと。音を聴けば納得である。
 「Spinning Toe-Hold」はもちろん、ファンクスに捧げられた、彼らオリジナルのインスト曲。DJしてた頃は定番で回していたりもした。自分の中でプロレスコーナーって感じでいろんなハードロックやプログレな曲に混ぜて。かなり盛り上がってたなぁ。
 ともかく、戦闘力アップとフットワークを軽くしてくれ、楽しい気分になれる大好きな曲だ。
ピュア・エレクトリック

Mescaline Drive / Ideology Cooking

 メスカリン・ドライブ、91年の3rdアルバム。
 以前紹介したニューエスト・モデルと共に現在はソウルフラワー・ユニオンとして活動しているが、この作品はホントの意味でのソウルフラワーの第一作といえるアルバムだ。
 60〜70年代のロック・ソウル・ファンクを思いっきり凝縮させて、新たな音を作り出したって感じのサウンド。今聴いても鬼のようにカッコイイ曲ばかり。
 ニューエストの中川敬を天才だと表現したけれど、対するメスカリンの伊丹英子は仙人だ。
 このリリース時期はニューエストもメスカリンも大好きで、両方のライヴにも必ず足を運んでいたけれど、やはり、大好きとはいえ、圧倒的にニューエスト派だった。
 しかし、メスカリンのサウンドや伊丹英子の音へのスタンスはじっくり聴けば聴く程、すげえ!となるんである。今でも毎回聴く度に驚きと新たな発見があるし。
 さて、肝心の曲だけれど、全曲マストだが、特に2〜3曲目の流れ、「マウンテンバイク・フロム・ヘブン」、「正体不明の被害者意識」のロックンロール&ファンク感がイイ。
 あと、8曲目でシングルカットもされてた「迷宮新喜劇」のメジャー&マイナーのコードの抜群の組み合わせた感じが泣くほど好き。そして9曲目のタイトル曲である「イデオロギー・クッキング」のモータウンな雰囲気がまたたまらない!
 うん、ソウルフラワーなロケンロールです。やはり聴くと思いきりギターを弾きたくなるのであった。

Intruders / Energy Of Love

 ソウル・グループである、イントゥルーダーズの74年の作品。
 いわゆるフィリー・ソウル、フィラデルフィア・ソウルを代表するグループでありながら、割と地味な知られ方しかしていない感じもする。
 で、この作品は彼らのアルバムの中でも、最もポップでメロウ。うん、聴きやすい。カーペンターズの「雨の日と月曜日は」やウィリアム=デ=ヴォーンの「ビー・サンクフル」、マーヴィン=ゲイの「ジャン」なんてカヴァーまであったりする。マーヴィンのカヴァーなんて、メロメロな感じで、楽しく泣けます。
 ジャケットは上半身裸の彼らがちょっと引き気味のショットで意味不明な部分もありつつ、何かやってくれそうな気配で一杯だ。
 フィリー特有の爽やかテイストで溢れながらも、75年というディスコ全盛手前な時代の、これからブイブイなりまっせ!的な次の時代を予感させるようなサウンドにも注目して聴くと、これまた楽しいのではないかと思う。
 さっき書いたウィリアム=デ=ヴォーンの「ビー・サンクフル」のカヴァーは、やはりノリノリで、プラスもろフィリーだったりもするんでとてつもなくカッコイイ!
 70年代ソウルはやっぱり色々あって面白い!って感じられるから好きだ。

Archie Shepp / Four For Trane

 テナーサックス奏者、アーチー=シェップの64年の作品。インパルスより。
 タイトルから、そしてジャケ写でもお分かりの方もいるとは思うが、コルトレーンのための4曲。プロデューサーがコルトレーンという作品だ。その4曲もコルトレーンの楽曲。
 まずは、この作品で好きなのはジャケット。階段の手すりを挟んだシェップとコルトレーンの絶妙な位置といい、色具合といい、インパルスの中でも一番好きなジャケット。
 シェップの演奏というのは上手いっていうよりも粗削りではあるが、本能のままブロウしているって感じのイメージがある。この作品もコルトレーンの曲をやっているだけあって、フリーっぽいし、激しい部分もカッコイイけれど、さすがはプロデューサーコルトレーン、統制のとれたフリーって演奏だ。
 1曲目の「Syeeda's Song Flute」が特に大好きなのだけれど、テナー&アルトサックス、トロンボーンにフリューゲルホーンがとんでもなく不協和音を響かせているけれど、とってもマッチしてて、しかもスィングしてる、素晴らしい曲だ。
 フリーっぽくてフリーらしくはない、だけど、とっても聴く者をとりこにさせる、不思議に気持ちいいアルバムだ。
Four for Trane (Impulse Master Sessions)

Kasekicider / Best Of Kasekicider

 かせきさいだぁ、96年の1stアルバム。
 これが出る前にインディー盤で出てた同じアルバムを狂うように聴いていた記憶がある。このメジャー盤の方が曲も多くてお得だが、インディー盤の曲順が好きだった。今はもっとお得なスーパーベスト的なアルバムを購入した方がいいのかも知れないけれど。
 インディー盤で1曲目であった「ディグ・ダグ・プーカ」のイントロがスカタライツの曲のサンプリングって部分でスカ好きとしてはたまらなく興味を魅かれ、大好きになった。
 はっぴいえんどの「風をあつめて」サンプリングな「苦悩の人」もあるし、ヒップホップだといえばそういう部類ではあるけれど、音のネタ的にもちょっと違って、とても日本人な感覚が素晴らしい。
 日本語のラップというか、この詩はクセになる。喋り方も。
 こういう音って、時代的なものも大きいんで、ちょっと昔の作品でも古いって感覚になることが多いのだけれど、このアルバムはそういう感じにはなってなくて、耳、いや、カラダに馴染んでいる。だから、時にどうしようもなく聴きたくなる瞬間がやってくる。
 結構活動時期がまばらな感じだけれども、新作をいっつも待ってるアーティストでもあります。

Marina Watanabe / Birthday Boy

 渡辺満里奈、92年のマキシ・シングル。
 おニャン子時代は全然興味無かったのだけれど、90年位から、彼女のラジオはとっても選曲が良くて、結構聴いていたという前置きがあって、彼女の作品も聴いてみたりという流れ。
 後で知ったのは、そのラジオの選曲はレコ屋時代の師匠とも言うべき方がされていたということで、どうりで凄いレパートリーだったなぁと納得。
 さて、このシングルですが、小沢健二プロデュース作品。楽曲も全てそう。「夜と日時計」は名曲です!彼女の歌はイマイチな部分もあったりもするけれど、ともかく、アコースティックで静寂と美しさの同居した素晴らしい作品。オザケン自身も後のシングルでセルフカヴァーしてます。
 タイトル曲である「Birthday Boy」もオザケンの曲ではあるけれど、イントロとかいかにも川辺ヒロシなトラックからスタートしてカッコイイ。もちろん、彼が参加しているからそうなのであって。
 未だ、おニャン子ってイメージが抜けないって30代以上の方もたくさんいたり、一方ではちょっとお洒落で健康的でエッセイとか書いたりなお姉さんというイメージな若い方もいるとは思うけれど、この作品はまたその辺りとは違うイメージを発見できるかもね。
 ともかく、好きな曲なので、今でもたまーに聴いております。

Ann Peebles / Straight From The Heart

 ソウルシンガー、アン=ピーブルズの71年の作品。アル=グリーンなどで有名なメンフィスのハイ・レコーズからのリリース。
 特筆すべきはやはり彼女の図太い声。とっても華奢な女性ではあるが、そのパワフルさは、さすが幼少時代からゴスペルに親しみ歌っていただけのことはあるって感じだ。
 全体的にはレーベルである、ハイっぽいサザンソウルテイストで、8ビートなリズムに豪華なホーン、小刻みなギターカッティングに彼女の魅力あふれる低音ハスキーヴォイスがたまらなくイイし、大好きだ。
 1曲目の「Slipped, Tripped And Fell In Love」が特にお気に入り。力強さとソウルフルさと豪華さが混じり合っていながらもコーラスの部分がとっても美しい。
 70年代初頭のソウルというのは前にも書いたと思うけれど、時代背景なんかも相まって、とても力強い勢いというものを感じ取ることができる。
 そういう音楽ってものはその後、年月の経過を辿っても、新たに聴く者に素晴らしい刺激を与えてくれるし。音だからこその時代や人間を垣間見る独特なモノというのもあると思う。本や映像とはまた違った感じ方として。そういうこともあるから、ますます音楽が大好きだ。
 しかし残念なことに、このアルバム、現在は廃盤だったりする。

The Dynamics / What A Shame

 ソウルフルなコーラスグループ、ダイナミックスの73年の2ndアルバム。
 10年前位の復刻盤が出た時に買ってて、その当時は聴いてたんだけれど、すっかり忘れていて、ここに書く作品を探してたら、奥の方からかなり久々に発見して、聴いている所。
 とっても甘い、スウィート・ソウルだ。甘いって2回言ってるが・・・。この作品、ジョージ=ホワイトが大々的にフィーチャーされた、ファルセットガンガンのとろける音だ。
 カーティス=メイフィールド大好きで、必死に聴いてた時にファルセットな名盤を聴き漁ってた所で出会った作品っていうのも思い出した。
 タイトル曲である「What A Shame」、通称「ワラシェイム」はよく覚えてたので、懐かしいのと同時に気持ち良くてゴキゲンになれた。
 全体的にはミディアムなテンポが多く、いつもはソウル系サウンドはリズムで聴くんであるが、この作品はやはり、コーラスのハーモニーやホーンといったウワモノ系をしっとりと聴いていたい1枚だ。
 ダンサブル(古)な曲も何曲かあって、8曲目の「Funkey Key」は特にホーンが派手で昔の刑事ドラマの追跡シーンとかに似合いそうな感じ。
 最近、こういうソウルモノはご無沙汰だったが、たまにはこんな音もやはりいいものだ。確か、まだまだラックの奥にこういうのは眠ってたから、色々聴こうと思う。

Port Of Notes / Port Of Notes

 ポート・オブ・ノーツ、97年のデビューシングル。
 今やソロではメジャーデビューしてるし、様々な企画コンピ、ゲストヴォーカルなどで大活躍の畠山美由紀嬢の在籍するユニットだ。そんな説明は要らないとは思うけれど。
 この最初のシングルを聴いた時の衝撃が彼女達の作品ではやはり一番だった。これ以前にコンピにも参加していたりはしたけれど、やっぱりこれ。
 「風のむこう」の出だしのゾクゾク感は今でも変わらない。1stアルバムにも収録されているが、断然シングルヴァージョンだ。このシングルは今もよく聴くし、最近のエントリによく書いてるような行方不明状態にしたことは一度もない。
 このリリース時はちょうど、J-POP担当だったころで、発売前に聴き、迷いもせずに試聴機に入れる作品と即決した記憶がある。歌詞は日本語と英語の曲がはいっているけれど、日本語詞の曲ダメ!って人でも思いっきりススメてたりした。そのせいかどうか、周りの洋楽専門な友人達がこぞってファンになったりという出来事も。
 言語の違いとか、そういうのはどうでもよく、ホントにイイ音は誰にでも伝わるんだって思わせてくれた1枚だ。
 当然、「泣きたい程の嬉しさに襲われる曲」リストの中の1つです。

Soul Bossa Trio / Dancing In The Street

 ソウル・ボッサ・トリオ、94年の2ndアルバム。
 最近の作品も含めて好きな音が多いけれど、この作品が一番、生楽器でアフロ・キューバン・ジャズ・コンボな音をしていてカッコイイってことでご紹介。
 ジャズナンバーとして大好きな「Tin Tin Deo」に最初にのめり込んで行くキッカケになったのはこのアルバムのヴァージョンを聴いてからだったと思う。ピアノがメインメロで手拍子と掛け声がリアルなライヴ感たっぷりのナンバーに仕上がっている。
 よく知られたジャズナンバーやボッサナンバー、サンバまでをジャジーで軽快に思いっきり楽しめる音の詰まった全11曲。名前にボッサって入ってるだけに、ブラジル感も素晴らしいけれど、それ以上にスィングしているって所にヤられてしまう。
 彼らの作品で一番聴いたのは、リミックス盤の「Abstract Truth」。竹村延和のリミックスヴァージョンは忘れられない。でもタイトル忘れた・・・。音を聴けば、イントロだけですぐに思い出せるんだが。アナログが行方不明中。半年前には聴いたので、絶対あるのだけれど。
 ともかく、これから夏にかけて、また聴く機会の増えるアルバムとなるだろう。しかし、現在はリミックス盤も含めて、ビクター時代の作品は廃盤だ。アマゾンでは一応表示されるが。ドイツ盤とかもあったんで、探してみて欲しい。

Bird / Souls

 birdの99年のデビューシングル。
 今では結構有名なbird。ほとんどの曲が好きなのは言うまでもないのだけれど、やはり一番印象的なのがデビュー曲だ。
 このシングル、このジャケットの他にアナログの先行限定盤のいわゆるDJ用みたいな黒ジャケのやつがあるのだけれど、それがいい。今手元には探し出せなくて、このアフロジャケのアナログがあって聴いているのだけれど、ちょっとヴァージョンが違ってたはずだ。
 まあ、どのヴァージョンもイイ。とにかくこの曲でのbirdは最初の曲ということもあって、初々しさがありつつ、ベテランのようなどっしりした歌声がここにある。それが新鮮というか、ツボであった。
 サウンド的には大沢伸一が自ら見出しただけあって、声に抜群にマッチしたトラックであるし。逆にそういう意味で言うならば、大沢プロデュース時代の楽曲の方がグッと来る曲も多いと思うのは気のせいだろうか!?
 ともかく大好きなヴォーカリストには違いない。余談だけれど、うちのitunesはCDを再生しながら読み込んだ後に、そのアルバムが終わると、どんな設定をしようがbirdの「君の音が聴こえる場所ヘ」のMurphy's 45 minutes Mixがながれてしまうという、不思議な現象がここ3年以上続いているのであった。でも好きだし、イイ曲だからよろし。

Ram Jam World / Rough And Ready

 プロデューサーである朝本浩文のユニット、ラム・ジャム・ワールドの第二活動時期にあたる97年の作品。
 元m-floのLisaが2曲参加していたりするということで、微妙に有名だったりもする。全編激しいドラムンベース満載なアルバムである。ただ1曲を除いては。
 ラスト12曲目の「Corazon」、これである。このアルバムはこの曲だけのためにあると言っても過言ではない程、この曲しか聴いていないし、素晴らしい名曲だ。
 それまでの11曲の激しさから一転してガットギターにフルートに歌という、とても優しいボッサである。歌っているのはさっき言ったLisaで、作詞も彼女でポルトガル語の歌詞だ。
 ここでは何度か書いている、昔選曲してたラジオ番組のエンディング曲にしていたのがこの曲。いつ流れてきても、何か始まるような、そして終わるような独特の雰囲気を持っている曲でエンディングを素晴らしく飾ってくれていた思い出の曲でもある。5分10秒という、エレガントな尺の長さをフルでかけていた。
 今でも結構聴くアルバムである。もちろん最後のこの「Corazon」だけをリピートで。

Parliament / Osmium

 ご存知、パーラメントの70年の1stアルバム。
 実は本日初めて聴きまして、やっぱりエエのーと、浸っておりました。誕生日な本日、ホントは大好きなアルバム、「チョコレート・シティ」が聴きたくて、けれど、アルバムが実家にあるため聴けないので、買おうと思ってレコ屋に出向いて、そういえば、この1st聴いてないや!ってことでこちらを買ってしまったという次第。
 いや、ファンクなんだけれど、ロック、ブルース、ゴスペル、ソウルの混在した感じが新鮮でもあり、懐かしくもあり。Pファンクのホントの第一歩的なアルバムって感じだ。しかし、ビートの刻みはパーラメントだ!って分かるグルーヴ感で一杯。
 ヨーデルで始まる「Little Ole Country Boy」やハープ&パイプオルガンがジワジワ広がってくる「The Silent Boatman」なんて、やっぱり異色な曲なんだけれど、凄くカラダの心底にキます。
 ボーナストラックで、71〜72年のシングルが収録されているのだけれど、こちらはお馴染なパーラメントテイスト。「Breakdown」がシャウトとかJBっぽかったりするけれど、静寂のグルーヴ系、というかPファンクっぽくてイイ。
 久々にパーラメント聴いたら、やっぱり「チョコレート・シティ」もたまらなく聴きたくなってきた。

Hauschka / Substantial

 Hauschkaの2004年のアルバム。以前紹介したHausmeisterと同じ、ドイツのKaraoke Kalkより。
 Volker Bertelmannのピアノソロ作品といってしまってもいい程のピアノメインでとっても静かでそれは美しいサウンドをしている。
 しかしそれだけではない。Stefan Schneiderがベースとシンセ系の電子楽器で参加しているのであるが、これが絶妙な地味加減でピアノが抜群に引き立つように仕上げているところが素晴らしい。
 クラシックのようで、そうではなく、ジャズでもない。結構自分でも弾けそうな程の簡単なフレーズがミニマムにループしてたりもするのだけれど、これがどうしてキレイだし、クセになる。
 曲によってはエレクトロニカでもあるけれど、やっぱりアンビエントな作品だ。テンポもスローで真夜中にはもってこいだ。その証拠にここのところ、毎晩、明け方近くまでとっても気持ち良く聴きながら、気分のイイ、ミッドナイトを過ごしている。

Cat or Die / Are You Cat or Die?

 キャット・オア・ダイ、2003年の1stアルバム。
 何となく、レコ屋でアンビエントやエレクトロニカ系のコーナーを色々眺めていて、ジャケのちらかり具合に目が止り、書いてあったコメントを読んでみると、「詳細なことは一切不明で謎のユニット」とあって、それならば聴かねば!と思って購入してみた。
 とってもサンプリングコラージュな作品で、以前紹介したsoraにも共通する部分がある。キラキラ金属系楽器の音が多くて、高音キレイ系フワフワサウンドで好きなタイプ。
 買った後に気付いたのだけれど、13曲、49分あまりの内容で1000円と激安。発売元の住所を見ると、世田谷で日本人の方のようだ。そう認識して、ジャケや色んな写真をみると日本だなーと分かる。ブックレット内の写真は明らかに海外だけれど。曲タイトルにも11曲目に「Mariko San」てのもあるし。もしくは世田谷在住の海外の方かも!?
 ユニット名にもタイトルにもキャットと付いているが、どうやら、猫もメンバーということになっているみたい。
 一人で作ってるデスクトップミュージック系と思うけれど、中々面白いサウンドでこれからにも注目したい。しかし、この1枚で終わる、もしくは別のユニットとか名前を変えてリリースされる可能性も高いような気もする。
 4曲目の「Bazaar」は鉄琴やベル、鍛冶打ちの金属音のような音までサンプリングされてたり、古いクラシックのSP盤レコードのストリングス部分のサンプリングとミックスされてて、なんかイイ感じで好きだ。さっきも書いたsora好きの人なら絶対好きになる音。

Goran Kajfes / Home

 スウェーデンのトランペッター、Goran Kajfesの2000年の1stリーダーアルバム。
 名前のアルファベットの読み方はよく知りません。トランペッターって書いたけれど、フリューゲルホーンにトロンボーン、キーボードにパーカッションにベースと何でもこなすマルチなプレーヤーでもある。
 サウンド的にはフューチャージャズとよく言われておりますが、アンビエント的だったりダブっぽかったり、アシッドっぽかったり、トロピカルな感じもあってバラエティに富んでいる。だけど、彼のペットの鳴りは完全にジャズそのものだって思う音をしている。
 5曲目の「Swampified」は鐘の音のサンプリングが印象的なエキゾチックサウンド。このアルバムのリリース直後に選曲してたラジオ番組で流した。さっき聴いて、その時の感じが蘇って来て、とても嬉しい気分になれてよかった。6曲目の「Life Insurance」はエレピのキレイな曲。ECMな感じもあったり。
 このアルバム、未来的でもあるし、古い時間を思い出させてくれたりもする、楽しい一時を送るにはイイ感じの1枚だ。最近は聴いてなかったけれど、またちょくちょく聴こうと思う。

Ringo Shena / Muzai Moratorium

 椎名林檎、99年の1stアルバム。
 今さら、何の説明もいらない方ではあるが、大好きだし、息継ぎハッキリ系の最右翼アーティストである。
 実はデビューした頃から知ってはいたけれど、かなり注目されてたし周りがガンガン聴いていたので、あえて聴こうとしなかった。それが覆されたのは歌をじっくり聴いてではなくて、このジャケにヤられたのであった。そういう意味ではかなりミーハーな出会いだ。
 当時はレコ屋の兄ちゃん時代だったので毎日何十枚というそのジャケを見て、「エロいジャケじゃのー」と思うようになり、ちょっとじっくり聴いてみるとまぎれもないツボであった、と。
 で、このアルバムであるが、軽く1000回位は聴いているんではないだろうか!?曲順や雰囲気、聴いている時の高揚感など、彼女の作品ではベストだ。もちろん、息継ぎハッキリ度も抜群だ。
 特に「丸の内サディスティック」のこのアルバムヴァージョンがフェイバリット。スキャットがイイ。これ聴いて、ジャズ歌えばって思ってたら、「輪廻ハイライト」って渋い曲も後に歌ってて、こちらも大好きだ。
 椎名林檎作品は全部大好きではあるけれど、「1枚選んであとは割る!」って言われれば、間違いなくこの1stに手を伸ばすだろう。

Mark Murphy / Midnight Mood

 ジャズシンガー、マーク=マーフィーのドイツMPS盤。67年録音作品。
 マークについてはほとんど知らなかったのであるが、このMPSというレーベルの作品が好きだというので、買うに至った作品である。
 いきなり1曲目のエリントン&ウェブスター作品である「Jump For Joy」の始まりが彼のアカペラからで、それがとてつもなくカッコよく、震える感じですぐ好きになった。
 一番好きなのは4曲目の「Alone Together」かな。スピード感と緊迫感みたいなビシっとした雰囲気がありつつ、とっても気持ちのいいサウンドをしている。
 バックの演奏のソニー=クラーク&フランシー=ボランのビッグバンドがこれまたしっかりしていてイイ。スインギーでありラテンな雰囲気の楽曲までさり気ないくらいにスラーっとこなしているプロな演奏だ。このメンバーに名を連ねている、サヒブ=シハブが大好きで、彼がフルートを吹いている「Sconsolato」ってラテンナンバーはご機嫌な1曲だ。
 スィングにラテンにバラードと、キレイな演奏が満載で、アルバムタイトル通り、真夜中にじっくりと聴いていたい作品。

Otis Redding / Pain In My Heart

 ソウルシンガー、オーティス=レディングの1stアルバム。64年リリース。
 元々、パイントッパーズのメンバーとしてのシンガースタートだが、この時期はほとんど知らない。26歳にして飛行機墜落事故で亡くなってしまっているので、実質6年の活動という短い期間で光り輝いたシンガー。
 このデビューアルバムには「Stand By Me」を始めとするカヴァー曲が沢山収録されているのだけれど、どれもオーティス節というか、完全に彼の曲であるように歌いこなしているのが凄い。だってこの時22歳ですよ、アナタ。最初に聴いた時なんて、そんな若いとは全く思わなかった位だし。
 好きなのはオリジナル曲である「Security」。ホーンの勢いの良さや、ギター&ベースのリズムがイイ。もちろんオーティスの歌、微妙にシャウトしてる部分とかツボである。
 この曲は何年か前の深夜にやってた志村けんのコント番組のエンディングテーマでかかってたことがあった。話は脱線するけれど、ドリフで唯一の楽器ちゃんと弾けない系である志村けんだけれど、ソウルマニアとしては有名で、かなりのレコードを所有しているらしい。番組の曲にソウルな曲は結構多用されてたし、中々、セレクトも渋いところもあったりする。
 ともあれ、オーティス=レイディングはとってもイイシンガーであることは間違いない。

Neil Young / After The Gold Rush

 ニール=ヤング、70年の3rdアルバム。言うまでもなく名盤であり、70年代ロックを代表する1枚。
 アルバム前半のフォーキーな展開、そして後半のギターがギュインギュインなロック!の展開とバランスのいい盤でもある。
 このアルバムで1番好きなのはやはりA-3の「Only Love Can Break Your Heart」だ。今から14年位前の深夜ドラマのエンディングテーマで流れてた時に初めて聴いて、衝撃を受けた記憶がある。澄み渡るようなキレイなメロディとファルセットよろしくな高音ボイスにヤられてしまった。途中マイナーコードに転調してまた戻る部分とか、たまらなく好きなサウンドだ。
 ニール=ヤングのソロ作品は結構色々持っているけれど、何だかんだでずっと聴いているのはこのアルバムだけになってしまう。「ハーヴェスト」も素晴らしい名盤と言われているけれど、その50倍くらいこっちの方がいいと思っている。
 ニール=ヤングという人は時代によってかなり色んなことにチャレンジしてきたアーティストだし、近年の作品も渋くてカッコイイものが多くて、全部好きなのではあるが、やっぱりこの1枚がイイ。一時期はグランジおじさんみたいな印象もあったりしたけれど・・・。
 人間、変化しながらイイモノ作っていくんだぜ!と語りかけながら生きている気もする。そんな素晴らしい人だ。
 とにかく、この作品は聴いてて嬉しいし、ギターが弾きたくなる音だ。

Wyolica / Folky Soul

 ワイヲリカ、2002年リリースのミニアルバム。
 歌とギターっていうアコースティックでシンプルなコンセプト的作品。しかし、個人的には一番彼ららしい音な1枚だと思う。
 ヴォーカルのazumiボイスはこれまた大好きで、息継ぎハッキリ聞こえる系でもある。特にこの作品では楽器的にもシンプルなので、息継ぎもかなりハッキリしててツボだ。
 リリース時において、新曲が2つと今までの名曲を4曲入れた作品となっている。どれもアコースティック的特性が活かされたアレンジがなされていて、大好きだけれど、特に好きなのはデビュー曲である、「悲しいわがまま」。この曲はというか、デビューの時は彼ら自身よりも大沢伸一プロデュースということが大々的に宣伝されて、もちろん大沢作品大好きということで聴いたけれど、大沢プロデュースだからではなくて、とってもイイって素直に思ったのであった。
 これ以後のリリースは普通にコンセプト的なものではないけれど、大沢プロデュースではない現在の方が、よりワイヲリカらしくて、自由に好きな音を出してるって感じがする。
 デビューから現在までずっと気になってるユニットだし、今後も、もちろん楽しみだ。

Snail Ramp / Mind Your Step!

 現在活動休止中のスネイルランプ、99年のメジャー1stとなるマキシ・シングル。
 この99年前後っていうのはいわゆるメロコアとかスカコアなんて言われるバンドが大量にシーンに出て来た時代ですな。
 しかし、個人的には激しい音から段々遠ざかるようになって来てた時期でもあり、感心もほとんどなかった時期でもある。そこで、この曲である。速い曲であるがベースラインは完全にスカ。そこが気に入ったというか、「ちゃんとスカなんだなー」って思ったのであった。
 3ピースバンドの勢いの良さというのも感じられるし、何よりカッコイイですな。サビとかは完全なるロックンロールであったり、ハードなんだけど、男のサウンド!って感じだ。
 スカでのギターのアップ弾きな場合、ダウン弾きと違って、エフェクトをかけなくてもワウがかかったような音が出るのだけれど、それがきっちり出てるってのも、スカバンドでギターやってた身としては、この曲聴いて嬉しかったポイントでもある。
 メインの曲以外はロック!なサウンドでこの辺りもイイ感じ。アルバムとかも聴いたけど、スネイルランプでの1曲と言えば、間違いなくこの「Mind Your Step!」だね。