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sutero choice sound selection

Ornette Coleman / The Shape of Jazz to Come

332.jpg サックスプレーヤー、オーネット=コールマンのアトランティック第一弾となる、59年ハリウッド録音作品。
 まず、オーネットを語る場合に、それはそれは多彩なうんちくが用意され、生き方・理論・プレイ・その他諸々に至るまで、本が何冊か出版されてもおかしくないって人ではあるけれど、そんなことスッ飛ばしてとにかく好きなミュージシャンであります。
 彼の作品としては70年代のマイナー系を中心に結構な枚数持ってたりもするんですが、好きなミュージシャンとはいえ、よく聴いているのか!?と問われれば、ほとんど聴いてません(笑)。じゃあ何なんだ?ということになりますが、お答えしましょう。ホントに稀なことなんだけれど、突如として、「オーネット聴きたい!」って衝動に駆られる瞬間があるんですねー、これが。その衝動待ちの為のオーネットさんです。
 三度の飯よりオーネット!って方からすれば、そんな扱いダメじゃと、怒鳴られてしまう感じですが、やっぱりヘヴィーローテにはしんどい音です、正直。その位、神経を磨減らしてでも必死に聴いて浸るのがよろしと思っているからこそのオーネットさんなんですね。もっと言うなら嗜好な時、贅沢な時を過ごそう一緒に、なミュージシャン、という感じかな。
 さて、今作の音な感じですが、アルバムタイトルが邦題で「ジャズ来るべきもの」となってまして、59年にこの音は衝撃以外の何者でもなかっただろうなーって具合で。もちろん、現在でも初オーネットな方には確実に衝撃が走ると思われます。スピード感だったり、不協和音的な部分だったり、一瞬頭に「?」が浮かんで来そうなんだけど、実はえらく計算してある音でもあり、ピタッとハマるとそれはそれはツボになってしまいます。
 ジャケで彼が抱えてるサックスというのがプラステックで出来た安物のアルトサックスなんだけど、これでこのアルバムは吹き込まれてます。当時貧乏だったからしょうがなしにって意見と、あえて、このサックスの音が欲しかったからだろうって意見もあったりするみたいです。
 好きなのはタイトル通りの平和な不協和音が個人的には心地よい「Peace」かな。オーネットとドン=チェリーのゆったりとしつつも絶妙に緊張感のあるソロの駆け引きがゾクゾクします。

Lee Morgan / Vol.3

331.jpg トランペッター、リー=モーガンのブルーノート3枚目のリーダー作となる57年の作品。ブルーノートNo.1557。
 ペット吹きとしてまず思い浮かぶ名前であるし、大好きな人。そのパッシブなプレイが特にお気に入りではあるけれど、そういう面からするとこのアルバムのプレイは地味というかあまりに堅実でキッチリし過ぎてる感はある。でも、よーく聴くとやっぱりモーガンじゃのぉーって部分は随所にあって、好きな作品でもある。
 何だかんだで一番のお気に入りはジャケだったりもするんだけどね(笑)。写真のバランスと黄色さが好きなのであった。とってもブルーノートらしい雰囲気でもあるしね。
 さて、細かい楽曲については全て今作でテナーをプレイしているベニー=ゴルソンの曲となってます。だからって、実質ゴルソンのリーダー作的な作りなんかでは決してなくて、モーガンがリーダーだからこそのアレンジになってるというか、ペットが際立つ演奏になっております。
 このアルバムでいつでもどこでも注目されてるのは「I Remember Clifford」っていうクリフォード=ブラウンへの追悼的な曲なんだけれど、確かに、この曲は今ではバラードのスタンダード的ナンバーになっているのと、この作品での演奏が初という面で、そして素晴らしい演奏だってはよくわかるんだけど、このアルバムはこの曲でオッケー!みたいなのはちょっと違うと思う。
 まあ、自分の中でのモーガンのプレイ像とちょっと違ってるというか、この曲自体がとてもゆったりとしたバラードで、しっとり聴かせる系ナンバーだからってのもあり、地味過ぎます。。。もちろん、名曲の部類に入るのは間違いないと思っていつつも、です。
 じゃあ、どの曲がエエんかいのぉ〜って聞かれれば、このアルバムは作曲者が全て同じということで、アルバムとしてのバランスがとってもイイ!って言っておくのと、1曲あげろという観点では最初の「Hasaan's Dream」が特に好きかな。ジジ=クライスのフルートとモーガンのペットの絡み具合がツボ。あと、チェンバースのゆったりしつつも起伏のあるベースラインもイイ。

Dave Brubeck / Time Out

330.jpg ピアニスト、デイヴ=ブルーベックの59年のカルテット作品。定番で名盤。
 言うまでも無く、「Take Five」の入ったアルバムとして有名でございます。5拍子でジャズなんて、その言葉だけ聞くと、今でもまさか〜って思ってしまったりもするけれど、紛れも無くジャズなんですな、これが。と、当たり前な表現をしてみた所で、このアルバムはこの「Take Five」に限らず、変拍子満載の作品と言っていいと思います。
 個人的にはキレイ、スタイリッシュ、クール、白い、東海岸、こういうキーワードで連想するのがこのアルバム。ジャズ的なラインで好きなのがこの真逆な感じの黒い、濃い、エネルギッシュ、魂、みたいな方面が多く、このアルバムは好きは好きだし、いい曲たくさん入ってるとは思うんだけれど、いつでも聴けるわ〜って思ってたりしたのもあって、実は本日ようやく購入したのでありました。とはいえ、昔から聴いてはいたんだけどね。
 さて、最初に書いたように、「Take Five」ばかり注目されてしまいますが、好きなのは「Blue Round A La Turk」かな。こっちのリズムの方が面白いし、ポール=デスモンドのサックスもこの曲がイイ。というか、このアルバムはポール=デスモンド抜きには語れない程、彼の貢献度は高く、このアルトの音無しでは到底成立しないサウンドであることは間違いない。「Take Five」もデスモンド作曲だしね。
 まあ、色々語ってしまうよりも聴くのが一番であることには変わりません。白人の生み出した、とってもクールなジャズアルバムとして、ハズシの無いとってもオススメできる作品となっております。ようやく購入して、ホント何年かぶりにアルバム通して聴いたんだけど、気持ち良いし、落ち着いた気分になれます。

Hugh Masekela / Reconstruction

329.jpg 南アフリカ出身のトランペッター、ヒュー=マセケラ、70年の作品。モータウン傘下のチセ・レーベルからのリリース。
 来週からブルーノート東京でライヴがあるというのを知り、しかもメインというか、リーダーとしては国内初公演ということでビックリしていたのもあって、久々に聴いてみることとした。
 このアルバムともう一枚、チセからリリースされた2作品がとにかく大好き。94年には日本盤もリリースされていたけれど、現在は廃盤だし、きっと入手困難なんだと思う。アメリカでは結構メジャーなアーティストとして現在も活動を続けてて、日本にも微妙に好きな人いるとは思うんだけど、彼のリーダー作というのはどうしたことか、手に入れにくいのが現実なんですね〜。逆に中古のアナログの方が特価的に売られているんだと思う。
 彼の音というか、楽曲というのは、ジャズであるのはもちろんのこと、出身であるアフリカっぽさ、そしてアメリカではフュージョンの代表選手って認知のされ方からも分かるようなフュージョン具合に、独特のグルーヴ感を物凄く感じるアーティストであります。
 このアルバムに関しては、モータウン傘下というレーベル柄もあって、ソウルフルでもある。ジョー=サンプルをはじめとして、クルセイダーズメンバーの参加からもおわかりかと。1曲目はシュープリームスのヒットナンバーのカヴァーが収録されてたりするのもそう。
 トランペッターなのだけれど、個人的には彼はヴォーカリストだ!って凄く思っております。節回しはアフリカンなんだなーって思えます。とにかく超好きな雰囲気の声をしておられます。
 この1曲!というか、一番思い入れのある曲はというと「I can't Dance」。鬼のグルーヴ感が強烈にダンサブルでよく回しておりました。もちろん彼のヴォーカル入りです。この曲だけでもダウンロード販売とかで手軽に聴ける状況できれば嬉しいのぉー。