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sutero choice sound selection

Clifford Brown / Study In Brown

308.jpg トランペッター、クリフォード=ブラウンの55年の作品。言うまでもく名盤であり定番なアルバム。
 とっても好きなペット吹きさんです。音が元気がいいというか歯切れが良いというか、ハッキリした印象をのこしつつもとってもメロディアスなフレーズも得意というのが好きなのかな。
 さて、このアルバムではやはり最初の曲である「チェロキー」が思いっきり好きですな。スピード感とうねりがイイ。ブラウニーなペットはもちろんなのだけれど、ジョージ=モロウのマシンガンなベースラインにヤられます。
 この作品、一応ブラウニーのリーダー作ってことになっているのだけれど、正確にはクリフォード=ブラウンとマックス=ローチの五重奏団ということで、マックス=ローチの存在も忘れてはいけません、というかとってもデカいんですな。ローチの堅実でありながらアドリブに富んだそのプレイはどんなコンボでも目立つというか、ローチだ!って分かるのだけれど、ブラウニーとのコンビネーションは久々に聴いてみたけれど、やっぱり気持ちイイし渋い。
 アルバム全体通して聴くと、心地よくもテンポのいい曲が目立つし、ラストでこれまた定番の「A列車で行こう」なんかもとってもアグレッシブな感じさえするのだけれど、ちょうど中盤あたりにある「George's Dilemma」はちょっとアフロキューバンなリズムが入ってたりして、ムーディーで渋く、これまたクセになる雰囲気を持ちつつなお気に入りのナンバーだったりもする。

O.S.T. / Coffy

307.gif 70年代を代表するブラックムービーである「Coffy」のサウンドトラック。73年のリリース。
 近年というか、もう結構前ですが、映画「ジャッキー・ブラウン」によって、ブラックムービー再評価というか、そういう流れもありつつ、そのパム=グリアが主演している作品でもあるということで、観たことある方も多いのではと思いますが、映画は観たこと無いんです。。。完全にこの音楽製作総指揮をとっているロイ=エアーズの流れで音が好きっていう作品。
 ホント、カッコエエ音です。70年代な映像にマッチする音をしていると言うのか、観てないけれど、画は浮かぶという、典型的なイイ意味でのサウンドメイクです。
 この作品がロイ=エアーズにとっても最初の本格的な映画音楽ということだったのだけれど、映画音楽として、作品の流れに沿って作っているのはもちろんのこと、音楽のアルバムとしても、とっても聴きやすい流れで出来ているという点で素晴らしいアルバム。
 最初にあげた「ジャッキー・ブラウン」なんかのサントラは90年代以降に主流な色んな曲の寄せ集め的構成になっているけれど、このサントラは全てがロイ=エアーズの作品であるし、一体感が全然違います。コンポーザーとしての彼の素晴らしさでもあるのだけれど、やはりヴィブラフォンプレーヤーとしての彼の音が大好きだったりしますね。
 好きなのは一番ムーディーでちょいとエロティックでもある「Coffy Baby」かな。このアルバムのもう一つの特徴としては、全曲基本的に3分前後ということ。この短さがエンタテイメント的であって好きでもある。

Spanova / Tamashii wa Konoha no Youni

306.jpg 以前にも1st2ndを紹介している兄弟ユニット、スパノヴァのデビュー・マキシ・シングル。98年のリリースで現在は残念ながら廃盤。
 ずっと棚の奥の方にあったのと、最近までずっと人に貸してて聴けてなかったのが、先週久々に戻って来たので、聴いてみて、やっぱりイイ!ということでご紹介。
 このシングルに入ってる4曲、正確には3曲のうち、2曲は1stアルバムに入ってるんでそこまで言うことは無いのだけれど、このシングルにしか収録されていない「僕の憂鬱に名前をつけてくれ」って曲がどうしようもなく名曲なので、そこのところだけでも紹介したいということで。
 で、その「僕の憂鬱に名前をつけてくれ」だが、タイトル通りに微妙に憂鬱なサウンドをしております(笑)。いつもなら、サウンド面ばかり細かくイイ!なんて説明するのであるが、この曲については歌詞も好きなフレーズがあったりします。「馬鹿馬鹿しいほど月が美しい/下手に動けば泣いてしまいそうだ」って部分。「泣いてしまいそう」って表現が好きです。そう、ここでも好きな場合に多用される表現でもあるので。
 サウンド面でいうと、エレピとワウなギターの単純なるリフレインというか、繰り返されるその淡々さと堅実なドラムの絡み具合が鬼のように好きであります。
 いつもの自分の表現方法で言うのであれば、この曲も恐ろしく心地よい静寂のグルーヴな作品です。なんで、廃盤なんだ!?と問いたい感じもしますな。

Amos Lee / S.T.

305.gif シンガーソングライター、エイモス=リーの先月リリースされた1stアルバム。ブルーノートより。
 今月の初めくらいに、音関係のニュースサイトをうろうろしていたところ、ブルーノートってこともあるのだけれど、偶然東芝EMIのエイモスページを訪れたことで知りました。その頃まだ準備中というページからいきなり音が流れて参りまして。。。しかし、これがとってもシンプルでグッとヤられたのでありました。
 特に何の知識も持たぬまま、まず音先行みたいな入りだったんで、よりよかったんだと思う。「ノラ=ジョーンズも参加!」ってサイトにも書いてあるのだけれど、肝心のノラ=ジョーンズには興味が全然無しだし(笑)。
 音ですが、基本はギターと歌っていうとってもフォーキーな仕上がりとなっております。エイモスの声がちょいと高音気味でとっても優しい雰囲気を持ってるのが全曲に感じられて、それがはやり最大の武器というか、特徴というか、声も楽器である、ってことでもあるなぁと思いつつイイです。
 好きなのはやはり、最初にサイトでも聴いてしまって衝撃というか、買って聴こう!と思わせてくれた1曲目の「Keep It Loose, Keep It Tight」かな。興味無いって言ったノラ=ジョーンズがピアノ弾いてます。
 唯一というか、鬼のように残念なことが。このアルバム、CCCDなんであります。徐々に廃止の方向に向かってると思いきや、こんなところで出会うとは。昔はCCCDという存在はまあ考え方的にはイヤだけれど、聴きたい作品であれば関係なく聴くってスタイルでいたのだが、最近になって、うちの10年位前のCDプレーヤーで認識されにくいのがいくつか出てきてたと思ったら、全てCCCDだ!ってことに気付いてからは、腹立って来ました。
 現在出てるのは輸入盤ですが、5月に日本盤が出るので、こちらがCCCDでないことに期待。。。っていっても、CCCDな気がするんだけど。音がイイだけに、こういうのは困りつつ、オススメです。

Amos Lee

Stevie Wonder / Innervisions

304.gif スティーヴィー=ワンダー、73年の作品。言わずと知れた名作であり、この年のグラミー賞の最優秀アルバム賞受賞作品。
 つい最近までほとんど聴いてなくて、ちょっと前に買い直したのを機に、鬼のように聴いている盤なので、ご紹介。細かい曲ごとの解説や、この時代について色々今更語る必要もないと思うし、単に聴いてて気持ちイイという作品だ!ということにしておきましょう。
 いや、それだけではこれまでで一番短い文章になってしまうんで(笑)、もう少し思ったことを書いていきましょう。このアルバムに収録されている曲でシングルとして大ヒットしたのは「汚れた街」と「ハイアー・グラウンド」の2曲なのだけれど、それ以外がもっと好きですな。この2曲が悪い訳ではありません。この2つはスティーヴィーが全編声を張って歌ってるのに対して、他の曲は強弱があるというか、サビ以外のメインメロをフツーな声の出し方で歌ってるのがとってもイイんである。声だけ聴いてると、フツーな感じで歌ってる彼の声に集中してるとホントに傍で歌ってくれてる感じがして泣きそうに嬉しくなるのである。
 さて、大好きなのは、「Too High」、「Golden Lady」、「Don't You Worry 'Bout A Thing」の3曲。至極の名盤が24bitデジタル・リマスターで、1500円を切ってリリースされてる、この21世紀はいい時代だ。

Innervisions

O.S.T. / Orfeu

303.jpg 99年のブラジル映画、「オルフェ」のサウンドトラック。制作はカエターノ=ヴェローソ。
 5月にカエターノの来日があるし、ライヴのチケットも入手したので、最近はまたカエターノのヘヴィーローテ期間でもあるのだけれど、特に大好きなこの作品と「リーヴロ」はジャケとケースを残し、肝心の盤を紛失してしまって早4年以上過ぎてしまっていた。
 で、先週寝ようと思った午前三時、テレビを付けるとその「オルフェ」が始まったではないですか!眠くてしょうがなかったけれど、思いっきり全部観てしまいました。このサントラはもちろん大好きでリリース直後は激聴盤だったんだけれど、映画を観るのはこれが初めて。
 「黒いオルフェ」として曲も映画も舞台も有名であり定番的な作品を現在(1999年当時)のブラジルに当てはめて作ったらこんな感じ、という映画なのだけれど、ストーリー的に恋愛モノだが、結末があまりにも悲しいのは、観てて最後の辺りで正直しんどくもなってしまった。
 しかし、その全編に渡るカエターノサウンドは素晴らしいし、紛失して聴けてなかった4年の期間をあっという間に埋めてくれて、蘇らせてくれた。特に大好きな曲でもある「Sou Voce」の映画での使われ方も鳥肌モノで嬉し泣きしそうになった。
 映画も悲し過ぎるが、イイとは思うけれど、このサントラは音だけで、素晴らしい作品で大好きであります。映画にもカエターノが1シーンだけ、ギターを抱えて静かに座ってるだけという設定で出演もしてます。

Hiroshi Fujiwara / Classic Dub Classics

302.jpg 藤原ヒロシ、本人名義でのオリジナル作としては10年ぶりとなる、明日発売のニューアルバム。
 先日、ソニエリ製のドコモケータイであるpremini-IIのサイトで久々に彼の音を聴いて嬉しがってたら、アルバムも出たのでより嬉しい、と。しかし、アルバム出ることは全然チェックすらしてませんでした。
 さて、音ですが、タイトルの通りというか、全曲超メジャーなクラシックのカヴァー。バッハとかショパンなんていう、学校の音楽室に肖像画がある人達の、誰でもどこかで聴いてるであろう曲を、藤原ヒロシ流のアンビエントでピアノが美しいダブに仕上げてあります。
 今、時の人である、ホリエモンが表紙のGQ JAPAN、2005.04号でクラプトンとの対談が載ってたのを丁度読んでたんですが、この作品に、クラプトンもゲスト参加してます。ラストのバッハのカヴァーにて。
 流れ的には10年前の大好きな作品である、「Hiroshi Fujiwara In Dub Conference」と同じ感じです。10年経って進歩が無いって気もしないでもないけれど、この感じは好きだし、悪くない。真夜中に大音量でしっとり聴ける雰囲気を持っております。
 最近はメジャーとかインディーとか関係無くなってきているけれど、こういうクラプトンまでギター弾いてるアルバムが一応インディーであるクルーエルからリリースというのは個人的には凄く面白い。2人が友人ということもあって、レーベルがどうこうの問題では無いんだろうけれどもね。
 とにかく、エエですわい。さっき言ったような真夜中に大音量もいいけれど、旅の移動中にヘッドフォンで移り行く景色を眺めながら聴いてみても最高だと思う。

Kirinji / Paper Driver's Music

301.jpg キリンジ、メジャー1stとなる98年の作品。インディー時代のミニアルバムのほとんどの曲を網羅してプラス新曲って感じで、デビューに当たっての、彼らの集大成な雰囲気を持った作品、と、当時は思ってたような気がする。
 これまで、彼らの作品はここでも「Fine」と「For Beautiful Human Life」を紹介しているけれど、やはりこの1stが一番好き。まず、聴いている回数が圧倒的に違う。軽く500回以上は聴いているのではないでしょうか!?
 それだけ好きな作品にもかかわらず、4年近く手元に置いていなかったというのも不思議な話ではあるけれど(笑)。ずっと実家の車のCDチェンジャーに入りっぱなしになってて、実家に帰った時に、運転する場合、確実に聴いていた。で、取り出すタイミングをいつも逃してしまい、数カ月前にもうたまらなくなって2枚目を購入したのでありました。
 このアルバムの流れの中で圧倒的に好きなのが、「風を撃て」〜「野良の虹」という前半と、「汗染みは淡いブルース」〜「冬のオルカ」の後半、2つの連続する2曲の展開がもう泣きそうな位に好き。
 冷静に考えると、どちらも97年な音なのだけれど、今聴いても、この流れはやはり鬼の心地よさがあり、何度も何度もアルバム丸ごとリピートして聴いてしまうって感じになる。
 歌詞についても、なかなか面白く、文学的でもあったりするのはよく分かっているのだけれど、実際聴いてる時にはそんなことは全く関係なくて、この音がたまらなくエエ!ってだけだったりする。だからこそ、耳が素直に反応してくれるという、純粋に好きな音ってことで、ずっと大好きなんだと思う。

Monk Hughes & The Outer Realm / A Tribute To Brother Weldon

300.jpg Yesterdays New QuintetのベーシストであるMonk Hughesによる、ウェルドン=アーヴァインのトリビュート作品。2004年リリース。
 ジャケにはアーヴァインの顔がデカデカと写ってるし、トリビュートってタイトルなので、そりゃもう、懐かしいこの曲やあの曲のオンパレード!って気もすること間違いないとは思うけれど、こりゃあYesterdays New Quintetの新しい作品と思ってもらった方がよろしいです。
 確かにアーヴァインの作品からのサンプリングだったり、雰囲気だったりフレーズだったりはトリビュート感もありますが、新たな音世界を構築してあります。そういう意味ではとっても新鮮な作品でもある。
 フリージャズ的というか、スぺーシーなアヴァンギャルドとでも言うべきか、とっても不思議でありながら懐かしい音の溢れた作品であります。
 只今、この音ブログで一番検索からやってこられる方が多いのがこのWeldon Irvineって単語なので、こういうのもご紹介しておかねば!と言う感じでご紹介しております。
 本家アーヴァインなテイストは薄れているといえど、こういうねうねした感じは個人的には結構好きです。Yesterdays New Quintetってのもマッドリブなんで、ヒップホップな雰囲気もガンガンにあったりもするけれど、それがまたクセにさせてくれる感じで、マッドリブ関連好きな人が多いのもよくわかったりもしつつ。
 色んなテイストが混じってるって言ったけれど、個人的にはジャズ!って思ったりしておるわけです。

John Coltrane / My Favorite Things

299.jpg サックス奏者、ジョン=コルトレーンの1960年の作品。
 コルトレーン作品として、現在も「Ballads」と並びよく売れている盤であるし、言うまでもない名盤。付け加えるならば、大好きだ、ということ。
 数年前まではアナログしか持っていないにもかかわらず、鬼のように激聴盤となっていたので、盤自体がボロボロになりかけていた位で、それは友人に譲ってしまい、現在はこれまた数年前に新品のアナログを入手したので、そちらをたまに聴く感じ。
 特に意識してはいないのだけれど、この作品を聴く時は何となく初心に帰るというか、シンプルな気分になりたい時に取り出して聴いているという気がする。コルトレーン作品の中で一番スーッと入ってきて鳴り響いてくれる感じがとっても好きなのだと思う。キレイさもピカイチだし。
 アルバムタイトルでもある「My Favorite Things」はこれまた言うまでも無くミュージカルのド級の有名ナンバーであるけれど、その本家のナンバーを凌ぐ程素晴らしい出来だと思うし、「My Favorite Things」と聞けばコルトレーンのこのアルバムのヴァージョンしか浮かばない位に好きだ。もちろん、ソプラノサックスで演奏されているというのも含め。コルトレーン自身もたぶんお気に入りだったと思われ、ライブヴァージョンも多数存在するし、長い演奏だと、「Live In Japan」の九段会館での演奏なんて、この1曲で60分以上あるし。
 しかし、13分44秒のこのアルバムに入ってる「My Favorite Things」が好き。よく聴くのでCDも欲しかったり、iPodとかにも入れておこうとも思うけれど、このアルバムは思いっきりアナログで聴いていたい音と雰囲気を持っている。
John Coltrane - My Favorite Things