*music

sutero choice sound selection

Robert Wyatt / Shleep

 ロバート=ワイアット、97年のアルバム。
 ソフト・マシーンやマッチング・モウル、そしてソロやいろいろなミュージシャンとの共演などを聴いているけれど、彼の作品ではこのアルバムが1番好きだ。
 何よりも声、そしてサウンドが童謡を聴いているかのごとく、優しい。フワフワの芝生の上に寝転がっている気分になれる。
 とてもたくさんの豪華なミュージシャンがこの作品に参加しているのだけれど、中でもブライアン=イーノとの1曲目は自分の中でのフワフワの定番曲となっている。あと、大好きなポール=ウェラーもヴォーカル、そしてギタリストとして参加し楽曲も提供している。
 全体的にワイアットなワールド!という表現がピッタリである。ジャジーだったり現代音楽だったりのアプローチも随所に見られるけれど、そんなことは考えずにただただ特にワイアットさんの心地よい高音な声に耳を傾けてのほほんと聴いていたくなるすばらしい1枚だ。

The Silhouettes / Conversations With The Silhouettes

 アメリカのジャズグループ、シルエッツの71年の作品。
 女性ヴォーカル&スキャットにフルート、ヴィブラフォンという大好きな組み合わせ。基本的にはジャジーだけれど、ボッサぽくもあり、ラウンジ的でもあり。ポップ過ぎる曲もあるけれど、フワフワ感は全体に漂っている。
 CDジャケットの印刷具合を見ると、明らかにブートっぽい仕様になってる。多分、CDは正式には存在しないのであろう・・・。しかし、盤面はキレイな印刷してあるが。
 ビートルズやマンシーニのカヴァーもありつつ、オリジナルもイイ感じ。ソフトロック的でもあるかな。フルートがとっても目立つサウンドをしてます。フルートとスキャットが絡んだ時のハーモニーがとっても気持ちいい。

Town And Country / Decoration Day

 タウン=アンド=カントリー、2000年のスリルジョッキーレーベル移籍第一弾としてリリースされたシングルにボーナストラックがプラスされた日本独自のミニアルバム。
 彼らも一応シカゴ音響系の人達。フワフワな観点からセレクトするとこの系列が多くなってしまう。まあ、それだけ好きなラインだからいいのであるが。
 さて、音的にはとってもミニマム。彼らを取り上げたレビューなどを見ると、内省的という言葉が必ずと言っていい程出てくるんだが、それはどうかと思う。内省的と思ってもいいけれど、みんながみんな、内省的と思うって!?と逆に思う。個人的にはシンプルでミニマムなアコーステックの楽器の響きがとっても心地よい。
 複雑でうねるようなフレーズが大好きではあるが、こういった単純でシンプルなミニマム展開も気持ちいいと感じられる時間というのは、とても落ち着いて心が広くなっている瞬間でもある。

Al Haig / Al Haig Quartet

 ジャズピアニスト、アル=ヘイグの41年のアルバム。
 95年にCD化されるまでは幻の名盤と言われる程の作品であった。作品的にもカルテット編成でギターが入っているという珍しさもあるし、プレイ的にもアドリブプレイの得意な彼にしてはほとんどアドリブがないことも珍しい。
 しかし、とても聴きやすい作品。41年の録音と、いまから60年以上前の作品だけに、音が独特なちょいとこもった感じがあるのがまたフワフワさせてくれてイイ。
 いつもエレピの音が大好きでやたらイイ!を連発しているけれど、生のピアノの音も好きだ。ピアノって弦を叩いて音を出す、打楽器だし、メロディもリズムもできる、魔法の箱のようにも思える。そこに自分でも弾くギターと絡んだこの作品は聴いててホント楽しい1枚だ。
 余談だが、ジャズにおいてのギターのポジションは元々低くて、リズム楽器としてドラムやベースの補助的な役割に過ぎなかった。

Freebo / Sukimakara

 フリーボ、96年の1stアルバム。
 ヴォーカルの吉田奈邦子が生まれて初めて作った最初の8曲が丸ごとこのアルバムになっている。No.50で紹介している金延幸子の「み空」を聴いて曲作りを始めたということで、それだけでもいい感じだと分かっていただけるだろうか!?
 音はフォーキーであり、ロック。声がフワフワしていて気持ちいい。やはりアルバムタイトルでもある「すきまから」が大好きだし、何度も何度も聴いた。間違いなく名曲だ。いろんなコンピにも収録されていたりもする。
 このアルバムはインディー盤だけれど、97年にメジャーデビューする直前に会って話をしたことがある。メンバーの皆さん、とっても明るくて音作りに関しても前向きで、イイ曲沢山作って下さい!とエールを送っておいた。現在は充電期間中で、またすばらしい楽曲とライブを引っさげての復活を期待したい。

Little Tempo / Usual Things

 Little Tempo、99年のメジャーデビュー盤となるマキシシングル。
 この後に出たアルバム、「Ron Riddim」にほとんどの曲が別ヴァージョンだったりで収録されているんだけど、こちらのシングルが好きなので・・・。
 まず、ジャケ写。黒いネコと古びたキッチンの写真が凄く気に入っている。CDを開くとその奥にも別カットでネコがいる。
 音は2曲目の「Beautiful Rain」が大好き。エディー=リーダーの声がいいし、音も切なさと優しさがあって、気持ちいい。
 このバンドはやはりスティール・パンとレゲエ、ダブのサウンドだと思うけれど、個人的にはエレピの音色と使い方に惹かれてる。
 とってもゆっくりした曲ばかりで、いい意味でダラーっと心地よく聴けてしまう。だけど、バスドラムの音がとっても重い。それがまたイイ。

Pullman / Viewfinder

 Pullman、2001年の2ndアルバム。
 シカゴ音響派系のバンドとしては1番好きかも。1stアルバムはフルアコーステックだったけれど、今作はエレクトリックを導入したマルチトラックな作り。
 しかし、両方の作品に共通してるのは、アコースティックでフワフワの心地よいメロディがあるということ。今作はその上に効果的にシンセやストリングスを乗せることによって、フワフワな壮大感が増して、サウンドの幅も広くなっている。
 アコギの音色が気持ち良く、フォーク〜ブルーグラス〜ラグタイムを巡る旅のようでサントラ的でもありつつ、それらの奏法がミックスされてて静かでシンプルなサウンド。だけど、ポップさもあるんでとっても聴きやすい。
 全曲インスト。涼しい部屋でゆっくりくつろいで聴いていたい感じだ。

Sachiko Kanenobu / Misora

 シンガーソングライター、金延幸子72年の1stソロアルバム。
 この作品がリリースされる前に彼女は渡米して結婚してしまったために、伝説のアルバムと言われたり、72年という年代での女性フォークシンガーということで早過ぎた天才などと評されたりしていた。
 さて、肝心の音だけど、ほとんどの曲がアコギと歌というとてもシンプルな構成でフワフワと心地よい響き。細野晴臣プロデュースではっぴいえんどのメンバーも全面的に協力してたりするんで、この時代のURCレーベル的雰囲気も漂っている。よく、和製ジョニ=ミッチェルって言われたりするのも分かる。
 2曲目というか、A-2の「あなたから遠くへ」が大好きで聴く度に涙が出る位の嬉しさに襲われる名曲だ。
 現在はエイベックスから再発されてて、ちょっとびっくりした。

Francis Albert Sinatra / Sinatra & Jobim

 フランク=シナトラとアントニオ=カルロス=ジョビン共演の67年の作品。
 ジョビン絡みの作品なら結構持っているけれど、シナトラの作品というのは多分、これしか持ってないと思う。シナトラの声は大好きだし、50〜60年代のゴージャスな彼の作品もムーディーでいい。でも、これ!っていうのはこのアルバムくらいだった。何せシナトラの作品数は鬼のようにある。で、売れるのは「マイ・ウェイ」の入ったベスト盤。この売場にいた実体験が他の作品に手を出さなかった理由かもしれない。聴くのは聴いていたんだけどね。
 さて、この作品だけれど、一言で表すと、ゴージャスムーディーボッサ。完全にシナトラワールドな1枚。ボッサをやらせてもさすがはエンターティナーシナトラ!ってところかな。しかし、ジョビンの良さもきっちり出ている。この辺りもさすがだ。
 「イパネマの娘」って曲はそれはもう数えきれない位のアーティストによって演奏されているが、1番聴いたのはこのシナトラの歌うヴァージョンだ。その次がローリンド=アルメイダというギタリストのインストヴァージョン。

Marvin Gaye / What's Going On

 言うまでもない、マーヴィン=ゲイ71年の名盤。
 音楽をいろいろ聴き始めた頃に買ったんだけれど、正直、じっくりと聴いたのはつい最近のこと。やっぱりタイトルである「What's Going On」ばかり聴いてた。
 で、今さらのようにアルバムとして語ると、全ての曲を通して「What's Going On」である、ってことになる。この時代にノンストップアルバムというのは珍しいし、同じフレーズが多用されている。ともかく、このアルバムはマーヴィンにとって転換期でもあり、社会的メッセージを含んでいたりといろいろ語られるが、とっても優しい音をしている。
 この楽曲で、この声、このアルバムの流れが優しさに溢れている。
 最近のCMでこのアルバムに入ってる「Mercy Mercy Me」が流れてきた時には嬉しくてたまらない気持ちになったし。ホント、優しい。
 余談で、「What's Going On」のカヴァーでは柄本明の歌ってるのが大好きだ。
What's Going On

Museum Of Plate / Offer

 ピアニスト、塚本サイコのユニットである、ミュージアム=オブ=プレートの96年の1stアルバム。
 この1stの頃はまだバンド形式で6人編成。ピアノとホーンのシンプルで美しい音色がとっても心地よい。特に4曲目の「Sunny Day」が大好きだ。ギターのカッティングのミニマムな上にホーンが壮大な感じで重なってるのがいいし、ピアノソロがまたいい。あと、ヴォーカルの高音で細い声が素敵だ。
 アルバム全体でとてもフワフワしてるし、かなり聴き込んだ作品でもある。塚本サイコの演奏はピアノだけを聴いていると、重たいというか、結構派手に激しく弾いてたりするのだけれど、それを感じさせない楽曲全体の雰囲気がある。プロデュースも彼女自身なので、その辺りも考えられているみたい。
 この1st以降はピアニスト的な作品が多い。クラシック的というか、現代音楽的というか。それはそれですごくいい。彼女は以前表参道でカフェやってたりもした。

Bossa Pianikita / In Cielo

 ピアニカ前田のバンド、Bossa Pianikitaの2001年の1stアルバム。
 ピラニアンズ、ソロとずっと聴いてきてるし、ピアニカの上手さと言ったらもうそりゃ凄い。このバンドでは名前にボッサってついてるように、ボッサチックなリズム、ガットギターにピアニカの音色が恐ろしいくらいにピッタリでフワフワだ。
 ピアニカって小学生の音楽教育用くらいにしか思ってない人がほとんどだと思うけれど、実際はとっても深い楽器だと思う。特にピアニカ前田の演奏をナマで聴いたならば絶対にそう思うはず。ビブラートやサスティーンなど、実に繊細な演奏が可能なのだ。
 実際に昔、本人に尋ねたことがある。体調も演奏に大きく左右するそうだ。3本の音階の違うピアニカを使っていたのだけれど、2〜3曲ごとにキーの違う曲をするのは何故?との問いかけに、そのくらいのペースでピアニカを替えないとつばが溜まっていい音が出なくなるからと教えて頂いた。
 ホント、イイ人でその人柄も音に表れている。心地よい音だ。
Il Cielo - EP

Herbie Mann / Flautista!

 ハービー=マン、59年のアフロキューバンジャズな作品。
 個人的にフワフワなジャズの三種の神器として、フルート、ヴィブラフォン、パーカッションだと思っているんだが、それを完全に網羅したマストなアルバム。
 ハービー=マンと言えば68年の「メンフィスアンダーグランド」が有名だけれど、ああいうジャズロックタッチな作品よりも今作のようなラテンサウンドを意識されてくれる60年前後の作品が好きだ。
 これはジャズの名レーベルであるヴァーヴからリリースされてて、この時代のヴァーヴ作品はジャケがまたいい感じだ。
 5曲目ではスタンダード曲といえる、「キャラバン」をスピーディーかつエキゾチックなサウンドに仕上げていて、これまたいい。
 フルートのジャズはやはりツボだけに聴いてて気持ちいいし、大好きだ。
Flautista! Herbie Mann Plays Afro-Cuban Jazz - Live 1959

Miki Nakatani / Absolute Value

 中谷美紀、98年リリースの最初のベストアルバム。
 坂本龍一の全面プロデュースではっきり言って教授のアルバムだ!っていう雰囲気。それだけ完成度が高い。しかし、中谷美紀のクールな声がいい感じでフワフワしている。
 昔、中谷美紀好きな時期があったんだが、だからイイって言うのではなくて、純粋に作品として聴いてて心地よいアルバム。
 教授のソロワークみたいな曲やジャジーな音、伊藤園のCMでお馴染な曲も収録されていて、そういう意味でも幅広い。
 サンプル盤で持っているんだが、なぜかこの5年間、常に自分の手元の近くに置いてあるアルバムで、しょっちゅう聴く訳ではないけれど、思い出したように聴くことの多いアルバムでもある。それだけ、やはり魅力的な音をしていると思う。

Kenji Ozawa / The Doges Bark,But The Caravan Moves On

 小沢健二、93年のファーストアルバム。
 一応、フリッパーズのモロ世代なのでソロ活動スタートとなるこの作品にはかなり期待していた記憶がある。最初に確かプロモのテープで聴いたんだが、歌が下手!って思った。しかし、聴けば聴く程するめのように味の出てくる作品なんである。何とも言えないフワフワ感もあるし。
 歌詞がいいのと、サウンド的には元スカパラのドラムである故青木達之の刻みが素晴らしい。ギターのテレキャスらしい乾いた、そしてわずかに歪んだ音もいい。
 現在は「Dogs」というタイトルになってジャケットもシンプルになっている。こちらの「犬は吠えるがキャラバンは進む」との大きな違いはジャケと彼自身のセルフライナーノーツがあるかないかという点。ライナーがあるのはこちらの最初の盤。
 タイトルはアラビアの諺らしい。

Wes Montgomery / A Day In The Life

 ジャズギタリスト、ウエス=モンゴメリーの67年の作品。
 ギタリストとしても大好きで、ほとんどのアルバムが好きな中でこの67年の「A Day In The Life」をここに紹介するのはもちろんフワフワだから。しかし、この作品を含め、この後のCTIレーベルからのリリースはイージーリスニング的サウンド色が強く、もっとフワフワ心地よいものもたくさんある。だけど、このアルバムが第一弾だというのと、あとはジャケ写真。
 タバコの吸い殻のドアップ。言ってみればゴミな状態のモノがカッコよく写る。この感覚が素晴らしい。
 タイトル曲であるビートルズの有名なナンバーをはじめ、軽快なギターサウンドに豪華なストリングスを絡めた、朝の目覚めのようなスッキリさわやかな感覚を味わえる。
 もちろんウエスのギタープレイの素晴らしさあっての作品であることは言うまでもない。
 CTIは一貫したコンセプトワークに基づいた運営をしていたレーベルで、ジャケのデザインもどれもとってもいい感じ。結構ジャケ買いでいろいろ持っているし、集めたくなるモノばかり。ジャケだけで作品展までできるレーベルだ。

Quarteto Em Cy / Vinicius Em Cy

 ブラジルのコーラスグループ、クアルテート=エン=シーのヴィニシウス=ヂ=モライス作品を中心に収めた93年の作品。
 最初にブラジル系、主にボッサを聴くようになった頃は彼女達の声はフワフワし過ぎてボッサぽくないからと、あまり好きではなかったんであるが、今は何しろ個人的フワフワブームな時期なんで、とっても気持ち良く聴いている。
 ヴィニシウスといえば、ジョビンとの共作で、それこそこれがボッサだっていう、今ではボッサのスタンダードって曲を多数生み出した有名人。「おいしい水」や「イパネマの娘」等、有名曲が目白押しで収録されてる。
 だけど、彼女達が歌うと、上にフワフワと書いた通り、ボッサでも一種独特な雰囲気があっていい。ボッサ以前の曲も入ってる。
 酒はめっぽう弱いけれど、雰囲気のいい場所でゆっくりグラス片手に聴くなんてのが似合いそうなアルバム。
 ジャケットは日本盤のオリジナルデザイン。

Yoshinori Sunahara / The Sound Of '70s

 元電気グルーヴ、砂原良徳98年の3rdアルバム。
 いやー忘れてた。このアルバムが極上のフワフワな1枚。ずっと聴いてなくて、行方不明中だったのが、見つかって。思い出したように久々に聴いてみると素晴らしい。
 アメリカの航空会社パンナムへのオマージュ作品となっているんだけれど、音も快適な空の旅を!みたいなとってもフワフワ気持ちいいアルバム。ブックレットにもパンナムから許可を得て70年代の本物のパンプレット写真などが掲載されている。
 もっとイイのはアナログ盤で、ピクチャーレコードになってて、デカデカと盤の全面にパンナムのマークが印刷されてます。当然のように持ってるけれど。
 4曲目の「Sun Song '70」が大好きでDJしてる時やラジオでもかけたことあり。心地よさ極まりない曲。
 ホント、幸せなフワフワに包まれるアルバムで、是非聴いて欲しい。

United Future Organization / Jazzin' '91-'92

 United Future Organization(以下UFO)の92年にリリースされた最初のアルバム。タイトルは11年続いた彼らのパーティーの名前から。
 確か、深夜のFMラジオの番組で知った。すごくカッコイイ!というのと、No.5で紹介しているヴァン=モリソンの名曲「Moon Dance」のカヴァーをやってることで、即、買いに走った記憶がある。
 この92年頃は国内でクラブ的なものが盛んになっていた時期だけど、個人的にはまだまだギターを抱えたロック野郎な時代だった。だけど、カッコよく思えてすごく聴いてた。
 UFOはこの後もずっと音を追い続けているけれど、結局はこの最初の作品が好きだ。一番クラブっぽくない作品だと思うし、フワフワしている。
 これが最初にリリースされたレーベルは既に存在しない。アメリカのマイナーなメタルとかをリリースするヘンテコなレーベルだったんだけども・・・。一度再発されてたけれど、今は確か廃盤だ。海外盤なら入手可能みたい。

Toninho Horta / Durango Kid 2

 ブラジルのギタリスト、トニーニョ=オルタの95年のソロアルバム。
 クラシックギターと歌だけ。ホントにシンプル。とにかく彼のギターは上手い。ブラジルらしくボッサなフレーズやクラシック、ジャズといろんな奏法を組み合わせ、彼オリジナルのギターの音色がここにはある。
 歌声も微妙に高音な彼の声は、上手いというか味がある。自分で弾きながら歌っているんで、ギターと声のマッチングがピッタリ。スキャットが多用されているんだけれど、そこがとってもいい。2つの楽器で演奏されているかのようで。
 熱いモノも伝わってくるし、クールな音でもある。それでいてフワフワもしている。
 日本にもよく来日していて、ライヴは定評がある。矢野顕子のサポートメンバーとして一緒にツアー回ってたりもするんで、テレビでお目にかかった方もいるかも。
 ともかく、玄人好みではあるが、とってもいいアルバムです。

Jim O'Rourke / Eureka

 ジム=オルーク、99年のソロアルバム。俗にシカゴ音響系なんて言われてる中の中心人物だということであるが、確かにやってることは幅広いし、音も大好きだ。
 結構彼の作品は聴いているけれど、やはりこの「ユリイカ」が1番好き。フワフワ度、ポップ度と聴きやすいし、ジム自身が初めてヴォーカルをとった作品なのだけれど、歌が渋い。
 ジャケットの友沢ミミヨの絵は「なんじゃこりゃ!?」的だけれど、これもジムの遊び心故の演出で今となってはしっくりきてると思う。
 泣きたい位の嬉しさに襲われる、聴いててとっても心地よい作品だ。この表現がホントにピッタリ。

Mari / 13 Chansons

 夏木マリ、96年小西康陽プロデュースによるタイトル通りのシャンソンアルバム。
 シャンソンというよりもジャズ的な作品になっている。アコースティック楽器の音の深さがじっくり味わえる。特にコントラバスのうねりはエレキのベースでは出せない魅力的な音だ。大好きなソプラノサックスにヴィブラフォン、アコーディオンと高音のキレイな楽器でもふんだんにプレイされていて気持ちがいい。
 アルバムのラスト曲「le bleu du ciel」はここのところ、ずっと頭の中で流れている曲で3拍子でアコーディオンの音が印象的ないかにもフランスな雰囲気たっぷりのナンバー。日本語にすると「私の青空」という意味で、何かNHKの連続テレビ小説だけど。
 発売当初はアナログのみのリリースだったけれど、98年に3曲多いCDがリリースされてます。でもアナログで聴きたい音。もちろんアナログで持ってます。

Nobukazu Takemura / Chil's View

 竹村延和、94年のソロアルバム。
 もう何度聴いているかもわからないし、どれだけ人に薦めてきたことか。自分のなかでフワフワであり、キレイな音の源のようなアルバム。
 音はもう聴いてくれ!としかいいようがないのだけれど、ソプラノサックスを吹くコルトレーンじゃないけれど、竹村延和もソプラノサックスを吹く。それがすごくイイ。
 もうリリースされてから10年近く経とうとしてるが今なお色褪せることのない音。ホント、彼の作品を聴きはじめてから、自分の頭に思い浮かぶ音世界が確実に変化していったのがハッキリわかる。
 思い入れの強さと好きさが凄いんであまり長々書いても・・・なんで、とにかくいろんな人に聴いてもらいたい作品。ただ、廃盤になってます。残念。
 6曲目の「Rill」って曲は大好きだし、聴く度にいろいろなことが頭を巡る。また共有できる仲間と一緒に聴きたい曲だ。

Iso68 / Mizoknek

 iso68、2000年の2ndアルバム。こちらもドイツのHausmusikというレーベルから。
 あまり詳しくは知りません。確か、これもジャケ買いだった気がする。イラストが気に入ったというよりも、CDでも紙ジャケなんだけど、ボール紙みたいな質感が気になって。
 音はもちろんフワフワ。打ち込みで、電子楽器で作りました!ってな作品だけど、ピコピコな感じじゃなくてペコペコしてる。ミニマムなフワフワ。
 面白いと思ったのは音色というか、フィルタのかけ具合。サスティーンの長い音とかはフィルタによって細かく、そして微妙に変化しているのがわかる。気持ちいい変化を楽しめる。リズムに対しても、特にシンバルは曲ごとにいろんな変化があってよろし。
 チープっぽいオルガンの音もこういうリズムにはよく合ってる。

Hausmeister / Unser

 Hausmeister、2001年2ndアルバム。ドイツのレーベルKaraoke Kalkから。
 まず、最初に言っておくけれど、ジャケ買いです。無類のギンガムチェックのシャツ好きとしては外す訳にはいかないジャケット。青バックに赤白のチェックという色具合も気に入っている。
 さて、サウンドのはというと、これまたフワフワ系。打ち込み部分もあるけれど、大部分をしめるギターやキーボードのメロディがいい。特に鍵盤系の左手側にある低い音でゆったりとしたメロディの鳴ってる曲はフワフワを倍増させてくれる。
 普通はフワフワって高音を連想しそうだけれど、低音がイイと高音も、もっとキレイに聴ける。メロディでなくてもリズムでも低い音というのはとっても大事だね。
 買ってすぐにさすがジャケ買いだけにほとんど聴かなくなっていたんだけれど、最近の個人的フワフワブームでヘビーローテーションにカムバックした。

Hanaregumi / On Time

 スーパーバタードッグのヴォーカルである永積タカシの個人ユニットであるハナレグミの2002年1stアルバム。
 去年1番聴いたアルバム。というか、今でもしょっちゅう聴いている。アコースティックなバンドの雰囲気一杯の作品。
 これまたフワフワ感もあり。先行シングルとして発売された「家族の風景」が泣けるくらいにイイ曲。PVも写真のスライド上映のような雰囲気で好きだ。
 アルバムのジャケットが彼の実家の増築した一室なんだけれど、カフェの窓際みたいな雰囲気で面白い。
 ブッカーTジョーンズの名曲「Jamaica Song」のカヴァーがまたいい。全体的にもレゲエ風味なサウンド多し。だけど、いかにもレゲエ!っていうのではなくフワフワ。ここ大事。
 CDの帯に「切なくてあったかい」ってコピーがあるけれど、まさにそんな作品。